StarGAZER or ZeroOff
どちらにしますか?
DBW(Drive By Wire)。 つまりスロットルケーブルを使わずに、スロットルレバーの角度をエンジンのスロットルに電気信号として伝えて、エンジンのスロットルをモーターで開けたり閉じたりすることで、エンジン回転数を上下させる仕組み。
DBW搭載のボート&エンジンなら、ZeroOffもStarGazerも搭載可能です。
一方、DBW化される前のボート&エンジンであれば、PerfectPassが使用可能です。
PerfectPassは1995年創業のSpeed Controlの老舗。
日本では1997年頃、琵琶湖のスキーノーティックや徳島のマスタークラフトに搭載されていたのが最初でしょうか?
当時はDigital Proと呼ばれる第3世代のコントロールユニット(Master module)ではなく、第1世代のコントロールユニットでした。
現在の第4世代ようにGPSコントロールではもちろんなく、回転数ベースのスピードコントロールでもありませんでした。 ピトー管からの水圧と空気圧でスピードを読み取り、スピードベースで回転数を上下させ、スピードをコントロールしていました。
ピトー管が詰まれば制御が出来なくなるなど、課題の多かった機械です。
当時オリンピック競技へのステップアップを考えれば、ドライバーとの呼吸次第で高記録が望めてしまうハンドドライブとは決別していく必要があったのかもしれません。
その後、長良川に第2世代のPerfectPass Proが導入されたようです。
このPerfectPass Proは、その後学生連盟のMalibuに移植され2001年から大会で本格的に運用されました。
Digital Proに比べ、若干大きなコントロールユニットで、まだピトー管からの水圧・空気圧でスピード情報を獲得しており、制御自体はあまり巧妙ではなかった記憶があります。
第1世代との大きな差は、チップ交換によるSoftwareのVersion Up対応が可能となったことです。
これは大変有用で、当初スピードベースでしか運用が出来なかったSlalomとJumpに関し、Version Upにより、回転数ベースの曳航が可能になったのです。
これによりずいぶんと現在のPerefectPassの姿に近づきました。
ただしトリックのスピード制御は、大変気難しいものでした。
昔からあるアナログのスピードメーターは、スピード表示のレスポンスを高めるための裏技がありました。 ピトー管から水を入れるのです。
通常、ピトー管はプラットホーム(ステップとかデッキとか呼ばれる、スキーヤーが水からボートに上がる為のもの。ボート最後尾にある)の下に装備されており、そこから水を吸い込み、ピトー管とスピードメーターの間にあるチューブの中の空気を押し出す形でスピードメーターに圧力を加えます。
ただし、空気の圧力ですから、圧力の伝わる速度が遅く、メーターの指針の動きも実際の速度を反映するまで一呼吸を必要としていました。
そこで裏技です。 空気が干渉しているからレスポンスが悪いわけで、水にしてしまえばレスポンスは向上するはずです。
こうして、旧来からのスキーヤーはボートのメーターへのチューブの中に水を入れてレスポンスを向上させていたのです。
やり方は簡単です、船が走行中にメーター裏からチューブを引き抜けばよいのです。自動的にピトー管のチューブから水が溢れてきます。
溢れてきたら、メーターに接続すればよいのです。
これで、レスポンスの良いメーターに早代わりです。
同じ事をPerfectPass Proで試しました。
レスポンスが良くなるどころか、スピードの上下がとまりません。
「ううぉ~ん」「ううぉおおおお~ん」「ううぉおおおおおおお~ん」と回転数が上下するのです。
何でか分かりません。
理由は二つ。
スロットルのリターンスプリングの張力が弱いか、ピトー管のチューブに水が入っているかのどちらか。
当時は2番目の原因に気がついていませんでした。
てっきりリターンスプリングが弱いと思っており、リターンスプリングを強化したのです。
それでもスピードが安定せず、2番目の原因に気がつき、ようやく解消しました。
これに半年ぐらいを要しました。
当時は誰も教えてくれる人がいなかったのです。
