この掟は誰が決めたのかは不明ですが、チベット仏教ではホトケが定めたとされ、それは慈悲の心からとされます。
小清の開示は、希聖が上海での革命運動に向けて出立する前夜に行われます。
2人は山の隠れ家で最後の夜を共にし、小清は希聖にバルドゥ(魂)の世界を示します。
まずは現世での希聖の姿を観せ、それは遠々と広がる高原の夜を行善が、希聖を乗せた台車を押して行く姿でした。
希聖は自分が臨終に際している事を思い出し、小清が死出の旅路のガイドになってくれた事を悟ります。
記憶の回路が損傷している希聖には、これからどんな道のりを進んで行くかハッキリとは思い出せませんが、臨死体験の回想はリアリティを持って続いて行きます。
それは既に夢だと気付いている夢であり、その夢は定められていて自由は利きませんが、小清を呼べばいつでも彼女と2人だけになって話せました。
小清は希聖を自由自在にガイドして、夢の奥底の現実を観せます。
それは希聖が観る事の出来なかった現実で、彼が血祭りに上げた地主一族の葛藤や、無理やりゲリラにして戦わせた農民一家の苦しみだったりしました。
希聖は自分の罪をまだまだ総括できていない事を知り、今度の審判は紅衛兵以上に厳しい事を悟ります。