9/6(火)・47日目
この日、父73歳の誕生日。
朝みみかが、「みみか、じいじの夢見てん!」と言う。
「じいじ、ベッドから起き上がって、みみかとママで支えてあげたら『ありがとう』って言ってん!」「ヨタヨタやったけど一緒に歩いてんで!」と。
・・・いよいよ旅立ちか?
15:00ごろ、父の面会へ行く。
待ち合わせたはずの母がまだ来ていなかった。
目は閉じたまま、大きな鼻くそちゃんを鼻の入り口近くに発見!
取って上げると、ちょっとしかめっ面。
オムツ替えで一時退室。
待合室で母と母の友人と合流。
母たち先に病室に戻る。
私とみみかが戻ると、母が興奮した様子。
「お父さん目開いてるねん!」
「え?ホンマ!?」
父を見ると、右目が開いて、元々小さい左目もうっすら開いている。
しかも、両足ともブルブルしながら立て膝をしようとしている。
首も動かす、目も声のするほうに動かす、今日は見えているよう、意識がちゃんとあるようだ。
母の友人のことも分かっているよう。
さらには、父、3回ほど笑う!
そのうちの1回は、みみかの話。
「みみか、じいじの誕生日にケーキの絵を描いたら、ろうそく間違って63本しかなかってんて」「10歳も若返ってラッキーやな~!」そう言うと、父は「ハハハ!」と声を出して笑った。
以前のように、お腹から声を出すような元気な「ハハハ!」じゃないけれど、父は確かに笑った!
それに、「お父さんの誕生日やから、うちにいろいろ食べ物あるよ~!」「魂で飛んでおいてよ!」と言うと、口元がにんまり。
ちょうどデジカメで動画を撮っていたので、帰ってから確認すると、私たちの会話で食べ物の話や「ケーキ」という言葉が出ると、そのたびに父は口をモグモグさせ目を大きく見開いて反応していた。
(この、この、食いしん坊~!!)
それに、手術後、白く濁っていた右の目が何だか黒いぞ!
(父開眼、復活か!?)
あれほど、平坦な日々だった父の様子が、今日の父の誕生日で一変した。
ずっと目を開けたまま意識もはっきりある。
帰るに帰れず、夕食(チューブ食)の時間になったが、私とみみかはそのまましばらくいた。
9/7(水)・48日目
お昼、母と私とみみかの3人で面会へ行く。
いきなり目の開いた父がお出迎え!(右目)
夏日が戻って暑いので、体には布団ではなくタオルケットがかけられていた。
中にしまい込まれた手には汗が・・・(臭いです)。
父、今日も両足、ブルブルしながら立て膝に挑戦中!
母が父の顔を拭きひげを剃る。
「ひげ剃るとき、どうするんやった?」母が声をかけると、父は口をつむってひげを剃りやすいようにした。
今日も私たちがいる間、父の目はずっと開いた状態だった。
夜、弟から母にメールが来た。
弟の嫁が面会に行くと、お父さんの目が開いてたという内容だった。
弟夫婦も嬉しかったようだ。
9/8(木)・49日目
父に面会へ行く。
さっそく目を開けお出迎えされる。
父に向かって「昨日の夜、トモちゃん(弟の嫁)が来たやろ?」と言うと、父は『ウン』と小さく頷いた。
みみかと「わあー!頷いたでぇ~!」と大はしゃぎ!
目の反応も追うように良好。
手も今までよりも、かなり上部に上げられるようになっている。
動きの悪かった右手がけっこう動いてた。
起きようとするのか、首も足もすごく動いて立て膝も何度も繰り返す。
動かせる部分を一生懸命動かす父を見ていると、何だか「起きたい!」「立ちたい!」「歩きたい!」そう訴えられているような気がしてくる・・・。
「でもアカンねん!起きらへん!立たれへん!歩かれへん!」と、悲しそうな目で、苦しそうな息をして、足をバタバタさせながら私に言ってる気がする・・・。
実際、父の目は私の目を必死の形相で見て、父の口は私に対して何かしゃべろうとしている。
父の誕生日の朝、みみかが見た夢を思い出した私は、「大丈夫!私もみみかも、いつかお父さんが立つ時には、ちゃんとお手伝いするから安心してね!」と、父の肩をポンポンと軽く叩き、体をさすりながらそう言った。
すると父は、納得したように『ウンウン』と2度頷き、安心したようだった。
みみかに「今じいじ『ウン』って言ったよな?」と言うと、再度父は『ウン』と頷いた。
それからは、焦燥感さえ感じる父の訴えるような激しい動きは止んだ。
それが本当に現実的に出来ないことであったとしても、出来るか否かではなく、相手のその「心を汲み取る」ことが私は大事だと思っている。
そうしてあげたいこちらの気持ちも、本当に本物なんだから(現実的に出来なくとも)・・・。
この日は、私とみみかで父のひげを剃った。
足の爪の出っ張り部分もヤスリで削ってあげた。
(お殿様ですな、お父さん!)
