Netscape Communicationsの創設者であるアンドリーセン氏が新たにベンチャーキャピタルファンドを立ち上げたということです。
⇒ M・アンドリーセン氏の新ベンチャーファンド--その目的とビジネスモデル
この記事によれば、ベンチャーキャピタルファンド「Andreessen Horowitz」の特徴は以下の通りです。
【投資分野】
コンシューマー向けインターネット企業
クラウドコンピューティング
ウェブインフラストラクチャ事業
【投資地域】
主にシリコンバレー内
【投資金額】
3億ドルの資金をベンチャー企業に5万から500万ドルずつ投資
【求める資質】
自らの手を汚して製品を開発する起業家に投資を行う
開発者を雇って自分の構想を実現させる傾向がある頭でっかちな事業家には投資しない
【運営方針】
(第一フェーズ)
小さな会社が最小限の経費で製品を開発している間は、小額の資金(3人から5人のエンジニアを9カ月から1年間雇うのに十分な資金)を投資する。会社がもっと多くの利益を上げるまで、役員会はまったく必要ないと考えるため、この時期に役員の座に着くつもりはない。
(第二フェーズ)
製品が完成したら、続いて500万から1000万ドルを出資し、営業担当、役員会、そしてマーケティングや人事といった頭痛の種を持つ企業への移行を支援する。
今の時期、記事にも書いてある通り日本でもアメリカでもベンチャー投資はかなり困難な時期を迎えています。とはいえ一方で困難な時期を乗り切った企業が次の経済成長期に一気に成長しGoogleまでとはいかずとも革新的な企業に育っていくことも歴史をみる限りまた事実です。このベンチャーファンドが成功するかどうかは全くわかりませんが、投資方針が明快でわかりやすく、かつ納得感のあるものでしたので思わず取り上げてしまいました。
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ベンチャーキャピタルと言うと日本での知名度は凄く低いですが、個人的にはまさに銀行や証券会社のように金融という枠組みにとらわれない、社会としてのインフラ機能を担っており、もっと評価されてもいい業態だと思っています。アメリカの経済発展を支えているのも大企業による研究開発部門の外部切りだしという役割をベンチャー企業が担っているという面も大きいと考えています。
ただ、最近では日本におけるベンチャー資本が全く集まらない上に投資スキームの柔軟性も低く、また法制度も新しいことを行うには規制が多すぎ、税金も高いということで優秀な人材は既に日本を見切って海外で起業する人が少なくないようです。優秀な人ほど特にこの傾向は今後強まっていくでしょう。これはベンチャー企業だけに言えることではなく、普通の企業にも当然言えることで、これからも日本に住み続けていくであろう多くの日本人にとっては経済成長の鈍化という形で今後ますます直接的なデメリットを被るはずです。
とまぁこんなことを言っても何も変わらないし、文句を言うくらいなら自分で動いて変える努力をするか海外に行け、という話になるのかと思うのですが、どう考えてもハードルとしては後者の方が低いでしょうし、そもそもこういったビジネスのことを考えている経営者やその卵であれば、お役人と会議室で謀略を巡らせているよりビジネスに身を投じていた方が好きでしょうし、世界全体でみればその方が適材適所でしょう。そう考えるとやっぱり海外に行こう、となって終わってしまいますし、どうすればいいんでしょう。。そう簡単には解決できなそうな問題です。。