この経験は今でも生かされており、第4世代のGPS付きStarGazerを投入したときに、リターンスプリングが弱いことに気がつけたのです。(後述)
さて、第2世代のPerfectPass Proと第3世代のPerfectPass Digital Proの差は、なんといってもPaddle Wheel(船底に取り付けた水車)の回転数によってスピード情報を獲得出来た事でしょう。
Paddle Wheelの考え方は、漁船の世界では昔から導入されていた技術だと聞いたのが衝撃的でした。
これにより、トリックのスピード制御が格段に正確に、きめ細かい作動をするようになりました。
スラローム・ジャンプともにVersion Upを繰り返すうちに、理想のハンドドライブをプログラミング化していくのが良く分かり、大変な共感を覚えました。
第3世代目で一番痛い目を見たのはVer. 6.0です。
これはひどかった。
SlalomのSkier Weightの情報が、Jumpモードに反映されてしまうのです。
SlalomのSkier Weightの情報は、そのままBase Lineの回転数に加えられますので、たとえば145ポンドの選手を3600rpmの58km/hのベースラインで曳航した場合は3,745rpmで走行します。 (Crew Adjustを除く)
この145rpmの情報が、なぜかJumpモードにしても引き継がれており、自動的に145rpmを調整してしまうのです。 145rpmといえば2km/h程度のスピード換算になりますので、Jumpの許容範囲に入るはずもなく、あっさり再送!になってしまうのです。
ドライバーに理由はまったく分かりません。 ベースラインは試走で散々調整しているのですから…。
結局、PerfectPassに問い合わせたところ、Softwareのバグだとの事。 危うくチャンピョンシリーズ(学生の大会)を予定通り消化できないところでした。
と、書き出せばきりがないのですが、PerfectPassへの思い入れと苦労が沢山あるので、なかなかZeroOffにいけないというのも事実です。
明日はもう少し深堀りしてみましょうか…
どちらにしますか?
DBW(Drive By Wire)。 つまりスロットルケーブルを使わずに、スロットルレバーの角度をエンジンのスロットルに電気信号として伝えて、エンジンのスロットルをモーターで開けたり閉じたりすることで、エンジン回転数を上下させる仕組み。
DBW搭載のボート&エンジンなら、ZeroOffもStarGazerも搭載可能です。
一方、DBW化される前のボート&エンジンであれば、PerfectPassが使用可能です。
PerfectPassは1995年創業のSpeed Controlの老舗。
日本では1997年頃、琵琶湖のスキーノーティックや徳島のマスタークラフトに搭載されていたのが最初でしょうか?
当時はDigital Proと呼ばれる第3世代のコントロールユニット(Master module)ではなく、第1世代のコントロールユニットでした。
現在の第4世代ようにGPSコントロールではもちろんなく、回転数ベースのスピードコントロールでもありませんでした。 ピトー管からの水圧と空気圧でスピードを読み取り、スピードベースで回転数を上下させ、スピードをコントロールしていました。
ピトー管が詰まれば制御が出来なくなるなど、課題の多かった機械です。
当時オリンピック競技へのステップアップを考えれば、ドライバーとの呼吸次第で高記録が望めてしまうハンドドライブとは決別していく必要があったのかもしれません。
その後、長良川に第2世代のPerfectPass Proが導入されたようです。
このPerfectPass Proは、その後学生連盟のMalibuに移植され2001年から大会で本格的に運用されました。
Digital Proに比べ、若干大きなコントロールユニットで、まだピトー管からの水圧・空気圧でスピード情報を獲得しており、制御自体はあまり巧妙ではなかった記憶があります。
第1世代との大きな差は、チップ交換によるSoftwareのVersion Up対応が可能となったことです。
これは大変有用で、当初スピードベースでしか運用が出来なかったSlalomとJumpに関し、Version Upにより、回転数ベースの曳航が可能になったのです。
