真の動物福祉牧場を目指して

7. 有効微生物群 (EM)

光合成細菌、酵母、乳酸菌と来たので、この生産者、分解者、消費者を三位一体にしたカルチャー(微生物資材)の有効微生物群(EM)を今回はフィチャーします。

これは前回の最後に語った「ヒトが生態系から委託された役割」、つまりシントロピー(生命現象)圏を広げるというプラクティス(実践)に善く貢献しているカルチャーです。

こうしたカルチャーは幾種類かあり、アカデミーの世界ではよく Beneficial Microorganisms (有用微生物群)と言うタームも見かけます。
これと Effective Microorganisms の違いは、「有効」という学術用語がデータを示さなければ使えない所に在ります。

EMは最も有効性が示されているカルチャーで、その論文数は500本を超え、他の有用微生物群とは現場での実績からしても多きく水を開けております。
因みに有効性が示されなかった論文も5%程あり、これは生態系をコントロールする事の困難さを示しています。
ドクター テルヒガ(EM開発者)はこれについて、生態系のシントロピー(蘇生)能力が蘇るまで実験を継続する必要があるとし、途中で辞めなければいつかは必ず有効性は得られるとしています。

カルチャーが現場での研究に用いられる場合、それはしばしば崩壊した生態系に対して用いられます (例えば真っ黒な中国の川とか)。
こうした現場で生態系のシントロピー(反エントロピー)能力を回復させるのは容易なコトではなく、川だったら1年間は継続的にEMを投入する必要があります。
なかなかココまでやってる研究は少ないのですが、中国語のEM論文(100以上ある)では頑張って「有効」まで辿り着いております。

ちょっと中国のアカデミー界に話を脱線させますが、この国では権威ある論文に逆らう向きは殆ど観られず、EMは国営企業も積極的に活用している資材なので、「有効」が示せなかった研究は発表すらされておりません。
しかしこれは些か問題のある風習に思え、研究は「失敗から学ぶ」姿勢が大切なので、「なぜ上手く生態系を蘇らせられなかったか」を教えてくれる論文も在って然るべきかと思います。

「真っ黒な川」という表現を用いましたが、これは高度成長時代の日本にも今の中国と同じ様に沢山あったと聴きます。
中国の場合は人口が日本の十倍なので、その生活排水による汚染も十倍は酷く、工場排水の浄化規制を日本レベルにまで高めても、なかなか「真っ黒な川」に生態系は蘇って来ません。

ここにシントロピー ソリューション(解決)を齎すには、家庭で使われる洗剤をエコ フレンドリーな物に変える必要がまず在ります。
このプラクティスについては「環境浄化石けん」という本でとても熱く語られていますので、その紹介をしたいと思います。

この本の著者は「シャボン玉石けん」の社長で、日本の「真っ黒な川」の原因になっていた洗剤のメーカーでした。
しかしこの崩壊した生態系の中で育つ子供たちは、川遊びなんて出来ずにオタクや不良になり、その子らは成長しても大人たちへの感謝を知らないロクデナシに成って革命を叫びました(安保闘争の時代の本です)。

「川で遊べない子供たちの国」は日本から、中国や東南アジアとインドにまで広まってしまい、その高度成長のツケを払う責任が日本の洗剤メーカーには有ると著者は自覚しました。 そしてそれまでの化学洗剤の製造ラインを全廃して「環境浄化石けん」への挑戦に踏み切ります...

これはもちろん多難な道のりで、数百人の社員は1年程も給料が貰えない状態になりました。
それでも辞める社員は居らず、ついには生態系と社会の委託に答える製品を完成させ、その支持者も集めて企業としての成長を成し遂げました。

これほど感動的な本はなかなか無いかと思え、とかくEMに対する中途半端な批判の多い日本では、イントロドゥースするのに最適な本かと思います。



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