ここでまた寄り道をして、シャローム教授が追求した「真の平和宗教」について描いてみます。
まず、現在の世界で最も厳格な宗教とされる「超正統派ユダヤ教」について載せました。
これは「アーミッシュ」と共通する反文明主義の宗教ですが、ヒッピーに近い自然主義のアーミッシュに対し、超正統派は都会に住み政治権力を持つので厄介な存在です。
わたしはイスラエルにはまだ行けてませんが、ニューヨークで超正統派ユダヤ教徒は多く見かけて、彼等からはイランの宗教指導者よりも時代錯誤的なオーラを感じました。
インターネットは勿論テレビすら見ず、神学校でひたすら古代宗教ばかりを勉強して来た彼等は、地球上で最も珍妙で頑迷な部族と言えます。
そうした伝統に固執する頑迷さが「シオニズム」を生み、この聖地エルサレムの復活を目指した運動は、エルサレムを曾ての「西ベルリン」の様な高い壁で覆われた監獄都市にしてしまいました。
そこに古代から住んで来たパレスチナ人は、特別許可がなければエルサレムに入れず、夜の10時以降もそこに逗まると逮捕されるそうです。
そんな監獄の様な聖地で「真の平和宗教」が栄えるとは到底思えないので、シャローム教授は「壁を引き裂く運動」を推進して聖地の復活を目指します。
この運動のスローガンは「人はみな神の子」で、それを否定するような宗教は間違っていると訴えます。
超正統派ユダヤ教徒がどれだけ古代宗教を研究しようとも、この根本原理を忘れてしまっては意味がないとし、この「神の子運動」はキリスト教徒とイスラム教徒の和解に貢献して、シャローム教授はノーベル平和賞を受賞します。