これによりずいぶんと現在のPerefectPassの姿に近づきました。
ただしトリックのスピード制御は、大変気難しいものでした。
昔からあるアナログのスピードメーターは、スピード表示のレスポンスを高めるための裏技がありました。 ピトー管から水を入れるのです。
通常、ピトー管はプラットホーム(ステップとかデッキとか呼ばれる、スキーヤーが水からボートに上がる為のもの。ボート最後尾にある)の下に装備されており、そこから水を吸い込み、ピトー管とスピードメーターの間にあるチューブの中の空気を押し出す形でスピードメーターに圧力を加えます。
ただし、空気の圧力ですから、圧力の伝わる速度が遅く、メーターの指針の動きも実際の速度を反映するまで一呼吸を必要としていました。
そこで裏技です。 空気が干渉しているからレスポンスが悪いわけで、水にしてしまえばレスポンスは向上するはずです。
こうして、旧来からのスキーヤーはボートのメーターへのチューブの中に水を入れてレスポンスを向上させていたのです。
やり方は簡単です、船が走行中にメーター裏からチューブを引き抜けばよいのです。自動的にピトー管のチューブから水が溢れてきます。
溢れてきたら、メーターに接続すればよいのです。
これで、レスポンスの良いメーターに早代わりです。
同じ事をPerfectPass Proで試しました。
レスポンスが良くなるどころか、スピードの上下がとまりません。
「ううぉ~ん」「ううぉおおおお~ん」「ううぉおおおおおおお~ん」と回転数が上下するのです。
何でか分かりません。
理由は二つ。
スロットルのリターンスプリングの張力が弱いか、ピトー管のチューブに水が入っているかのどちらか。
当時は2番目の原因に気がついていませんでした。
てっきりリターンスプリングが弱いと思っており、リターンスプリングを強化したのです。
それでもスピードが安定せず、2番目の原因に気がつき、ようやく解消しました。
これに半年ぐらいを要しました。
当時は誰も教えてくれる人がいなかったのです。
この経験は今でも生かされており、第4世代のGPS付きStarGazerを投入したときに、リターンスプリングが弱いことに気がつけたのです。(後述)
さて、第2世代のPerfectPass Proと第3世代のPerfectPass Digital Proの差は、なんといってもPaddle Wheel(船底に取り付けた水車)の回転数によってスピード情報を獲得出来た事でしょう。
Paddle Wheelの考え方は、漁船の世界では昔から導入されていた技術だと聞いたのが衝撃的でした。
これにより、トリックのスピード制御が格段に正確に、きめ細かい作動をするようになりました。
スラローム・ジャンプともにVersion Upを繰り返すうちに、理想のハンドドライブをプログラミング化していくのが良く分かり、大変な共感を覚えました。
第3世代目で一番痛い目を見たのはVer. 6.0です。
これはひどかった。
SlalomのSkier Weightの情報が、Jumpモードに反映されてしまうのです。
SlalomのSkier Weightの情報は、そのままBase Lineの回転数に加えられますので、たとえば145ポンドの選手を3600rpmの58km/hのベースラインで曳航した場合は3,745rpmで走行します。 (Crew Adjustを除く)
この145rpmの情報が、なぜかJumpモードにしても引き継がれており、自動的に145rpmを調整してしまうのです。 145rpmといえば2km/h程度のスピード換算になりますので、Jumpの許容範囲に入るはずもなく、あっさり再送!になってしまうのです。
ドライバーに理由はまったく分かりません。 ベースラインは試走で散々調整しているのですから…。
結局、PerfectPassに問い合わせたところ、Softwareのバグだとの事。 危うくチャンピョンシリーズ(学生の大会)を予定通り消化できないところでした。
と、書き出せばきりがないのですが、PerfectPassへの思い入れと苦労が沢山あるので、なかなかZeroOffにいけないというのも事実です。
明日はもう少し深堀りしてみましょうか…
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