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365 photo diary

写真って、その瞬間の想いを伝えるもの。
見返したときに撮った瞬間が蘇るような、そんな写真を撮っていきたい

日本人の考える「起業」イメージ

2010-04-12 12:00:04 | ベンチャーキャピタル
先日「 研究開発パートナーシップ(技術研究組合)とは」でも触れましたが、
経済を活性化させるために必要なこととして私は、
大企業の研究開発部門の外部切りだし』、
つまり、ベンチャー企業が次々に起業していくことが
経済の活性化につながるのではないかと考えています。

そのためには以下のような総合的なベンチャーインフラが欠かせません。
(1) 法律(エンジェル税制、会社法・関連法によるビジネスのし易さ)
(2) 経済(日本は絶望的なので最初から海外を向く必要がありそうですが)
(3) マネー(ベンチャーキャピタルなどによるリスクマネー)
(4) 専門家(弁護士、会計士、証券会社など)

ただ、何よりもまずその国の人たちの心情(マインド)が重要です。
卵が先か鶏が先かという問題かもしれませんが、
インフラが整っていたとしても起業マインドがなければベンチャーは生まれませんが、
起業マインドがあればインフラが多少整っていなかったとしても
起業することはできますし、日本のインフラが整っていないのなら
海外で起業すればいいだけの話です。

そんな中、とても興味深いグラフを見つけてしまいました。
終わってる国日本 起業動向から見た危機感の欠如

このブログでは、
『グローバル・アントレプレナーシップ・モニター 2009グローバル・レポート』
内の各国のベンチャー企業を巡る環境についての調査結果がまとめられています。

詳しくは上記ブログを読んでいただければと思うのですが、
まさに衝撃的な調査結果があります。
といっても日本に住んでいて社会人をやっている私から見ても、
確かにベンチャーマインドが高いとは到底思えません。
むしろそれを逆行するような周りの環境が
余計にそれを押しこめてしまっているような気がします。
実際、将来のことは分かりませんが、
少なくとも現在は私自身もサラリーマンをやっています。

しかしこの調査結果を見て思ったのは、
むしろこんな日本だからこそ起業のチャンスかもれない!
といことです。
なぜなら、競合がそれだけ少ないということだからです。
無論、起業するなら最初から海外を前提にすべきだとは思いますので、
海外には競合がたくさんいますが、
国内での競合は恐らく大企業だけでしょう。





研究開発パートナーシップ(技術研究組合)とは

2010-03-26 00:00:05 | ベンチャーキャピタル
3月24日の日経新聞朝刊17面にこんな記事が載っていました。

香川大学発ベンチャーの自然免疫応用技術は食品関連の中小などと共同研究を進める「技術研究組合」を立ち上げた。昨年できた制度を活用し、企業間の連携を強化する。共同研究の総事業費は10年で16億円の見通し。地域の食品会社や関連の研究機関にも幅広く参加を呼びかけ、応用技研が進めている微生物の研究を生かした新事業立ち上げを加速する。

[ 日本経済新聞 2010年3月24日朝刊17面 ]

また、同じ17面に『技術研究組合』についての解説も書かれています。

技術研究組合とは、2009年6月の法改正で始まった制度。前身の「鉱工業技術研究組合」の設立条件などを大幅に緩和した。すべての産業技術を対象に、2以上の法人などが定款と研究の実施計画書を作り、主務大臣の認可を受ければ設立できる。法人格を持ち、契約締結や特許登録を組合の名義でできるのが特徴。そのまま事業会社にも移行でき、事業化の準備組織に利用しやすい。

[ 日本経済新聞 2010年3月24日朝刊17面 ]


これを絵にしたものが経済産業省の「 研究開発パートナーシップ(技術研究組合)とは」にあったので引用してみます。

深澤裕から始まるビジネス革命-研究開発パートナーシップ(技術研究組合)とは
(経済産業省 「 研究開発パートナーシップ(技術研究組合)とは」より)


このページ中に研究開発パートナーシップ(技術研究組合)の概要も書かれてあります。

1.法人格があります
2.財務の健全性を確保できます
3.営利会社化できます
4.産学官連携に利用できます
5.2者だけで、創立総会なく設立できます


要するに、『(1)株式会社・日本版LLC(limited liability company:合同会社),(2)日本版LLP(limited liability partnership:有限責任事業組合),(3)技術研究組合などがあるが,(1)と(2)の“いいとこ取り”をしたものが(3)である。』(「 研究開発パートナーシップ(技術研究組合)が誕生」より)ということのようです。

