comico、城谷間間さん作の『第3艦橋より』のあらすじ(その8)です。
まさかの展開、85話から91話くらいまで。
スッチさん編終わりまでです。
(2015年10月末現在、最新101.5話)
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・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その1
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その2
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その3
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その4
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その5
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その6
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その7
・【ネタバレ注意】「第3艦橋より」のストーリーが肉厚すぎて、考え始めたら眠れそうにない問題
・【ネタバレ】『第3艦橋より』、元老院の謎を考える。
<<以下ネタバレしてます。未読の方は注意>>
【ナミの言葉】
<84~85話くらい>
・ヨベル、へこむ
・リン、ナミに叩かれる
・マリーゴールド「ぬっ」
・元老院の選択とは
・スッチ、決断を迫られる
場面は変わり、リン、ナミ、イザキ、スイ、オリス、スッチら元老院7名の集まる魂の間。
地球を支配したらまた子供を作ろう、と笑顔でスッチに問いかけるリンですが、スッチの脳裏には過去の子どもたちの笑顔が過っていました。
「こんなことになる前に、できることはなかったのだろうか」
「誰もが幸せになる選択はなかったのだろうか」
かつて、夫であるウルヴァ・アジェナが残した血清、それを6人の新生児への投与を決断したスッチ。
成長した6人が元老院となり、作り、残したQ人たち。
スッチとウルヴァの血を引く魂を宿したポピーとの出会い。
長いその生の中で、何度となく絶望の淵に立たされながらも、生きる希望を見出したこと。
しかし、一連の元老院の暴走と粛清により、それすらも打ち砕かれそうになっていること。
「こんな生は耐えられない」
スッチはリンにゆっくりと伝えます。
Q人の粛清をやめるように、自分たちは生き過ぎたと。
そのとき、魂の間にヨベルが突如現れました。
「失敗した。地球人もまた器でしかなかった」
痛みに苦しむヨベルに駆け寄るリンですが、払われてしまいます。
リンは混乱し、ヨベルに地球で自分たちテヤ人たちが再興しようと訴えかけました。
「地球上の生物をすべて焼き払いましょう!」
「ヨベル!私たちを導いて!」
そんなリンをとめたのは、ナミでした。
「もうやめましょう、リン」
激昂するリンはナミにも食って掛かりますが、ナミは「全て知っている」と続けます。
沈黙を貫いていたナミの口から真相が語られ始めました。
「私はオリス、スイ、イザキの3人にこう言った」
「すべてヨベルの思い通りにしてあげて、そうすればうまくいく」
一体どういうことかわかっていない表情をしているのはリンとスッチ。
どういうことかと尋ねるスッチに、ナミは一言謝り、すべてをQ人に託そうと言います。
「私はテヤ人として、尊厳ある死を望みます」
(84話)
もちろんリンはそれに納得がいきません。
ずっと共に生きてきたはずの元老院。
その中で、自分とヨベルが裏切られたことに対して、ナミに怒りをぶつけます。
そんなリンを諭しながら、ナミは自分たちが死を望む理由を淡々と語りました。
