和貴の『 以 和 為 貴 』

失敗は成功の元・・・現在の世界情勢に想う

2019年世界経済「2つの危機」 それでもアメリカは独り勝ちする


<貿易戦争で中国が弱り、EUが求心力を失うなか、「今はまだまし」な米経済は独り勝ちを決め込むが......>

※2019年1月15日号(1月8日発売)は「世界経済2019:2つの危機」特集。「米中対立」「欧州問題」という2大リスクの深刻度は? 「独り勝ち」アメリカの株価乱降下が意味するものは? 急激な潮目の変化で不安感が広がる世界経済を多角的に分析する。

◇ ◇ ◇

国家間の経済競争は駆けっこというより、ミス・コンテストに似ている。どの国の経済も美しい「見掛け」をアピールするのに必死だ。新しい年が始まったばかりだが、2019年のミス・ワールドは既に決まったようなもの。そう、今年も昨年に続き栄冠に輝くのはアメリカだろう。

米経済の現状は決して良くない。昨年末から株式市場は大荒れに荒れているし、所得格差や債務問題は未解決のまま。トランプ政権の経済政策は迷走を続け、中国との貿易戦争が凶と出るのは明らかだ。

それでも「各国経済の荒れ模様と比べたら、アメリカは一番ましだ」と、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のアダム・ポーゼン所長は言う。「米経済もどんどん悪化しているが、まだ優位にある」

ドナルド・トランプ米大統領の暴走で今年は世界経済がさらに大きな痛手を受けると、ポーゼンはみている。「設備投資は今以上に冷え込むだろう。アメリカも例外ではないが、それでも当面は相対的な優位を保てる」

確かに、競争相手は目を覆うばかりのひどい状況にある。まず危ぶまれるのは欧州経済だ。イギリスはEU離脱で袋小路に追い込まれ、EUはイタリアの規律なき予算案に手を焼くなど、またもや存続の危機に陥っている。

中国も危機の火種になりかねない。アメリカとの貿易戦争の激化で経済成長は失速。中国企業の過剰債務という爆弾は今年中に爆発する危険性があると、多くの専門家が懸念している。

そうしたなかでアメリカは「成長率、景気拡大の持続、失業率、インフレ圧力の抑制と、どれを取っても悪くない」と、IMF調査局のジャン・マリア・ミレシフェレッティ副局長は言う。それに比べ、欧州経済は「予想以上に急速に成長率が低下している」。さらに米経済は「完全雇用の状態では前例のない、非常に強力な景気刺激策」に支えられていると、ミレシフェレッティは指摘する。

トランプはミス・ユニバースの共同運営権を保有していたこともあり、ミスコンには詳しい。米経済が栄冠を手にするのは「経済の奇跡を起こした」大型減税のおかげだと主張。手柄を独り占めしようとしている。

だがトランプは既に好調だった経済に減税と規制緩和でバブル気分を吹き込んだだけで、その功績はほぼゼロ。それどころか貿易戦争を仕掛けて、逆風を起こしつつある。

トランプはここ数十年で最も幸運な大統領かもしれない。前任者が8年間の任期中にせっせとまいた種が実を結ぶ頃に就任し、収穫する立場になれたからだ。オバマ政権の政策のおかげで米経済は順調に回復、今夏にも景気拡大の最長記録を樹立する勢いだ。

長期に及ぶ景気拡大を可能にしたのは2008年の金融危機そのものでもある。深刻な経済危機は通常の景気変動とは異次元の景気後退をもたらす。通常の不況なら、回復の兆しが見えればすぐに消費が拡大するが、経済危機後は冷え切った消費や投資意欲が上向くのに時間がかかり、その代わり軌道に乗れば安定した回復が長く続く。

問題はトランプ政権が所得格差にほとんど何の手も打っていないこと。そのために起きる社会的・政治的混乱が米経済の足を引っ張る恐れがある。大型減税で主に企業と富裕層が潤う一方、輸入品への高関税と移民の流入制限は長期的に経済に打撃を与える。トランプ政権の経済政策は「ステロイド剤を打つようなもの」と、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授(経済学)は言う。「何年か好調を謳歌できても、手痛いしっぺ返しを食らうことになる」

それでもなお、近い将来に実体経済が悪化する恐れがあるのはアメリカ以外の国々だ──多くの専門家がそう口をそろえる。これまで世界経済の成長を引っ張ってきた中国だが、専制的で内向き志向に傾く習シー・チンピン近平国家主席が自国経済の失速に対応できるか、あるいは中国企業の「桁外れに膨張した債務」を解消できるか、かなり危うい状況だと、コロンビア大学のアダム・トゥーズ教授(歴史学)は指摘する。 

米中貿易戦争の激化を受けて、IMFは中国経済の2019年の成長率予想を6.2%に下方修正した。大半の国にとっては十分高い成長率だが、中国政府が国民の不満を抑え込むにはもっと急速な成長が必要だ。

インドとASEAN諸国の経済は安定しているようだ。中南米は「苦戦中」だと、IMFのミレシフェレッティは言う。アルゼンチン経済は失速、ブラジル、メキシコも不調で、ベネズエラは既に破綻している。日本経済は超低空飛行を続けているが、人口の減少を考慮すれば1%前後の成長率でもそれほど悪くない。ただし、国家が抱える膨大な借金や消費税の増税といったリスク要因はある。

悪化が際立つのはEUだと、PIIEのポーゼンは言う。「反EU感情と経済ナショナリズムが吹き荒れる状況を見れば、米経済のほうがまだましだと言いたくなる」

平成31年01月08日 ニューズウィーク日本版 マイケル・ハーシュ(フォーリン・ポリシー誌記者)


【 所 感 】

フランスにおけるイエローベスト運動にも見られるように、自由資本を基としたグローバリゼーションの最大の問題点というのは、貧富の格差が広がる仕組みにあるということだ。さらにいえば国連安保などの国際機関の不安定さが極まりだした近年以降、先進各国の間では第三次大戦や大小紛争を意識するようになったことで、ナショナリズムへ移行していったのだと考えられる。

まずもって、そうした反省の下にこれからの世界経済を論じるべきだが、当記事を読む限りは全くと言って皆無であり、ひたすらに反ナショナリズムを煽るのみで、本当に世界経済を良くしていこうとする論調にない。

そして、問題だらけである自由資本グローバル経済というものが、これほど全世界に蔓延してしまえば、大損害を被る国も出てくるのは致し方のないことであり、然るに各国首脳や各国国民は、少しでもその損害を減らすために真剣に考え、尽力しているわけである。

そんな中、わが国日本というのは、全くの逆を行っているわけであるが、なんら経済的安全保障も確立されていない現状を考えたならば、欧米諸国が経験してきたこと以上の事態が起こるのではないだろうか、と懸念してしまう。

一度、原点に帰るという意味においてのナショナリズムというのは、次なる世界平和に結び付くことにもなるやも知れないのだから、失敗すればまた原点に帰るを繰り返しながら、緩やかに進めていけばいいだけだと思う。

失敗は成功の元。

失敗を恐れずに次世代へ繋いでいくことこそ、現在を生きる者の務めともいえよう。

【 ご訪問、有難う御座いました。 】 


↓↓モチベーション維持にご協力お願い致します。m(_ _)m

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「海外」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事