背景としてはベンチャー業界全体の停滞感や、大学発の高い技術をうまく製品化にまで持って行くことが出来ていない現状などが挙げられます。「 日本経済研究所」の資料を見ても、大学発ベンチャー企業数は年々減ってきていることが分かります。


深澤裕から始まるビジネス革命-VB企業数
(日本経済研究所 『平成20 年度産業技術調査 「大学発ベンチャーに関する基礎調査」 実施報告書』より)


もしかしたら今回の研究開発パートナーシップ(技術研究組合)という制度及びそれを活用した香川大などの事例が増えていくに従って、この状況が少しは良い方向に転じてくれるかもしれません。
このブログでも以前「 持続可能な企業の条件(1)」や「 研究開発部門の外部切りだし」で書いた通り、個人的にはベンチャー企業の量をどんどん増やして社会構造の新陳代謝を上げていくことが日本経済浮上の一つのポイントだと考えています。そのための一つの方法として「研究開発部門の外部切りだし」があり、そうすることで今以上に大企業とベンチャー企業がうまく役割分担をし合うことでができ、それが効率的なイノベーションが起こしやすくするのではないでしょうか。

ではなぜこんなにも大学発ベンチャーは苦境に立たされているのでしょうか。同様に「 日本経済研究所」の資料に参考となるデータがありました。


深澤裕から始まるビジネス革命-VBの直面する課題
(日本経済研究所 『平成20 年度産業技術調査 「大学発ベンチャーに関する基礎調査」 実施報告書』より)


このデータによると、大きく3つの課題があるようです。
(1) 人材の確保・育成が難しい
(2) 資金調達が難しい
(3) 販路の開拓、顧客の確保が難しい

ここで重要になってくるのがやはりエンジェルやベンチャーキャピタルの存在でしょう。エンジェルに関しては個人レベルでの取り組みが多いので、増やすためには政府の税制面からのサポートが欠かせないでしょう。そして注目すべきは特に後者の方で、個人的には、法人として資金的にも人材的にも規模の大きいベンチャーキャピタルの果たす役割がより重要になってくるのではないかな、と感じています。

日本のベンチャーキャピタルでは全体的に、出資比率が低いこともあって「ハンズオフ型」の投資案件が多く、「ハンズオン型」であっても投資先企業同士を紹介したり、財務的な助言をしたりなどの限定的なサポートに留まっており、投資先企業に対し中に入り込んで、もしくは経営のプロフェッショナルを送り込んでの全面的な経営サポートというのが人的リソースの面でも厳しい状況でした。これは、日本のベンチャーキャピタルの多くが「多くの企業に同業他社と一緒に少しずつ投資を行う」という基本戦略から導かれる最適解であり、会社型ベンチャーキャピタルという業態から考えても相性の良い投資手法だと思います。

しかしこれでは経済全体が成長していく段階では効果があっても、現在の日本のような状況ではなかなか一筋縄ではいかなくなってきていることを、昨今のベンチャー企業の状況もしくは上場ベンチャーキャピタルの決算状況を見ていると感じます。

もちろん、構造上の問題もありすぐにビジネスモデルを変えるという選択は非現実的だと思いますが、特に先に挙げられていた3つの課題に対し、ベンチャーキャピタル側からも積極的に介入していくことで、結局はベンチャー企業のためにも、日本経済のためにも繋がっていくはずです。
特に大学発ベンチャーのような技術志向の会社ではマーケティング力や経営力、もしくは営業力といった面で劣ることが多いため、経営のプロフェッショナルを送り込むなど、資金面だけでなく人材面でのサポートをより一層厚くしていくことがキーポイントになってくるような気がします。財務や営業などのサポートに比べ、このような人的なサポートは業界的にもまだ未成熟なようが気がするため、この辺の充実をこれからベンチャーキャピタルには期待したいところです。(とはいっても実際はベンチャー企業側が相当に嫌がるでしょうが…)






ベンチャーキャピタルファンドへの投資タイミングは?