「ヨベルの導きは完ぺきだった。しかしそれはとても冷酷…」
「私たち4人は弱い。ヨベルを最後まで信じ抜ける確信がなかった」
「でもリン、あなた違う」
「あなたは絶対にヨベルを裏切らない。だから伝える必要がなかった」
ナミの言葉に、リンは涙をこらえきれません。
「ヨベルがあんなことにならなければ」
とリンを抱きしめるナミ。
ですが、スッチにはナミの言葉の真意がわかりません。
ナミに説明を求めますが、知らない方がいい、と返答を拒否されてしまいます。
そこにマリーゴールドが現れました。
元老院の面々に多くのQ人が死んだことを伝え、強く言い切ります。
「あなたたちを許すつもりはない。だがスッチは返してもらう」
マリーゴールドの復活により、スッチはある決断を迫られます。
長い時間を共に生きてきた元老院らと共に、過去を生き遂げるか。
あるいは、生きる希望となったマリーゴールド、ポピー、マリナらと生きる未来か。
「決断の時です」
ナミはスッチに言いました。(85話)
【スッチの決断】
<86~87話くらい>
・マリーゴールド、ナミと接触
・溜めてあったのは涙
・スッチの選択と決断
ナミに生か死か、未来か過去か、テヤ人かQ人かの決断を迫られたスッチ。
当然受け入れられるはずがなく、ナミを説得します。
「あなたたちにも艦長たちにも生きてほしい」
しかしナミはスッチの言葉を受け入れません。
ナミはマリーゴールドに、スッチに何か助言はないかと尋ねました。
「金色の子ども、あなたから言うことは?」
突然話を振られたマリーゴールドは、スッチにポピーの魂の件を伝えました。
「ポピーは思考制御の呪縛から解放された」
「ポピーのためにも私と一緒に来い」
ポピーのことを知らされ、その場に泣き崩れるスッチ。
マリーゴールドはナミのほうに向きなおり、魂が宿る条件を知っていたのだろう、と言います。
ナミはマリーゴールドの仮定が正しいと認め、「マリナメインのおかげか」と加えました。
そして泣き崩れるスッチに、急がないとこのままQ人が全滅してしまい、すべてが手遅れになる、と決断を迫ります。
しかしスッチは、ナミやリンたち元老院を残したのは自分自身であること、そんな彼らが死を選ぶ姿を見過ごすことはできない、と言います。
どうしても全員が助かる道を探したいスッチですが、そんなスッチにナミは言い切りました。
「わかりました。では私が決断しましょう」
と、マリーゴールドに近づき、彼女に触れようとします。
「1400年…ずっとあなたの形を感じたかった」
突然のナミの言葉に混乱するマリーゴールドですが、ナミはそのまま近づきます。
そしてマリーゴールドの口元を介して、神の目を破壊するコードを通しました。
「あなたがすべてのコードを手に入れてくれたお蔭で、神の目を破壊するコードを通せた」
ありがとう、とナミがマリーゴールドに背を向けた直後でした。
魂の間が大きく崩れ始めます。
マリーゴールドはスッチの元に駆け寄り、背を向けているナミに言いました。
「できればあなたも救いたい!あなたはずっとQ人のために動いていた!」
「神の目上層階に貯蔵された液体、あれはあなたが1400年かけて溜めた涙…」
しかしナミはそんなマリーゴールドに聞く耳を持ちません。
その間にも空間は大きく崩れ、魂の間は崩壊していきます。
マリーゴールドはナミの説得を諦め、スッチの手を握りました。(86話)
マリーゴールドによって、元老院らと再び袂を分かつことになったスッチ。
そんなスッチにナミが託したのは、『希望』でした。
「行きましょう、みんな」
「行くぞ!スッチ!」
魂の間は崩壊し、宇宙空間のような場に投げ出されたマリーゴールドとスッチ。
ですがそこも崩れゆき、とにかく2人の脱出が急がれます。
マリーゴールドと共に階段を駆け抜けながらも、スッチの脳裏に過っていたのは過去の風景でした。
