ここから先はフィクションです(8割位は現実が混ざっていますが)。
夜中の2時に目が覚めた。夢は何てことはない日常よくあるものだった。総武線が人身事故でちょっと遅れると職場に電話しただけのショートショートだった。
翌日、自分は遅れないように早めに職場に入っていた。会社の電話が鳴り取ってみると「総武線が事故で遅れます。電車が来たので」言うだけ言ってブチっと切れた。どこかで聞いたようなセリフだった。
今の電話はあの夢の中からかかってきたんではなかろうか?まさかそんなことはない。夢と現実が電話でつながってしまうなんて有り得ない。夢の中が妙にリアルだったり、現実が夢のようだったりその境がわからなくなることがないだろうか。電話を取ったのも含めて全て作られた夢だったのかもしれない。
そんなことを忘れて暫くした日の夢はあの続きのような総武線の電車内だった。私の隣の男性が突然倒れ頭を打ったようだ。誰かが「車掌呼んで!」「頭を打ったようだからむやみに動かさないほうがいい!」と叫んでいた。車掌は隣の車両から飛んできた。危険な状態のようで恐かった。
数日後、会社帰りの総武線は空いていた。隣には気分悪そうにドアに体をもたれた男性が立っていた。ふらふらっとしたかと思うと棒のようになった体がバタンと倒れ後頭部を打っていた。私はそれをスローモーションのように見てしまった。口から泡を吹き意識を失っているようだ。夢で見たような現実、素早く手が出ていれば助けられたかもしれないのだ。私は叫んだ「頭を打っているのであまり動かさないほうがいいかもしれませんよ!」(車掌は隣の車両にいるのではと思いつつ)「車掌を呼んで!」何が起きたのかと唖然とする車内で私だけが少しだけ冷静に言葉を発していた。駅に着いてドアが開いたら「急病人です!」と駅員を呼んでいた。大事に至らなければよいが、、、
翌日の職場で電話を取ると「車内で急病人が出たらしく電車が止まっています。こんなのが多くて困っちゃいますよ。少し遅れます」との内容だった。ラッシュのあの混雑で気分悪くなる人がいないほうが不思議なくらいだ。みんなで助けてあげなくちゃいけない。
それから何日かして夢の続きを見た。東横線の代官山駅まで着いていた。代官山駅のホームから階段を上るとそこには二方向に改札がある。ちぃっちゃな駅の改札、いつものように会社に向かうのに迷うことなんて有り得ない。しかし、その時はポカンと頭が空っぽになったようで、パニックに陥ったように立ちすくんでいた。自分はどこに行けばいいのかが何年も通っているのに迷っていた。携帯が鳴ったので取ると「客から電話入ったので、こちらから折り返し電話すると伝えておきました」という内容だった。それで我に返ったか改札を出たところで目が覚めた。夢で良かったとほっとした。電話してきた声は聞いたことがある。自分の声のようだった。
何日かして職場で電話を取り、それを伝えるため「お客から電話入ってますよ」と同僚に電話をしていた。「今、代官山の駅に着いたところなので職場着いてすぐ電話します」との応えだった。彼は改札近くで迷子になっていたかもしれない。きっとそれが本当でも恥ずかしくて口にしないだろう。
再び夢の中。代官山駅前に高層マンションが立っていてビル風が強い。私は風に逆らって傘をさしていた。ビニール傘ではなく、買ったばかりの頑丈そうなこの傘なら耐えられるだろうと歩いていた。しかし、おちょこになり無残な姿になっていた。こんな高級な傘を買ったことはないしこれからも買うことはないだろう。しかも雨なんて降っていない。きっと夢の中だと気づいて目が覚めた。
数日後、目の前を歩く女性の傘に何となく見覚えがあった。夢の中の傘と色が似ていただけでデザインまで同じだったかはわからない。傘をさしていたのは同僚だから気安く忠告してあげた。「傘が壊れるからたたんで走ったほうがいいよ」とね。負けず嫌いの彼女は風に立ち向かい、そして予想通り傘はおしゃかになった。
いつからこういうことが起きたのだろう。大昔からのような気もする。こういうこともあった。
