冬桃ブログ

失われた記憶を求めてー故郷への旅その3

 天橋立。この先は松並木の続く長い砂州。


 参拝客が絶えない文殊堂。


 文殊名物、知恵の餅。


 向こうに見えるのが宮津の町。
 背後がこんなに山だったとは……。


 風水の研究家でもある宮津市長・井上正嗣氏によれば、
宮津は風水的に最高の地なのだとか。
 京都(平安京)の街と同じく、玄武(大江山)、白虎(栗田半島)
青龍(丹後半島)、朱雀(宮津湾)という四神に護られている。
 太極の構図を持ち、陰と陽の調和した永遠の都だという。
 そういえば天橋立には元伊勢・籠(この)神社があり、
代々宮司を務める海部(あまべ)氏は天皇家より古い系図を
持つことで知られている。
 戦前は皇室をはばかってその系図を公にできなかったそうだが
いまは国宝に指定されている。

 地元のペットボトル水は、その名も「龍の水」。


 籠神社の奥の院・真名井神社は有名なパワースポット。
 静謐で神秘的な空気が漂う。
 ここの湧き水を汲みに来る人も多い。




 パワーをいただいたせいか、おなかがすく。
 ランチは二日間とも、この海鮮丼。
 やっぱり宮津は魚がおいしい!


 この店(天橋立・松和物産)の跡継ぎはこんなイケメン。
 お母さんによれば「お嫁さん募集中」だそうだが、
殺到するでしょう、彼なら。


 店の前で焼いて食べさせてくれた「えのは」という
二センチくらいの小魚。癖がなくておいしい。


 子供の頃、この町で、心ない大人にはずいぶんいじめられた。
 でもありがたいことに、子供同士のいじめにはあわなかった。
 今回、一緒に宮津へ行ってくれたMさんは、学校の先生の娘で
お兄さんは京大へストレートで入った秀才。
 Mさん自身も勉強ができて人柄が良く、先生や同級生の信頼を
一身に集める人だった。
 エリートグループの友人達に、いつも囲まれていた。
 そのグループは誰一人として私など見向きもしなかったが
なぜかMさんは、私を親友とみなしてくれていた。
 二人で自転車を並べ、よく天橋立へ行った。
 狭い町なのだから、私にはやっかいな事情があることを
彼女もうすうすわかっていただろう。
 でも何も訊かず、何も言わず、私がどこへ行こうと、
今日に至るまで、ずっと友達であり続けてくれた。
 私は大人になってからも紆余曲折の人生で、連絡など
自分の方からはしなかったことが多い。
 でも彼女は変わらなかった。
 ずっと私を見ていてくれた。
 いまになって、なんとありがたいことだろうとしみじみ思う。

 「あなたね、中学二年の時、家出して東京へ行ったって
書いたり喋ったりしてるよね。でも、あれ間違ってるよ。
中学三年の一学期が終わるときだからね、あなたがいなくなったのは」
 旅の初め、山陰本線に並んで座ったとたん、彼女が言った。
 ああ、そういえばそうだ。
 あれは14歳が終わろうとしていた時、中学三年の夏だった。

 「それからね、高校二年の時、あなたは宮津へ一人で
来たのよ。そしてうちへ泊まったのよ」
 え? まったく記憶にない。
 家出から三年目にこの町へ? 人に見られたらどうするの?
 旅費はどうやって工面したのか。
 
 だけど彼女の手には、証拠写真まであった。
 17歳。天橋立で、おどけたポーズをしている私。


 思うに、彼女の家に泊めてもらい、一緒に天橋立へ
行っただけの旅だったのだろう。
 言われてかすかに、彼女の家で、彼女のご両親も一緒に
食卓を囲んでいる光景が甦った。
 あの時がそうだったのか。
 でもほかのことは何ひとつ思い出せない。

 今回の旅は終わったが、記憶を探る私の旅は、
生きてる限り続きそうだ。
 
 

コメント一覧

冬桃
良くて
http://members2.jcom.home.ne.jp/noa411/
酔華さん

 若さですねえ、自転車で回られたとは!
 海沿いもきれいですが、中へ入るとまた、
いろんな伝説のある神社とか、秋の紅葉が
素晴らしく美しいところとか、藤織り(藤の蔓の
繊維で布を織ります)をやってるところとか、
いろいろ見所があります。
 でも哀しいかな、交通不便だし、冬、雪深く
なったりするところがあって、過疎化も多いようですね。
 宮津の町はあまり変わってなかったのですが
それでも地元の人や幼馴染みに教えて貰って
記憶を辿りました。
 いい旅でした。
酔華
丹後半島
http://blog.goo.ne.jp/chuka-champ
私は23歳のときに自転車であの半島を一周しましたが、
その頃、冬桃さんはもう、そこには居なかったんですね。
アップダウンの続く道、透明な海、
青空を背景にして美しく咲くコスモス、
集落から聞こえてくる機織り機の音、
古い家の壁に貼られたホーローの看板…
それらが、今よみがえってきました。

学生時代の記憶は、いつも友人と照合しあい、
修正したり加除したりしています。
こういうこと必要ですよね。
冬桃
長生き
http://members2.jcom.home.ne.jp/noa411/
ひーちゃん

 ありがとう!
 長生き願望は昔からなくて、佳人薄命の
予定だったのよ。
 でも残念ながら、時期を逸してしまったみたい。
 こうなったら、しゃあない。
 生きてるうちは楽しもう。
 また、鰻食べに行こうね!
ひー
いい旅
あら いい男っ ←食い付いたところはここ?!

おかえりなさい~。

自分の記憶は正しいと思っていたことが、友人と話が違っていたり、すっかり抜け落ちいてたりしていることをクラス会で知った時、ちょっと過去が変わったような気がしました。

一緒に長生きしていこうよぉ!!
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