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この小説は、1994年に文藝春秋社から
単行本が出ている。そして単行本から28年たった昨年、
講談社文庫として発刊されている。
偶然見つけて買った。
なぜ今頃になって他社から出たのか、といえば、
言うまでもなく、昨年の夏、安倍元総理の銃撃事件があり
統一教会があらたにクローズアップされたからだろう。
作中の宗教団体が統一教会を模していることは明らかだ。
1992年に有名芸能人やスポーツ選手も混じった
「合同結婚式」が大きな話題になり、関連本もいろいろ出たが、
その中にこの小説もあったのだろう。
しかし、テレビや週刊誌であまりにも結婚式のことばかり
センセーショナルに取り上げられ、スキャンダル好きの私も
食傷気味になったのか、どの本も買わなかった。
で、今回、初めて読んだのだが、とてもよく取材されており、
非常に興味深かった。もちろん小説としても面白かった。
洗脳、詐欺まがいの物品販売、政界との癒着など、
この頃、すべてわかっていたのに、実際、自民党議員達との
深過ぎる結びつきがあからさまになったのは、昨年の銃撃事件後である。
つまり、はるか前から大問題だったことが、ほったらかしに
されていたということだ。
私も含めて世間は、自分自身に深いかかわりがない限り、
何が起きようと、何が問題になろうと、次から次へと起きる
あらたな出来事に気を取られ、すぐに忘れてしまう。
そのことの功罪、恐ろしさを、この本はあらためて
自覚させてくれた。