そしてこの日、父はけっこう笑った。
同室の愉快な認知症患者たちの行動を、父はしっかり感じ取っているらしい。
ナースコールを何度も押して「ボクのこの(ベッドの)場所あってる?」とか「ボクのカバンが見当たれへんねん」とか、コールボタンに向かって「木下さん、おるかな?」「木下さんおらんな、ボク帰られへんねんけど・・・」など、ちょっと笑かしてくれる患者さんがいる。
この日も、何度も呼び出された挙句、「帰りたい・・・」とグチグチ聞かされた看護師さんが、その認知症患者に「今日は帰られへんっ!」と強めの口調で言うと、「はい!(分かりました)・・・」とコントのように素直にお返事。
一気にしょぼくれて大人しくなってしまった。
そんな会話に父はタイミングよく「ハハハー」と声を出して笑った。
みみかが「じいじ、この生活もけっこう楽しんでるんとちがう?」と言った。
うーん、それは言えるかも・・・。
「楽しむ」ことがお得意な父だ、どんな状況でも案外楽しんでいるのかも知れない。
ひげ剃りあとに、家から持ってきていた手作りのローションを顔に塗ってあげた。
適量を手にとって、「気持ちいいでしょう?」「男前ですな!」などと言いながら、エステのように父の顔に塗りたくった。
すると、「ハッハッハー!」突然父が笑った。
「え!?何?今なんかおかしかった?」「ここ、笑うとこ(ツボ)?」みんなでワイワイ、父に突っ込みを入れた。
今日は賑やかでしたね、お父さん!
この日、父73歳の誕生日。
朝みみかが、「みみか、じいじの夢見てん!」と言う。
「じいじ、ベッドから起き上がって、みみかとママで支えてあげたら『ありがとう』って言ってん!」「ヨタヨタやったけど一緒に歩いてんで!」と。
・・・いよいよ旅立ちか?
15:00ごろ、父の面会へ行く。
待ち合わせたはずの母がまだ来ていなかった。
目は閉じたまま、大きな鼻くそちゃんを鼻の入り口近くに発見!
取って上げると、ちょっとしかめっ面。
オムツ替えで一時退室。
待合室で母と母の友人と合流。
母たち先に病室に戻る。
私とみみかが戻ると、母が興奮した様子。
「お父さん目開いてるねん!」
「え?ホンマ!?」
父を見ると、右目が開いて、元々小さい左目もうっすら開いている。
しかも、両足ともブルブルしながら立て膝をしようとしている。
首も動かす、目も声のするほうに動かす、今日は見えているよう、意識がちゃんとあるようだ。
母の友人のことも分かっているよう。
さらには、父、3回ほど笑う!
そのうちの1回は、みみかの話。
「みみか、じいじの誕生日にケーキの絵を描いたら、ろうそく間違って63本しかなかってんて」「10歳も若返ってラッキーやな~!」そう言うと、父は「ハハハ!」と声を出して笑った。
以前のように、お腹から声を出すような元気な「ハハハ!」じゃないけれど、父は確かに笑った!
それに、「お父さんの誕生日やから、うちにいろいろ食べ物あるよ~!」「魂で飛んでおいてよ!」と言うと、口元がにんまり。
ちょうどデジカメで動画を撮っていたので、帰ってから確認すると、私たちの会話で食べ物の話や「ケーキ」という言葉が出ると、そのたびに父は口をモグモグさせ目を大きく見開いて反応していた。
(この、この、食いしん坊~!!)
それに、手術後、白く濁っていた右の目が何だか黒いぞ!
(父開眼、復活か!?)
