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大手広告代理店である使用者Yに勤務していた労働者A( 大学卒の新入社員) は、長時間に及ぶ時間外労働を恒常的に行っていて、うつ病に罹患し、入社約1 年5ヵ月後に自殺した。第一審原告であるAの両親Xらは、Aの自殺はYにより長時間労働を強いられた結果であるとして、Yに対し、民法415条又は709条に基づき約2億2,260万円の損害賠償を請求した。第一審(東京地判平8.3.28 労判692‐13) 及び原審(東京高判平9.9.26 労判724‐13) 判決はともに、Aの長時間労働とうつ病、及び、うつ病とAの自殺による死亡との間の相当因果関係を認めた。また、Y側の過失の有無につき、Yの履行補助者(Aの上司ら) による安全配慮義務違反の存在を肯定した。第一審はYに約1億2,600万円の損害賠償の支払いを命じたが、原審は過失相殺を行い、損害額の7割をYに負担させるのが相当として減額した(約8,910万円)。Y、Xらともに上告。
【判決の内容】
遺族側勝訴(なお、原審の過失相殺判断における遺族側敗訴部分についても破棄差戻し)
使用者は「業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」。それゆえ、使用者の履行補助者である上司等は、このような注意義務の内容に従って労働者に対し業務上の指揮監督権限を行使するべきである。原審は、Aの常日頃からの長時間にわたる残業実態、疲労の蓄積に伴う健康状態の悪化、これに対しAの上司らが何らの措置も採っていないこと、及び、うつ病に関する医学的知見を考慮に入れている。そのうえで、Aの業務遂行とそのうつ病罹患による自殺との間には相当因果関係が存在するとし、Aの上司らがAの健康状態の悪化等を認識しながら、その負担軽減措置を採らなかったことにつき過失があったとして、Yの民法715条に基づく損害賠償責任を肯定した。このような原審の判断は正当であり是認できる。
電通事件 最二小判平12.3.24 民集54‐3‐1155、労判779‐13