2010-01-14 16:35:26 | ベンチャーキャピタル

不況の波は終わりを見せず、株式市場も最近はかなり調子が良いですが、ここ数年、毎年年初はかなり上がる傾向にあるのでむしろ二番底が心配です。
そんな中、自分のお金はどう持っていればいいのか?という問題が出てきます。全額銀行に預けておくのはあまりにも金利が低い昨今、安全ではありますがもったいないような気がします。かといって株をやろうにも、日本の将来のことを考えると、素直に上がっていくイメージが持ちにくいのもまた事実です。

そこでもしかしたら今このタイミングで、一般にはあまり馴染みのないかもしれませんが、「ベンチャーキャピタル投資」がお勧めなんじゃないかな!?と思ったので少し理由を書いてみようと思います。

まず、一般的に「ベンチャーキャピタル投資は不況時の方が有利だ」などとよく業界では言われたりしています。その理由は『 グーグル、ベンチャー投資ファンド部門を立ち上げ 』でも書いた通り、以下の点からです。

・投資価格の算出基準である相場が下がっていることによる、投資価格の低下
・競合他社の投資意欲が衰えるため競争相手が減ることによる、投資価格の低下
・投資先企業の財務状況悪化のため資金調達が不可避となり、パワーバランスの関係による、投資価格の低下


一方で同じ記事に書いた通り、結局は『ホームランか三振か』が重要なので上記の要因が全てではないにしても、現実問題として上記3要因は不況時には付き物です。もちろん不況時にはうまい話ばかりなのか?というとそういうわけではなく、不況時には上記のように「ベンチャー企業への投資」という観点から見るとファンド側に有利に見えますが、一方でファンドレイジング(ファンドに出資してくれる投資家を集める行為)からみると、不況時に当然資金が集まりやすい訳もなく、皆財布の紐が固いため、ファンドの営業部員さんは大変な苦労をしながら資金集めをしていくことになります。

さて、これまで書いてきたのはベンチャーキャピタルファンドからみた投資事情の話でしたが、一旦視点を変えてベンチャー企業側の視点から、しかもマクロな目で状況を見てみたいと思います。そしてここからが本日の本題です。


■革新とは不連続な発展

革新とは全く新しい技術や考え方が旧来時代の技術や考え方を凌駕し、時代の標準を変えていくような出来事のことです。例えば「移動手段」ということを考えると、ざっくりと以下のような流れで人間は移動手段の革新を行ってきたことになります。

・ 徒歩
・ 馬車
・ 鉄道
・ 自動車
・ 飛行機

・・・・・

革新が起こるタイミングにおいて、「過去の延長線上」で物事を考えても全く意味がありません。例えば馬車が全盛期の時代に「馬を2頭、3頭と増やしていけばもっと速くなる!」と考えるのは普通かもしれませんが、いくら馬を増やしたところで鉄道や自動車には全く歯が立ちません。

このように、革新を起こすためには「過去の延長線上」で物事を考えるのではなく、「不連続な発展」を常に想定しておくことが必要ということになります。


■革新が最も起きやすいタイミングはいつか

では、「革新(不連続な発展)が起こる確率の最も高いタイミング」はいつでしょうか。これはまさに「社会が既存のルールでは対応できなくなったタイミング」に他ならないでしょう。そしてこれは言い換えると「不況時」とも言えると思います。

好況の時は既存のやり方を劇的に変える方法を考えるまでもなく事業は順調に回って行きますし、順調に回っている事業を壊してまで変革を起こそうというインセンティブもなければ英断できる社長もそう多くはないでしょう。しかし不況時であれば「同じことをやっていても後がない」ため、既存のやり方を劇的に変えていかざるを得ない状況になってしまいます。

そしてこれはベンチャー企業にとってまさに夢にまで見たタイミングで、大企業ほど守るべきものを持たないベンチャー企業はこのタイミングで大幅な事業転換もしくは新事業への進出をスピード感を持って行うことができやすい環境にあります。
もちろん周りは不況なので売上を上げていくのも相当苦労するでしょうが、一方で苦労した中でも生き残って市場ニーズに合うサービスを提供していくことができれば、景気が上向いた時大幅な成長機会が待っていることは間違いありません。


■ベンチャーキャピタルファンドへの投資タイミング

ここで本題に戻ってきますが、長くなってしまったのでこれまでの話を改めて整理してみます。

不況時、
・ ベンチャーキャピタルはベンチャー企業に対して有利に出資できる。
・ ファンドレイジングを行うのは難しい(なかなかお金が集まらない)。
・ 革新的なベンチャー企業の生まれる確率が高そう。


どうでしょうか。もしベンチャーキャピタルファンドに投資をするとするならば、「不況時こそ!」と少し思えてくるかもしれません。

しかしこれだけだとあまりにも主観的すぎるので、実際に過去のデータを見てみたいと思います。

まずIMFによる日本の実質経済成長率の推移のグラフです。


[世] 実質経済成長率の推移(日本)


次のグラフは、「 VEC(財団法人 ベンチャーエンタープライズセンター) 」というベンチャーキャピタルファンドの動向を定期的に観測している団体が出している最新レポートの中で、「ベンチャーキャピタルファンドの開始年別の投資パフォーマンス(IRR)」を株価の代表的な指標であるTOPIXと比較したものです。



