参院選が終わり、マスメディアや保守系論客の間では、大躍進した新政党『れいわ新選組』の創立者である山本太郎氏のことで話題がもちきりとなっており、特に、山本氏のことを「演説がうまい」「次の衆院選の目玉になるかも」といった論調が目立っていますが、実際のところはどうなのか? 自分なりに少し考えてみようと思います。
まず、「演説がうまい」ということについては、元役者、元ダンサー? という観点からいえば当然といえば当然のことです。しかし、山本氏の今回の参院選での演説を見るに、これまでの山本氏とはちょっと違うように感じさせられ、かつ、山本氏が昨年末の国会の場で、いわゆる移民法に賛成票を投じた自称保守系自民党議員に対して、「保守じゃない!保身だ!」とヤジを飛ばした光景が、強烈なインパクトを残しました。
そして、選挙戦最終日の演説の場には、多くの聴衆が集い盛り上がったわけですが、私はこのとき、ふと、三年前の東京都知事選を思い出してしまったのです。
当時、 "嫌韓" の立役者である桜井誠氏が都知事選に立候補し、知名度としてはネット界隈では抜群でした。しかも、それまでもずっと至る場所において演説を繰り返しており、「演説の天才」とまで囁かれ、都知事選最終日の秋葉原での演説では大観衆を集めるほどの熱狂ぶりでした。正直、その動画を見た私自身も感動させられたほどです。
結果として桜井氏は、11万票余りで5位でしたが、知名度抜群だった鳥越俊太郎氏や小池百合子氏などを相手に戦った選挙戦においていえば、まさに大健闘といえるのではないでしょうか。
また、桜井氏は、都知事選の二年ほど前に大阪府庁へ乗り込み、当時の大阪府知事であった橋下徹氏と大論戦(単なるなじり合い)を繰り広げ、その模様をネットだけでなくメディアも大きく取り上げていましたから、これもまたインパクトとして強烈に残っております。
このように、いわゆるロスジェネ(就職氷河期)世代などをターゲットに参院選を戦った山本氏が、「日本第一」を掲げることで保守系の支持層をターゲットに都知事選を戦った桜井誠氏の真似をした、そんな風に感じて仕方がなかったのです。
しかし、単なる真似事ではなく、それまで右派・左派に分かれていたものを、日本経済ひとつにまとめ訴えたことで、今回の選挙結果に繋がったものともいえます。
次に、「次の衆院選の目玉になるかも」ということですが、それはあり得ないと考えます。あれだけの大風呂敷政策〔公約〕を掲げたのですから、何かしらひとつは結果らしい結果を出さなくては、人心はすぐに離れていきます。しかも、れいわ新撰組に投票された多くが、経済的理由とした若い層だということですから、固定票には繋がることもありません。
それにまた、その他野党と共闘する動きにでもなれば、さらに人心は離れてしまいます。
たしかに右派・左派の違いを重視しなくてもよい、といってみても、明らかに反日極左とわかる政党との共闘であっては、いくら "経済的理由とした若い層" といえども一票を投じるはずもありません。
ですから、メディアの単純な論調に流されて、「次の衆院選の目玉になるかも」というような安易な展望を抱くのではなく、「若い世代はそこまでバカではない」ということを、保守系論客〔特に年配の〕はしっかりと認識すべきだと思います。
以上、相も変わらずにあれやこれやと妄想を垂れましたが、願わくば、れいわ新撰組やNHKから国民を守る党のような新しい流れというものが、腐臭しか漂わずに泥水化してしまったもの全てを、洗い流していただきものです。
【討論】参議院選挙後の日本の近未来[桜R1/7/27]
※ 文芸批評家の浜崎洋介氏が、若者(全てではないが)の代弁者として実に明快にお言葉を発せられています。