幾度となく襲い掛かる絶望の中、生きてこれたのはウルヴァ・アジェナとの絆があったから。
ウルヴァが残した血清、それによって生き延びた新生児、彼らが作り出した命。
それがスッチを支えていた『希望』でした。
「この決断を、ウルヴァはどう思うのだろうか」
QWERTYが母星であるテヤから宇宙に飛び立った時期。
夫のウルヴァと共に、未来に希望を抱いていた頃。
その光景をおもいだしたとき、スッチは足を止めました。
「あの子たちだけを死なせるわけにはいきません」
どうにかスッチを助けようとするマリーゴールド。
しかしスッチはマリーゴールドに、自分という存在が生き残ってしまったら未来に問題が起きる可能性があること、ポピーへ感謝の気持ちを伝えてほしいことを伝えます。
そして向き直り、涙を流しながら笑顔で、別れを告げました。
「私はテヤ人ですから」(87話)
最後まで説得をするマリーゴールドが神の目の出口に吸い込まれるのを見届けるまで、スッチは壊れていく空間の中に立っていました。
【明かされる真相】
<87~88話くらい>
・スッチ、元老院たちの元に戻る
・マリーゴールド、ことみ、スマロ、脱出
・ヨベル、死んでいた
そのころ、神の目の外部。
正気を取り戻したスマロがことみを救出していました。
応急処置をしながら、地球の安否を気にすることみに「地球の通信は傍受できている」と伝えるスマロ。
と、そのとき神の目の眼球・瞳孔の部分が大きく盛り上がり、マリーゴールド1人が飛び出してきました。
この場が危険であることをスマロとことみに伝え、3人は脱出します。
「爆発する!脱出するぞ!」
一方、その崩れていく神の目内部。
ナミたち元老院の前にスッチが現れました。
驚くオリスらに
「仲間外れは嫌だな」
と力なく笑うスッチに、ナミは問いかけました。(88話)
「これは私がみた未来とは違います。先生、どうして」
ナミの言葉に、スッチは自分がかつて『先生』と呼ばれていた頃を思い出していました。
スッチのことを「お母さん」と呼んでしまっていたオリス。
大げんかをしたヨベルとイザキ。
ヨベルの提案でスッチは『先生』と呼ばれることになったこと。
元老院──子どもたちとの思い出をひとつひとつ伝えながら、スッチは謝罪を加えました。
「あんなことがあって、あなたたちから逃げてしまった」
かつて、ヨベルと口論になり襲われ袂を分かつた日のことでした。
その後のヨベルに何があったのか、スッチは知りません。
一度はぐらかされた質問を、スッチはヨベル本人に尋ねます。
しかしヨベルの様子が何かおかしく、何の反応も示しません。
「先生…破壊コードが承認された今、もうヨベルに声は届きません」
意味深なことを話すナミに詰め寄るスッチ。
ヨベルに一体何が起きているのか、というスッチの質問には答えず、ナミは続けます。
「スッチ先生を愛してくれている人はQ人の中にいる。それが何故わからないのですか」
私たちのことはもういい、と言うナミにスッチは詰め寄りますが、次にナミから聞いた言葉は衝撃的なものでした。
「ヨベルはスッチ先生を傷つけた後、自殺しました」
子どもを残すためスッチを襲ったヨベルは、その後罪の意識から自死を選びました。
発見したナミとイザキが遺体を埋葬しましたが、数日後ヨベルは何事もなかったように帰ってきたという事実。
ナミらにもヨベルに何が起きているのかわからなかったものの、『神の目に取り込まれた』という結論に至るしかなかったこと。
「ヨベルなのかヨベルでない何かなのか、分からない状態になっていた」
そのことはヨベルに寄り添っていたリンも把握していました。
その戻ってきたヨベルは、異常とも思える知識を他の元老院たちに与えていきました。
それは魂や神の目に関することについてでした。(72話前後の描写かと思われます)
ヨベルの真相を知ったスッチが選ぶ道は、元老院と共に滅びる道しかありません。
物言わぬヨベルを抱きしめるスッチ。
