およそ一万年前に、聖山カイラスの麓で発祥したという伝説が残る幻のシャンシュン王国は、地球上で最も「何もない国」でした。
そこには聖なる牛ヤクが元々住んでいましたが、その肉と牛乳、皮や毛に依って人は辛うじて生き永らえました。
後に灌漑設備が整って、大麦が栽培される様になると食生活は安定しましたが、それでも今の日本と比べれば「何もない」と言ってもいい質素な暮らしでした。
しかしそうした「何もなさ」が、男女の愛を清らかに育むという考え方もあり、実際に「何もない国」の方が子供の出生率は遥かに高く成っております。
これは今の日本に必要なコトかと思われ、物語りにする価値があると思います。
しかし、それは単にヒマだからヤッちゃうだけで、フリーセックスなんて野蛮だとも言われそうです。
まあそれはそうかも知れませんが、結婚して他と差別化するヤリ方が、果たしてそんなに清いのか? という疑問は残ります。
実際に多くの男女がその「清い」とされる縛りから逸脱して、互いにウソをつき合うコトがしばしば見受けられます。
挙げ句の果てに離婚裁判となり、子供の心が引き裂かれるくらいならば、もう余り「清さ」などに拘らず大っぴらにヤッちゃえば良い気がします。
家の血筋なんてモノも生物学的には意味が無く、人はみな平等に色々な才能に恵まれて生まれ、周りの環境によって育まれます。
この環境で差別が生じてしまっているのが日本の現状なので、シャンシュン王国では皆が平等に才能を伸ばして行ける環境を描きたいと思っています。
子供たちを育み導いて行く清い仕事は、トゥルク(転生者)であるセイによって先導され、彼女は女王でもあるので絶大な求心力を持ちます。
セイの指導に母親は良く従い、社会全体で子育てをする体制が出来て行きます。
それは新しい王国を築いて行く上で、最も重要な仕事だという認識は共有され、子供たちは大事に育てられます。
その具体的な方法論については、次回に述べたいと思います。