あれほど、平坦な日々だった父の様子が、今日の父の誕生日で一変した。
ずっと目を開けたまま意識もはっきりある。
帰るに帰れず、夕食(チューブ食)の時間になったが、私とみみかはそのまましばらくいた。
9/7(水)・48日目
お昼、母と私とみみかの3人で面会へ行く。
いきなり目の開いた父がお出迎え!(右目)
夏日が戻って暑いので、体には布団ではなくタオルケットがかけられていた。
中にしまい込まれた手には汗が・・・(臭いです)。
父、今日も両足、ブルブルしながら立て膝に挑戦中!
母が父の顔を拭きひげを剃る。
「ひげ剃るとき、どうするんやった?」母が声をかけると、父は口をつむってひげを剃りやすいようにした。
今日も私たちがいる間、父の目はずっと開いた状態だった。
夜、弟から母にメールが来た。
弟の嫁が面会に行くと、お父さんの目が開いてたという内容だった。
弟夫婦も嬉しかったようだ。
9/8(木)・49日目
父に面会へ行く。
さっそく目を開けお出迎えされる。
父に向かって「昨日の夜、トモちゃん(弟の嫁)が来たやろ?」と言うと、父は『ウン』と小さく頷いた。
みみかと「わあー!頷いたでぇ~!」と大はしゃぎ!
目の反応も追うように良好。
手も今までよりも、かなり上部に上げられるようになっている。
動きの悪かった右手がけっこう動いてた。
起きようとするのか、首も足もすごく動いて立て膝も何度も繰り返す。
動かせる部分を一生懸命動かす父を見ていると、何だか「起きたい!」「立ちたい!」「歩きたい!」そう訴えられているような気がしてくる・・・。
「でもアカンねん!起きらへん!立たれへん!歩かれへん!」と、悲しそうな目で、苦しそうな息をして、足をバタバタさせながら私に言ってる気がする・・・。
実際、父の目は私の目を必死の形相で見て、父の口は私に対して何かしゃべろうとしている。
父の誕生日の朝、みみかが見た夢を思い出した私は、「大丈夫!私もみみかも、いつかお父さんが立つ時には、ちゃんとお手伝いするから安心してね!」と、父の肩をポンポンと軽く叩き、体をさすりながらそう言った。
すると父は、納得したように『ウンウン』と2度頷き、安心したようだった。
みみかに「今じいじ『ウン』って言ったよな?」と言うと、再度父は『ウン』と頷いた。
それからは、焦燥感さえ感じる父の訴えるような激しい動きは止んだ。
それが本当に現実的に出来ないことであったとしても、出来るか否かではなく、相手のその「心を汲み取る」ことが私は大事だと思っている。
そうしてあげたいこちらの気持ちも、本当に本物なんだから(現実的に出来なくとも)・・・。
この日は、私とみみかで父のひげを剃った。
足の爪の出っ張り部分もヤスリで削ってあげた。
(お殿様ですな、お父さん!)
そしてこの日、父はけっこう笑った。
同室の愉快な認知症患者たちの行動を、父はしっかり感じ取っているらしい。
ナースコールを何度も押して「ボクのこの(ベッドの)場所あってる?」とか「ボクのカバンが見当たれへんねん」とか、コールボタンに向かって「木下さん、おるかな?」「木下さんおらんな、ボク帰られへんねんけど・・・」など、ちょっと笑かしてくれる患者さんがいる。
この日も、何度も呼び出された挙句、「帰りたい・・・」とグチグチ聞かされた看護師さんが、その認知症患者に「今日は帰られへんっ!」と強めの口調で言うと、「はい!(分かりました)・・・」とコントのように素直にお返事。
一気にしょぼくれて大人しくなってしまった。
そんな会話に父はタイミングよく「ハハハー」と声を出して笑った。
みみかが「じいじ、この生活もけっこう楽しんでるんとちがう?」と言った。
うーん、それは言えるかも・・・。
「楽しむ」ことがお得意な父だ、どんな状況でも案外楽しんでいるのかも知れない。
ひげ剃りあとに、家から持ってきていた手作りのローションを顔に塗ってあげた。
適量を手にとって、「気持ちいいでしょう?」「男前ですな!」などと言いながら、エステのように父の顔に塗りたくった。
すると、「ハッハッハー!」突然父が笑った。
「え!?何?今なんかおかしかった?」「ここ、笑うとこ(ツボ)?」みんなでワイワイ、父に突っ込みを入れた。
今日は賑やかでしたね、お父さん!