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冬桃ブログ

孤高の隻眼猫・ノア

 うちへ来て6年と半年もたつというのに、ノアはいまだに
抱っこなんか絶対させてくれない。
 毛すきの時以外は、そばへも寄らせてくれない。
 兄弟猫のフータは毎晩、私のベッドで寝るし、隙あらば
膝に乗ろうとするのに、この子は我が家で孤高を保っている。
 野良の頃、なにかよほどいやな思いをしたのだろう。
 健康にも問題があり、歯周病で歯は一本もないし、結石で手術もした。
 しかしノアにとっては、病院へ連れて行かれることも治療も、
虐待としか思えないのだろう。

 近くで見られないから最初は気がつかなかったのだが
ある時、片方の目に染みがあるのに気づいた。
 オリーブグリーンの水晶体に、茶色い染みがふたつ、みっつ。

 心配で、またむりやり捕まえて病院へ連れて行った。
 「水晶体がぽろっと落ちたら問題だけど、べつに痛くないみたいだし
視力もあるようですね。このままにしておきましょう。
 この子は警戒心が強いから、いじるとまたストレスになって
可哀想ですし」
 獣医さんがおっしゃった。

 で、そのままにしておいたのだが、染みは少しずつ大きく
なっていったようだ。
 しみじみと見せてくれないから、なかなか実状が
わからないのだが、こうして写真を撮ってみると
片方の目はほとんど水晶体が染みで覆われ、周囲の色と同化している。
 痛がってる様子はないし、スリムなのにデブのフータを
いまだに軽い猫パンチひとつで威圧しているし、このまま
そっとしておいたほうがいいのだろうか。
 私は気になって、いやがられながらもなんとか顔を
覗き込もうとするのだが、そのたびにノアは、俺にかまうなと言うように、
ぷいと、隻眼を背けるのだ。

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