ナミはオリスに、オリスの願いを叶えられなかったことを詫びました。
「スッチ先生はどこまでも優しい人だ」
オリスはそう言って微笑みました。
場面は変わり、QWERTY、第3艦橋。
マリーゴールドを助けた折に境界面で負傷したポピーをマリナが介助していました。
そのときマリーゴールドを包んでいたプラズマ球体から、マリーゴールドとスマロとことみが生還します。
「マリナ!スッチの身体を強制解凍!急げ!」
マリーゴールドが息を切らしながらそう言い放ちました。(89話)
【架け橋】
<90~91話くらい>
・神の目、崩落
・スッチ、ウルヴァと再会
・ポピー、スッチに口づけ
・Q人全員、魂を手に入れる
スッチの身体はいくつか冷凍保存されています。
急いで解凍しつつも、蘇生のタイミングを誤ってしまうと、魂のない肉体として暴走しかねません。
しかし細胞死も同時進行する状況、マリーゴールドはスッチの肉体に声をかけ続けました。
「おまえは私の手を掴んだ!生きることを選択したんだ!」
スッチの魂は、元老院らと共に魂の間にいます。
ヨベルを温かく抱きしめるスッチ。
そのヨベルがかすかな声で「ごめんなさい」と言いました。
また、崩れゆく空間の中でいよいよ死が近づき、ナミが恐怖を訴えます。
そんな幼さの残る彼らの頭を撫で、スッチは言いました。
「大丈夫、怖くない」
その直後、大きな物音がQWERTY全域に響き渡ります。
神の目周辺に大きな衝撃が走り、全体の崩壊が始まりました。
しかしスッチの肉体は目覚める気配がありません。
焦るマリーゴールドは、涙を流しながら呼びかけますが反応がありません。
負傷して座り込んでいたことみがポピーを呼び、あることを伝えました。
崩壊していく神の目、魂の間。
スッチらはいよいよ最期を迎えようとしています。
スッチは笑っていました。
「すべてが光に包まれていく」
「やっと…死ねるのね」
スッチが呼んだ名前は、かつて愛し失った夫の名前・ウルヴァでした。
夢とも似つかない精神空間、光を帯びながらウルヴァとスッチは再会します。(90話)
「よく頑張ったね」
ウルヴァの言葉に涙し、抱擁を交わす2人。
口づけを交わしました。
一方、第3艦橋ではスッチの蘇生が続いていました。
泣き咽ぶマリーゴールドをどかし、ポピーが冷たいスッチの唇に近づきます。
スッチが目覚めたのはそのときでした。
スプリンクラーから液体が降る下、一同はびしょぬれになりながら、スッチの蘇生を見届けました。
誰より一番驚いていたのはスッチ。
「嘘…嘘…どうして!嫌…!」
「ヨベル!リン!ナミ!イザキ!スイ!…オリス!ウルヴァ!嫌!」
「死なせて…!」
涙を流すスッチ。
そんなスッチをポピーが受け止めました。
「生きてください。これが僕の選択です」
降り注ぐスプリンクラーを浴びながら、2人を見守るマリーゴールドたち。
それでもスッチはなお涙を流し続けました。
スプリンクラーは艦橋区だけではなく居住区にも広く降り注いでいました。
居住区には美しい虹が描かれました。
「この日、QWERTY全土に降り注いだ涙の雨は、すべてのQ人に魂を与えた」(91話)
長文をお読みいただきありがとうございます。
ここまでが『第3艦橋より』91話まで、QWERTY編のストーリーです。
物語は現在(10月末時点)で101.5話まで掲載されています。
ここでひと段落がつくのですが、いくつか疑問が残されていることに気づいている方も多いかと思います。
・地球に向かったこぴみ(複製体)はどうなったのか。
・リンとヨベルの侵入コードは明らかになっていない。
・オリスだけなんであんなに老けていたのか。
・ことみは地球に還れるのか。
・ポピーや艦長たち、Q人はどうなるのか。
このほかにもナミの言葉の中など、いくつかの謎が残されています。
それらのいくつかは91話以降の話で明らかになっています。
ことみはどうなる?