パソコン通信のチャットは夜中に盛り上がる。その夜は神戸の人で初めて話す相手だった。私はこんな会話をしていた。「最近、部屋の掃除していたら防災袋が押入れから出てきたので何を調べてみたらカンパンは賞味期限切れだし他のモノも使い勝手悪そうだし、買い換えようと思っている」「そろそろ地震に備えておかないと」
相手の名前はウシゴロ、夜中2時(丑時)頃に活動するからそのようなハンドルネームを使っているらしい。チャットしながらウトウトしたらしくネットは自動切断、いつの間にか朝になっていた。長話をしたようだが3分しか話していない。もっと話したような気もするがログの記録が残っていない。途中からは夢だったのかもしれない。少し早いけど会社に行こうとテレビをつけてびっくりした。ニュースでは神戸を中心に大地震があり高速道路が倒れ火災も発生していた。彼は大丈夫か?神戸には友人もいる。夕べ(数時間前)あんな話をしたばっかりに現実になっていた。
あんな大きな被害が日本の大都会で起きるのかと思ったら、、、防災袋を買っておこうと売り場にいったが売り切れで買えなかった。みな同じことを考えたのだろう。
チャット相手は誰だったんだろう?妙に趣味や考え方が合い、つい長話になってしまったわけだが、考えなおしてみると自分が夢を見るのは夜中2時頃だし大昔父親に「うしごろう」と呼ばれていたと聞いた。ますますわからない。全て夢だったか?とにかく夢で見たことは気をつけよう。
その日は家がぐちゃぐちゃになっていた。またここは夢の中だ。110番したところで夢から覚めた。と思ったが、覚めた先もまだ夢の中だと気づいた。部屋を見回すとガラスが割られていたのでここから空き巣に入られたのだとようやく理解できた。窓から侵入したらしいセミが部屋の中に飛び回っていた。12月にセミなんて有り得ない!そして夢から覚めた。
何回か似たような夢を見た。そして「そうだ!引っ越しをしよう!」と決断した。すぐがいい。翌日には引っ越し先を決めてお金も払った。どこか住みたい町があって引っ越すわけではないし、今までお世話になっていた同じ不動産屋で、たった1.5キロしか離れていないアパートを探した。1週間後には引っ越しと思っていたが運送屋の手配ができず3週間待たなければならなくなった。引越し直前の夜、家に帰ると不思議な空気だった。何が違う?外の音がよく聞こえているからだった。奥の窓が開いたままで部屋が荒らされ現金他盗まれていた。あの夢はこれだったかぁ!110番をするのは慣れたものだ。
「まず盗まれた物が返ってくることはありません」と言われた。指紋取ったり大変だったが、現金数万円で時間割いて犯人探しもしないようだ。お巡りさんと刑事の言葉「怪我がなかっただけ良かったと思って下さい」で終わりだ。この日、引越先の部屋に掃除へ寄っていなければちょうど犯人にでくわしただろう。不幸中の幸いと考えよう。
ある日、職場にクレジット会社から電話があった。「残金不足で引き落としができませんでした。すぐに入金して下さい」とのことだったが、「私はお宅の会社から借りたことはありません」と応えた。職場の人に聞くと過去この職場に同姓同名がいたらしく、紛らわしい。何年後か、知らずにあのクレジット会社で商品を買っていた。残金不足には気をつけようと思っていた。ちょうどその頃、姪の代わりに組んだ返済があって姪が口座に入金を忘れ残金不足となっていた。残金不足の電話を避けたつもりがこんな形で受けていた。
引越し先では夢からの電話もなくなり予知夢もない。2時前に寝ることも減ったからだろう。次回はエルム街かダイナゴン横町に連れ出されるのではないかとびくびくドキドキ楽しみに待っている。
最近は迷惑メールがひじょうに多い。差出人が自分の名前になっているメールもある。この手のスパムが多くなっていて開くことはない。ただ、そのタイトル「腰痛になったらお電話を」は気になっていた。暫くして本当に腰を壊した。あのメールでヘンなもんうつされたに違いない。またメールがきた「腰はいかがですか?一発で痛み取り除きます!」、まるで私の病状が手に取るようにわかっているのか?
私の夢の中でしきりに何かメール送っていたが送っていた内容はこれだったか?不思議な世界もデジタル化、電話の時代からメールへと移行したようだ。
まだ世にも奇妙な物語は続いていくらしい。