白は７色のプリズムが乱反射して生じる、一種特別な色です。
太陽光の乱反射を一番よく見かけるのは雲で、空の青と美しいコントラストを成しています。
私はこの青と白のコントラストが好きで、家のペンキ塗りはいつもこの２色でやっております。
チベット高原では低地のように雲は多く見られませんが、山の天気が変わり易いのと同じで、とても早く流れる雲が見れます。
それでも高原は気温が低いので、一年の内1/3は雪に覆われます。 もちろんヒマラヤの山々は一年中真っ白で、高原の強い日差しを浴びてキラキラと輝いています。
チベット高原はかつて海底だったので、その地質はサンゴが化石化した石灰岩で占められ、これも白っぽい岩です。 塩湖もあって真っ白な塩の結晶が沢山採れ、これは必須ミネラルが全て取れる最高級の塩でチベットの交易を発展させました。
こうした白が優勢を占める世界では動物達も白くなり、特に真っ白な毛を持つヤクが特徴的です。 この毛から作られる冬物衣服は中国・インドで最高級とされ、チベットの酪農は牛乳や肉よりも毛が主要産物となっております。
セイがシャングリラで多くの女性の心を捉えられたのも、この真っ白に輝く衣服のお陰と言え、「私もあんな服が欲しい」という動機でヒマラヤの王国建設に参加する女性も多く居りました。
シャングリラにも毛長牛はおりますが毛の色は茶色か黒で、そうした牛も今回のヒマラヤ遠征には２人に１頭くらいの高い割合で参加します。 この毛長牛たちは荷物の運搬と牛乳の提供を果たしますが、途中の草地で放牧する必要性も生じさせます。
なのでこのヒマラヤ越えの行軍は聖山カイラスに到達するまで２ヶ月間にも及びましたが、夏場の盛大なグランピングは彼女達にとって善き一生の思い出となります。