まさかの急展開。
さらに明かされる真実
この子どこの子。
こんな感じで、こちら、comico【『第3艦橋より』】 で1話~最新話まですべて読むことができます。
(個人的にはこのサムネもタイトルも伏線なんじゃないかって睨んでる)
が、10月中旬の『第3艦橋より』の連載が11月いっぱいをめどに終了するということが、城谷間間先生より発表されました。
残すは4話、ずっと応援してきた身としては寂しさも残りますが、この中でどれほどの謎がどれほどの鮮やかさを持って回収されるのか、それもまた楽しみであるという思いもあります。
手元に置いておきたい、また多くの人に読んでいただきたい作品です。
……というよりあまりのストーリーの出来の良さに、純粋な読書体験の共有として、読んだときの感想を教えてほしいです。
まさかの展開、85話から91話くらいまで。
スッチさん編終わりまでです。
(2015年10月末現在、最新101.5話)
<<関連ページ>>
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その1
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その2
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その3
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その4
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その5
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その6
・【ネタバレ注意】3分でわかる『第3艦橋より』、その7
・【ネタバレ注意】「第3艦橋より」のストーリーが肉厚すぎて、考え始めたら眠れそうにない問題
・【ネタバレ】『第3艦橋より』、元老院の謎を考える。
<<以下ネタバレしてます。未読の方は注意>>
【ナミの言葉】
<84~85話くらい>
・ヨベル、へこむ
・リン、ナミに叩かれる
・マリーゴールド「ぬっ」
・元老院の選択とは
・スッチ、決断を迫られる
場面は変わり、リン、ナミ、イザキ、スイ、オリス、スッチら元老院7名の集まる魂の間。
地球を支配したらまた子供を作ろう、と笑顔でスッチに問いかけるリンですが、スッチの脳裏には過去の子どもたちの笑顔が過っていました。
「こんなことになる前に、できることはなかったのだろうか」
「誰もが幸せになる選択はなかったのだろうか」
かつて、夫であるウルヴァ・アジェナが残した血清、それを6人の新生児への投与を決断したスッチ。
成長した6人が元老院となり、作り、残したQ人たち。
スッチとウルヴァの血を引く魂を宿したポピーとの出会い。
長いその生の中で、何度となく絶望の淵に立たされながらも、生きる希望を見出したこと。
しかし、一連の元老院の暴走と粛清により、それすらも打ち砕かれそうになっていること。
「こんな生は耐えられない」
スッチはリンにゆっくりと伝えます。
Q人の粛清をやめるように、自分たちは生き過ぎたと。
そのとき、魂の間にヨベルが突如現れました。
「失敗した。地球人もまた器でしかなかった」
痛みに苦しむヨベルに駆け寄るリンですが、払われてしまいます。
リンは混乱し、ヨベルに地球で自分たちテヤ人たちが再興しようと訴えかけました。
「地球上の生物をすべて焼き払いましょう!」
「ヨベル!私たちを導いて!」
そんなリンをとめたのは、ナミでした。
「もうやめましょう、リン」
激昂するリンはナミにも食って掛かりますが、ナミは「全て知っている」と続けます。
沈黙を貫いていたナミの口から真相が語られ始めました。
「私はオリス、スイ、イザキの3人にこう言った」
「すべてヨベルの思い通りにしてあげて、そうすればうまくいく」
一体どういうことかわかっていない表情をしているのはリンとスッチ。
どういうことかと尋ねるスッチに、ナミは一言謝り、すべてをQ人に託そうと言います。
「私はテヤ人として、尊厳ある死を望みます」
(84話)
もちろんリンはそれに納得がいきません。
ずっと共に生きてきたはずの元老院。
その中で、自分とヨベルが裏切られたことに対して、ナミに怒りをぶつけます。
