妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

〈09冬、今ふたたびの奈良へ〉仏の道

2009-01-11 17:03:55 | ○09冬、今ふたたびの奈良へ
いざ飛鳥へ。
東に向かってペダルを漕ぎだした途端、足元を北風がすくう。
久しぶりに自転車乗ったのにこの仕打はないだろう、と悪態をついた。
「チャリ乗るとさ、風が気持ちよくってストレス発散になるんだよね」
いつだったかそう言っていたのは先輩だったろうか、確かに澄みきった風が気持ち良い。
実家では手放せないチャリは、今や通勤時間が10分から5分になる程度の違いだけれど、あれば少し違うかなとも思う。
それでもあたしが自転車を買わないのには半ば決意めいたものも混じっていて、この決意を忘れないために今でも歩いて10分の通勤を続けている。

そんなことを考えているうちに飛鳥寺へ着いた。
日本最古の大仏が奉られている寺だ。
大仏殿の前に人が集まり、やがて僧侶が説明をしはじめた。

冷えきった足元をさすりながら、1400年前に止利仏師が大仏に託した願いに思いをはせる。
はるか大陸から何日の船旅だったんだろう。
家族はいたんだろうか。
寂しくなかったんだろうか。
「仏の道はかくも険しいものか」
喉の奥で小さく呟くと、大仏がニコッと笑ったように見えた。
「この大仏さんはモナリザと一緒でね、左右非対称の表情なんですよ。しかも少し右に傾げているでしょう――」
目線の先には橘寺があるという。
橘寺、聖徳太子生誕の地。


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