冬桃ブログ

オケラだってミミズだってカメムシだって♬

 平安時代後期の作「堤中納言物語」の中に
「虫愛(め)ずる姫君」という話がある。
 妙齢で悪くない容姿の姫君なのに化粧もせず
そのあたりの男の子達に毛虫や芋虫を集めさせ、
日がな一日、夢中で眺めたりいじったり。

 仕える女房達は、呆れるやら怒るやら。
 あんなふうじゃ殿方も寄り付かないわと陰口ばかり。
 蝶々ならきれいだけど、毛虫や芋虫はねえ、
気味が悪くて汚いだけでしょうが。

 姫のほうは「この虫があの美しい蝶になるのよ、
 きれいな絹を吐く蚕だって芋虫だし、成虫は
あなたたちの嫌いな蛾でしょう。
 森羅万象、すべて原因があって結果がある。その繋がりが
この世の中なのよ。神秘的で美しいと思わないの?」 
 といった感じで力説するのだが、いまでさえ「理屈は
どうあれ、虫はみんないや!」と毛嫌いする人が
多いのだから、生態系など理解されるはずがない。

 気の毒な姫君。後世の人間である私だって、
目を輝かせて虫を見たり、あげく育てたりしていると、
「え~、女なのに変わってるよねえ」と、感心ではなく
呆れられることがほとんど。

 S村では大量発生しているカメムシを、毎日、何十匹と
捕まえ、ペットボトルの中で蠢く様をしげしげと眺めている。
 虫でも獣でも植物でも天体でも、もちろん人間でも、
私はその生態を知るのが好きなのだ。
 どんなふうに生まれ、どう生きてるのかな、ということを。
 知ってどうする、と思われるかもしれないが、知ること
自体が私にとっては歓び。
 この世の森羅万象を知ってこそ、たとえ人生が辛くても、
生まれてきた甲斐があるというものだ。
 「詮索好き」ではなく「探求心が旺盛」なのだと
自分では思っている。
 知った瞬間、一瞬、自分が地球を抱きしめたような
気分にもなれるし。


 というわけで私のブログには虫の写真も多い。
 捕獲した大量カメムシの写真は、さすがに出さない。
 不快に感じる人のほうが圧倒的に多いだろうから。
 好きか嫌いかと問われたら、そりゃあ、衣類や布団に
入り込んで悪臭を放ったり刺したりもするし、
野菜の栄養を吸う畑の害虫でもあるのだから嫌いだ。
 容赦なく処分する。

 S村に大量発生しているのは、黒っぽくて
見るからに悪役面だけど、時には花畑で
こんな可愛いカメムシと出会うことも。

 
 
 

 

 
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