そんなリンを諭しながら、ナミは自分たちが死を望む理由を淡々と語りました。
「ヨベルの導きは完ぺきだった。しかしそれはとても冷酷…」
「私たち4人は弱い。ヨベルを最後まで信じ抜ける確信がなかった」
「でもリン、あなた違う」
「あなたは絶対にヨベルを裏切らない。だから伝える必要がなかった」
ナミの言葉に、リンは涙をこらえきれません。
「ヨベルがあんなことにならなければ」
とリンを抱きしめるナミ。
ですが、スッチにはナミの言葉の真意がわかりません。
ナミに説明を求めますが、知らない方がいい、と返答を拒否されてしまいます。
そこにマリーゴールドが現れました。
元老院の面々に多くのQ人が死んだことを伝え、強く言い切ります。
「あなたたちを許すつもりはない。だがスッチは返してもらう」
マリーゴールドの復活により、スッチはある決断を迫られます。
長い時間を共に生きてきた元老院らと共に、過去を生き遂げるか。
あるいは、生きる希望となったマリーゴールド、ポピー、マリナらと生きる未来か。
「決断の時です」
ナミはスッチに言いました。(85話)
【スッチの決断】
<86~87話くらい>
・マリーゴールド、ナミと接触
・溜めてあったのは涙
・スッチの選択と決断
ナミに生か死か、未来か過去か、テヤ人かQ人かの決断を迫られたスッチ。
当然受け入れられるはずがなく、ナミを説得します。
「あなたたちにも艦長たちにも生きてほしい」
しかしナミはスッチの言葉を受け入れません。
ナミはマリーゴールドに、スッチに何か助言はないかと尋ねました。
「金色の子ども、あなたから言うことは?」
突然話を振られたマリーゴールドは、スッチにポピーの魂の件を伝えました。
「ポピーは思考制御の呪縛から解放された」
「ポピーのためにも私と一緒に来い」
ポピーのことを知らされ、その場に泣き崩れるスッチ。
マリーゴールドはナミのほうに向きなおり、魂が宿る条件を知っていたのだろう、と言います。
ナミはマリーゴールドの仮定が正しいと認め、「マリナメインのおかげか」と加えました。
そして泣き崩れるスッチに、急がないとこのままQ人が全滅してしまい、すべてが手遅れになる、と決断を迫ります。
しかしスッチは、ナミやリンたち元老院を残したのは自分自身であること、そんな彼らが死を選ぶ姿を見過ごすことはできない、と言います。
どうしても全員が助かる道を探したいスッチですが、そんなスッチにナミは言い切りました。
「わかりました。では私が決断しましょう」
と、マリーゴールドに近づき、彼女に触れようとします。
「1400年…ずっとあなたの形を感じたかった」
突然のナミの言葉に混乱するマリーゴールドですが、ナミはそのまま近づきます。
そしてマリーゴールドの口元を介して、神の目を破壊するコードを通しました。
「あなたがすべてのコードを手に入れてくれたお蔭で、神の目を破壊するコードを通せた」
ありがとう、とナミがマリーゴールドに背を向けた直後でした。
魂の間が大きく崩れ始めます。
マリーゴールドはスッチの元に駆け寄り、背を向けているナミに言いました。
「できればあなたも救いたい!あなたはずっとQ人のために動いていた!」
「神の目上層階に貯蔵された液体、あれはあなたが1400年かけて溜めた涙…」
しかしナミはそんなマリーゴールドに聞く耳を持ちません。
その間にも空間は大きく崩れ、魂の間は崩壊していきます。
マリーゴールドはナミの説得を諦め、スッチの手を握りました。(86話)
マリーゴールドによって、元老院らと再び袂を分かつことになったスッチ。
そんなスッチにナミが託したのは、『希望』でした。
「行きましょう、みんな」
「行くぞ!スッチ!」
魂の間は崩壊し、宇宙空間のような場に投げ出されたマリーゴールドとスッチ。
ですがそこも崩れゆき、とにかく2人の脱出が急がれます。
マリーゴールドと共に階段を駆け抜けながらも、スッチの脳裏に過っていたのは過去の風景でした。
幾度となく襲い掛かる絶望の中、生きてこれたのはウルヴァ・アジェナとの絆があったから。
ウルヴァが残した血清、それによって生き延びた新生児、彼らが作り出した命。
それがスッチを支えていた『希望』でした。
「この決断を、ウルヴァはどう思うのだろうか」
QWERTYが母星であるテヤから宇宙に飛び立った時期。
夫のウルヴァと共に、未来に希望を抱いていた頃。
