初心が大事だからね。

　古希になっていきなり歩きだすとは
夢にも思わなかった。
　若い頃から疲れやすいたち。
　なるべく動かないことこそ、自分に合った
唯一の健康策だと信じていた。
　運動しろなどという忠告は、聞いたふりだけ。
　ごめんなさい、だって疲れるんだもん。

　で、昨年はいろいろあって、重い腰を上げた。
　毎日とはいかないが、こころがけてはいる、歩こうと。

　元日の昨日は、近所の神社を二ヶ所回って初詣。
　３０００歩くらいかなあ。

　今日は伊勢佐木町か赤門、決まらないまま家を出て
ちら見した伊勢佐木町が閑散としているので赤門へ。

　大岡川を渡る。
　塑像のようにならんだカモメ。



　赤門こと東福寺。創立は寛元年間（１３世紀半ば）。
元はもっと大岡川寄りにあったそうだが、焼失で
慶長１２年にここへ移転。江戸時代は２２の末寺を有していたとか。
　なんだかんだで七度も火事にあい、古文書はすべて焼失。
　現在の建物は昭和３５年の再建。
　富貴楼お倉、作家の長谷川伸の墓があるというが、
崖に沿った墓地はアップダウンが多く、中途でリタイア。



　一帯は赤門町という静かな住宅地。空き家率はけっこう高いとみた。
　地面からはずうっと、水の流れる音が聴こえている。



　作家の吉川英治はこの近くに住んでいたそうだ。
　鉱泉が湧き出て、鐵温泉という大きな旅館もあったとか。



　わっ、また坂に出くわしてしまった。
　ここで引き返すのも能がないので、上がるしかない。

　疲れた……。早くも後悔。
　家の外で煙草を吸っていたおじさんに、「この先は
どこへ行き着くのでしょう」と尋ねる。
　「野毛山公園だよ」



　外反母趾が痛み始めたところで、この階段が現れた。
　上がるしかない。


　
　うわぁ、野毛山公園って、こんなに広かったんだ！



　動物園かあ。見る元気はないな……と思いながらも
動物好きの血が騒ぎ、足は園内へ。無料だし。



　







　今度は野毛の坂を下り、中央図書館の石段を降りて
ようやく日の出町駅前に。



　大岡川に戻ってきた。


　「そうだ、札幌・すすきので働こう！」
　４０年前にこれを見たら、行ってたかもねえ、わたし。
　闇の中に踏み迷い、明日をも知れぬボロ雑巾だったから



　横浜橋商店街を通ってもしようがないよねえ、
　まだほとんど閉まってるし……と思ってたら！
　虚弱も歩けば獅子舞に当たる。
　にわかに正月らしい気分になった。



　ものすごく歩いたと思ったのに、
え～、８０００歩いってないじゃん！



　さて、今夜はスーパームーン。
　大きなオレンジ色の月に、明日からのパワーをいただこう。

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