「バルドゥ-トドル」(チベット死者の書)は、自称三万年の伝統を誇るボン教の秘伝が仏教風にアレンジされた書で、純粋な精神文明の書なので我々物質文明人には理解しずらいのですが、一説だけ引用してみます。
その前に、物質文明の定義について寄り道させて貰います。
これは中国がそのトップを切っている文明で、革命的唯物論をその旗印としております。
これは革命時代の若者達の心を大いに捉えた思想で、真理は人間の生み出した下らない観念の遥か先にあり、それは物質の根源である元素やエネルギーの知見が深まって来た事に依りました。
ニーチェが「神は死んだ」と言い切った程それは革命的で、若者達は大人達の宗教や社会をバカにして革命に走りました。
これは勿論バカな若者達の増長であり、神に成れると錯覚した人間達のサーガ(叙事詩)を生み出しております。
しかしこうしたサーガ(悲劇)が起こってこそ人類は進歩するとも捉えられ、革命で犠牲となった数億もの人民の命に捧げる物語を書こうと思います。
トドル -- 高貴なる生まれの者曹希聖よ。あなたに生まれながら備っていた知が、五色の光に輝きながら糸のように依り合わさって煌めき、息づき、震えながら、女神の化身達の心臓から射し、あなたの心臓を刺し貫き、あなたは目をあけていられないほどになるでしょう。同時に畜生界の緑のうす明かりも、知恵の光とともに現れるでしょう。そのときあなたは無意識に五色の光を恐れて逃げ出し、畜生界からのうす明かりにひきつけられるでしょう。しかしあなたは明るくて鋭い五色の光を恐れてはなりません。恐れないで、それが知識であることを覚りなさい。
その光のなかから存在の根源の音が、何千もの雷鳴の轟きのようにいっせいに響きわたるでしょう。鳴り響き、炸裂し、雄叫びと怒りの呪文がこだまし、突き刺さってきます。それを恐れてはなりません。逃げてはなりません。怯えてはなりません。それがあなたの心の働きによるものであり、あなた自身の心の投影であることを認識しなさい。明るく輝く五色の光に心を寄せて、尊い女神の化身の心臓のなかに虹の光となって溶け入りなさい --
これが「バルドゥの難所」とされる節のさわりです。
この時にはもう女神(小清)は憤怒尊に化身して試練を課す側に回っており、助け船を失った希聖は炸裂する雄叫びや怒りの呪文に突き刺されます。
これはどう考えても戦場の追体験に相応しく、次回は紅軍が長江渡河の難所であわや全滅する所だったのを、希聖が活路を開いて救った闘いを描きます。