その光景をおもいだしたとき、スッチは足を止めました。
「あの子たちだけを死なせるわけにはいきません」
どうにかスッチを助けようとするマリーゴールド。
しかしスッチはマリーゴールドに、自分という存在が生き残ってしまったら未来に問題が起きる可能性があること、ポピーへ感謝の気持ちを伝えてほしいことを伝えます。
そして向き直り、涙を流しながら笑顔で、別れを告げました。
「私はテヤ人ですから」(87話)
最後まで説得をするマリーゴールドが神の目の出口に吸い込まれるのを見届けるまで、スッチは壊れていく空間の中に立っていました。
【明かされる真相】
<87~88話くらい>
・スッチ、元老院たちの元に戻る
・マリーゴールド、ことみ、スマロ、脱出
・ヨベル、死んでいた
そのころ、神の目の外部。
正気を取り戻したスマロがことみを救出していました。
応急処置をしながら、地球の安否を気にすることみに「地球の通信は傍受できている」と伝えるスマロ。
と、そのとき神の目の眼球・瞳孔の部分が大きく盛り上がり、マリーゴールド1人が飛び出してきました。
この場が危険であることをスマロとことみに伝え、3人は脱出します。
「爆発する!脱出するぞ!」
一方、その崩れていく神の目内部。
ナミたち元老院の前にスッチが現れました。
驚くオリスらに
「仲間外れは嫌だな」
と力なく笑うスッチに、ナミは問いかけました。(88話)
「これは私がみた未来とは違います。先生、どうして」
ナミの言葉に、スッチは自分がかつて『先生』と呼ばれていた頃を思い出していました。
スッチのことを「お母さん」と呼んでしまっていたオリス。
大げんかをしたヨベルとイザキ。
ヨベルの提案でスッチは『先生』と呼ばれることになったこと。
元老院──子どもたちとの思い出をひとつひとつ伝えながら、スッチは謝罪を加えました。
「あんなことがあって、あなたたちから逃げてしまった」
かつて、ヨベルと口論になり襲われ袂を分かつた日のことでした。
その後のヨベルに何があったのか、スッチは知りません。
一度はぐらかされた質問を、スッチはヨベル本人に尋ねます。
しかしヨベルの様子が何かおかしく、何の反応も示しません。
「先生…破壊コードが承認された今、もうヨベルに声は届きません」
意味深なことを話すナミに詰め寄るスッチ。
ヨベルに一体何が起きているのか、というスッチの質問には答えず、ナミは続けます。
「スッチ先生を愛してくれている人はQ人の中にいる。それが何故わからないのですか」
私たちのことはもういい、と言うナミにスッチは詰め寄りますが、次にナミから聞いた言葉は衝撃的なものでした。
「ヨベルはスッチ先生を傷つけた後、自殺しました」
子どもを残すためスッチを襲ったヨベルは、その後罪の意識から自死を選びました。
発見したナミとイザキが遺体を埋葬しましたが、数日後ヨベルは何事もなかったように帰ってきたという事実。
ナミらにもヨベルに何が起きているのかわからなかったものの、『神の目に取り込まれた』という結論に至るしかなかったこと。
「ヨベルなのかヨベルでない何かなのか、分からない状態になっていた」
そのことはヨベルに寄り添っていたリンも把握していました。
その戻ってきたヨベルは、異常とも思える知識を他の元老院たちに与えていきました。
それは魂や神の目に関することについてでした。(72話前後の描写かと思われます)
ヨベルの真相を知ったスッチが選ぶ道は、元老院と共に滅びる道しかありません。
物言わぬヨベルを抱きしめるスッチ。
ナミはオリスに、オリスの願いを叶えられなかったことを詫びました。
「スッチ先生はどこまでも優しい人だ」
オリスはそう言って微笑みました。
場面は変わり、QWERTY、第3艦橋。
マリーゴールドを助けた折に境界面で負傷したポピーをマリナが介助していました。
そのときマリーゴールドを包んでいたプラズマ球体から、マリーゴールドとスマロとことみが生還します。
「マリナ!スッチの身体を強制解凍!急げ!」
マリーゴールドが息を切らしながらそう言い放ちました。(89話)
【架け橋】
<90~91話くらい>
・神の目、崩落
・スッチ、ウルヴァと再会
・ポピー、スッチに口づけ
・Q人全員、魂を手に入れる
スッチの身体はいくつか冷凍保存されています。
急いで解凍しつつも、蘇生のタイミングを誤ってしまうと、魂のない肉体として暴走しかねません。