深澤裕から始まるビジネス革命-設立年別IRR



このグラフの「出資額加重平均IRR」というのがベンチャーキャピタルファンドのパフォーマンスなのですが、TOPIXに対して大きく盛り上がっているところの年数を見てください。

・ 1994年
・ 1997年
・ 1998年
・ 2003年


この4つが大きくTOPIXに対して勝っています。
ではここで先程の【実質経済成長率】のグラフをもう一度見てみましょう。

いかがでしょうか。
見事に実質経済成長率の落ち込んでいる時期と出資額加重平均IRRの盛り上がっている時期が一致していることが分かります。

もちろんこれだけを根拠に投資をして大失敗・・・ということもありますし結局最後は「投資は自己責任」という言葉を使わざるを得ないわけですが、この不況に際して資産運用でお困りの方は株や債券ばかりではなく、こういったオルタナティブ投資の一つであるベンチャーキャピタル投資という手段も検討されてみると、より一層資産保全の目的が達成されやすくなるのではないでしょうか。






アゴラ起業塾「ベンチャーのファイナンス」

2009-11-26 23:42:16 | ベンチャーキャピタル

昨日はアゴラ起業塾で開催された、
ベンチャーのファイナンス
に行ってきました。

ベンチャーといえば社長の経営力が重要なことは言うまでもありませんが、
後々ボディーブローのように効いてくるのが「ファイナンス」です。

例えば多くの人・組織に株をばらまきすぎると
企業の意思決定が迅速に行えなくなったり、
事務的な手間が多くかかってしまう恐れもあります。

またファイナンススキームを間違えてしまうと
そもそも上場やバイアウトが相当困難になったり、
または不可能になってしまうこともあります。

そして何よりビジネスは「お金(資本)」がないと始まりません!

しかしベンチャーのファイナンスというとなかなか目立ちにくい存在であり、
フィー(費用)もそんなに取れない(ベンチャー企業なのでお金がない…)ため、
関係する人や団体も数が少なく、経験豊富なノウハウを持った人材が少ないが現状です。

そんな「ベンチャーのファイナンス」という
めったに聞くことのできないテーマの講演を聞きに行ってきました。

個人的に興味深かったのは以下の3点です。


(1)日本全体のリスク構造(資金循環表、部門別の資金過不足の推移)を見ると、
家計と政府がお金を出して(家計は主に貯金、企業は貯金・設備投資など)
政府がお金を使う構図がはっきり見て取れる。

(2)上場orバイアウトを目指すなら新株予約権は
発行済み株式総数の10%以内が望ましい。どんなに多くても20%。

(3)上場時の時価総額目安はざっくり300~500億円。
これはPER20倍だとすると純利益15~25億円。
PER50倍だとしても純利益10億円は必要。



いやはや、ベンチャーキャピタルで働いてた頃を思い出して、
自分の中の金融熱が高まっていくのを感じました(笑)
会場では何人か熱い方ともお会いできたので
そういう意味でも刺激になりました!






研究開発部門の外部切りだし

2009-11-21 23:54:22 | ベンチャーキャピタル

11月19日(木)の日経新聞13面の
『ベンチャー胎動 「冬の時代」の起業』
がなかなか面白かったです。

若い人たちだけでなく、大手企業出身者も積極的に
今まで築き上げてきたコネと技術力と経験で
起業を行っているということです。

持続可能な企業の条件(1)」や「 Andreessen Horowitz設立」でも書きましたが、
追い付け追い越せの時代であれば
大企業が垂直統合型で川上から川下までの機能を担うことが
組織としても社会としても良かったのかもしれません。
日本ほど大企業がこれほどまで長い間トップを変わらず走り続ける国は
なかなか珍しいのではないかと思わされる位です。

しかしこの長引く不景気において少し考え方が変わってきたのか、
もしくは成長国から成熟国への転換を意識し始めた結果なのか、
少しずつ研究開発など、全てを自社で抱えるのではなく、
必要に応じて外部に切りだして行く流れが出てきたような気がします。

それがこの日経の記事にも表れています。
若い人が頑張るのもいいですが、
やはり経験を持った人が頑張ったときの底力はすごいものがあります。
逆にいえば、経験を持った人材を使いこなせていない
大企業がいかに多いか…ということでもあるのかもしれませんが。

組織論に始まり、経済論まで…ミクロからマクロまで
幅広い話題に広がっていきそうなネタですね、これは!!