迷走の夏

　毎年、それほどクーラーをつけない。
　あちこちの窓を開けておけば、
風が通ってくれるから。
　
　しかし今年ばかりは駄目だ。
　７月に入ってから、起きている間は
連日つけている。
　寝るときは、友人がプレゼントしてくれた
「ひんやりパッド」と「氷枕」。

　ほとんど閉じこもりで動くのもおっくうだから、、
腰痛がひどい。
　昨年から今年にかけて悩まされた
肩関節周囲炎もぶりかえしの兆しをみせている。

　脳も、汁気のなくなったホウズキみたい。
　すかすかのからから。

　昨夜、原稿を書いていて、突然、背筋が寒くなった。
　なにこれ？　いつテーマを外れたの？
　この一ヶ月、苦労して書いたのに、
道を外れるどころか溝に落っこちている。
　
　全部、没。そうするしかないでしょ。
　おまけに軌道修正の道筋も思いつかない。
　
　異常気象のせいにするするつもりはない。
　老化でしょう。
　
　自分の衰えを悟った野生の獣は
誰にもみつからない場所へ行って
命の終わりを静かに待つという。
　
　迷走して自己嫌悪に陥るより
私もそうしたい。

　昨夜なんか思わず、検索バーに
「誰か助けて」と打ち込んでしまった。
　クリックすると、助けを求める人が
コバエのごとく湧いて出た。
　
　そこにまぎれこんで、夢の中でも迷走し続けた。