しかし細胞死も同時進行する状況、マリーゴールドはスッチの肉体に声をかけ続けました。
「おまえは私の手を掴んだ!生きることを選択したんだ!」
スッチの魂は、元老院らと共に魂の間にいます。
ヨベルを温かく抱きしめるスッチ。
そのヨベルがかすかな声で「ごめんなさい」と言いました。
また、崩れゆく空間の中でいよいよ死が近づき、ナミが恐怖を訴えます。
そんな幼さの残る彼らの頭を撫で、スッチは言いました。
「大丈夫、怖くない」
その直後、大きな物音がQWERTY全域に響き渡ります。
神の目周辺に大きな衝撃が走り、全体の崩壊が始まりました。
しかしスッチの肉体は目覚める気配がありません。
焦るマリーゴールドは、涙を流しながら呼びかけますが反応がありません。
負傷して座り込んでいたことみがポピーを呼び、あることを伝えました。
崩壊していく神の目、魂の間。
スッチらはいよいよ最期を迎えようとしています。
スッチは笑っていました。
「すべてが光に包まれていく」
「やっと…死ねるのね」
スッチが呼んだ名前は、かつて愛し失った夫の名前・ウルヴァでした。
夢とも似つかない精神空間、光を帯びながらウルヴァとスッチは再会します。(90話)
「よく頑張ったね」
ウルヴァの言葉に涙し、抱擁を交わす2人。
口づけを交わしました。
一方、第3艦橋ではスッチの蘇生が続いていました。
泣き咽ぶマリーゴールドをどかし、ポピーが冷たいスッチの唇に近づきます。
スッチが目覚めたのはそのときでした。
スプリンクラーから液体が降る下、一同はびしょぬれになりながら、スッチの蘇生を見届けました。
誰より一番驚いていたのはスッチ。
「嘘…嘘…どうして!嫌…!」
「ヨベル!リン!ナミ!イザキ!スイ!…オリス!ウルヴァ!嫌!」
「死なせて…!」
涙を流すスッチ。
そんなスッチをポピーが受け止めました。
「生きてください。これが僕の選択です」
降り注ぐスプリンクラーを浴びながら、2人を見守るマリーゴールドたち。
それでもスッチはなお涙を流し続けました。
スプリンクラーは艦橋区だけではなく居住区にも広く降り注いでいました。
居住区には美しい虹が描かれました。
「この日、QWERTY全土に降り注いだ涙の雨は、すべてのQ人に魂を与えた」(91話)
長文をお読みいただきありがとうございます。
ここまでが『第3艦橋より』91話まで、QWERTY編のストーリーです。
物語は現在(10月末時点)で101.5話まで掲載されています。
ここでひと段落がつくのですが、いくつか疑問が残されていることに気づいている方も多いかと思います。
・地球に向かったこぴみ(複製体)はどうなったのか。
・リンとヨベルの侵入コードは明らかになっていない。
・オリスだけなんであんなに老けていたのか。
・ことみは地球に還れるのか。
・ポピーや艦長たち、Q人はどうなるのか。
このほかにもナミの言葉の中など、いくつかの謎が残されています。
それらのいくつかは91話以降の話で明らかになっています。
ことみはどうなる?
まさかの急展開。
さらに明かされる真実
この子どこの子。
こんな感じで、こちら、comico【『第3艦橋より』】 で1話~最新話まですべて読むことができます。
(個人的にはこのサムネもタイトルも伏線なんじゃないかって睨んでる)
が、10月中旬の『第3艦橋より』の連載が11月いっぱいをめどに終了するということが、城谷間間先生より発表されました。
残すは4話、ずっと応援してきた身としては寂しさも残りますが、この中でどれほどの謎がどれほどの鮮やかさを持って回収されるのか、それもまた楽しみであるという思いもあります。
手元に置いておきたい、また多くの人に読んでいただきたい作品です。
……というよりあまりのストーリーの出来の良さに、純粋な読書体験の共有として、読んだときの感想を教えてほしいです。
今ふと気付いたんだけど、最近の「第3艦橋より」の感想の殆どが、筋肉に関する内容という問題。どストライクなんです、細マッチョの筋肉。
ヨベルは胸筋、オリスは腹筋、ポピーは背筋。異論は認めない。
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 5月 20
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