因みにクシャナは、1世紀頃に「愛の国ガンダーラ」をシャングリラ地方に打ち立てた女英雄で、彼女については前作「Say」でだいぶフィーチャーしました。
話を「Sun」の物語のユパに戻しますと、彼は秀祥(しゅうしゃん)と同い年で105歳とし、ダラムサラーでは長老として秀祥の葬儀を取り仕切って、新しいトゥルク(転生者)を見つけ出す役割も担うとします。
彼はトゥルクの2人の護衛の内の小柄な方で、その役回りは「Syn」と共通するので両方ともユパで通そうかと思い、そっちのユパは長崎で原爆の熱線からトゥルクを護って亡くなります。
この小柄な護衛は智略に優れたキャラクターとして描いて来て、大柄な護衛(ミト)を指揮する役柄としました。
これは以前、「ゴールデンカムイ」の小柄な英傑、月島をモデルにするとしましたが、どうせならば主人公アシリパの父、ウィルクの方が合っていると考え直しました。
ウィルクはロシア革命を起そうと画策するポーランド貴族の末裔で、極東に追いやられますがそこで原住民の力を結集させてロシアから独立しようとします。
その為に北海道のアイヌを1つにまとめようとしますが、それは結局「金の神」に阻まれて失敗します。
それでも娘のアシリパは「金の神」を上手く調伏して争いを収め、その「金」によって北海道に自然保護区を打ち立ててハッピーエンドとなります。
この終わり方には些か物足りなさを感じる人も多いのではないかと思い、やはり極東民族の蜂起によってロシアから独立を勝ち取る所まで描いて欲しかったです。
「Sun」の物語では当然、チベットやウイグルが中国から独立する所まで描くつもりで、それを果たすまでユパには活躍して貰う予定です。
そのため彼には120歳くらいまで長生きして貰う必要があり、その「長生きの秘訣」を「賢者ユパ」の章では語ってもらいます。 −−
−− わたしは秀祥様と同い年で、19歳からずっと彼女の護衛として側に控えて居りました。
なのでわたしは秀祥様と1番永く一緒に居た身であり、この誉ある任務を授かれたコトを、先祖の善きカルマのお陰と感謝しています。
正直に振り返りますと、わたしの護衛としての任務はとても楽でした。
それは「聖戦士ミト」の圧倒的な存在感のお陰もありましたが、何よりも秀祥様の仁徳のお陰であり、彼女に危害を加えようとする者は1人もおりませんでした。
なのでわたしの任務は専ら、秀祥様のお側に最期まで仕えるコトとなり、ミトが15年前に寿命で逝ってからは1人でこの任務を全うしました。
これは言わば「自分との闘い」であり、100歳を超えてもなお秀祥様をお護り出来る強健さを維持するコトが仕事でした。
その為わたしは健康医学についての本を読み漁り、「チベット体操」や「外気功」の実践もかなり積みました。
残念ながらわたしには、他人の気を癒す程の「外気功」の素質は有りませんでしたが、周りの気を感じてそれを取り込む素質はあったようで、秀祥様の気によってわたしは常に癒されておりました。
そんなわたしはどうやら、人類の最高齢である122歳にチャレンジする資格を得たようで、105歳ですがまだまだ精神に衰えは感じておりません。
肉体的にもまだ80代で通様する程で、これは摂生によって「ミトコンドリア代謝」を優位に保てているお陰だと思っています。
「外気功」というのは即ち、全ての細胞の中に共生しているミトコンドリアの力を引き出す術かと思い、その効率を高められれば動物は少ない食物でATP(生命エネルギー)を賄えて、細胞のガン化も予防できます。
これによって秀祥様は、肺ガンで苦しむナヴァホ族の人々を癒されたのかと思い、彼等の生活習慣の中に農耕を広めたコトも、ガンを克服する上で大きな役割を果たしたと思えます。
人は食べるコトによって生きていますが、本当に生きた食物でなければ、人の真の健康は保てません。
そうした「本当の食物」を育てる術を秀祥様はナヴァホ族に伝えられ、それはウランで汚染されたナヴァホの地を「有効微生物群」によって「浄土」とする方法に依りました。
この「有効微生物群」は秀祥様が前トゥルクのサラ様から引き継いだモノで、その中の菌達は放射性物質を取り込みエネルギー源とし、作物への放射能の移行を防ぐコトが証明されています。
更に放射能によって活性化された菌達は多くのミネラルを溶かし出し、それを作物に与えてくれるので元気に育ちます。
ミネラルは酵素の核となって遺伝子を発現させ、眠っていた遺伝子も目覚めた作物は「本当の食物」となり、わたし達の心身を健康に養ってくれます。 −−