冬桃ブログ

「ゆびきり」と「ぽつりぽつり」。

 「きのう、ゆびきりしたのよね、約束だよって!」



 笑顔でそういえば「ゆびきり」は楽しいこと、嬉しいことになる。
 でも私の場合は悲しかった。間違えてハサミで指を切ったのだから。
 指がちょん切れはしなかったけど痛かった。
 思わず口にくわえて血を止め、絆創膏を貼った。
 でもまだ血が滲む。


 「ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本の~ます」
 と、子供の頃は小指をからませて歌ったりしたものだが、
よくみれば怖い歌詞ではないか。
 「げんまん」は漢字で書くと「拳万」。約束を破ったら
拳で殴る、ということだそうだ。

 「ゆびきり」は「誓い」の意味で、遊女の心中立てでも知られる。
 ままならぬ身ではあるが、本気で惚れた相手に、
「心はあなたのもの」という証拠として、切り落とした
自分の小指を渡したとか。
 やくざが指を詰めるのも「二度と裏切りません」という
謝罪と誓いの意味なのだろう。

 痛む指をしみじみ眺めながら、そんなことを考えていたのだが
だんだん悲しく寂しい気持ちになってきた。
 まあ、軽く済んだとはいえコロナだったし、別にどこへ
行きたいわけでもなかったけど、外へ出ちゃいけない身は
孤独がいやますしで……。

 そしたら、乱歩賞の先輩である盛岡の高橋克彦さんから
メッセージが届いた。自作の歌にリンクを貼って
URLを送ってくださったのだ。
 もちろんコロナで蟄居中なんてご存じなかったけど。
 
 これがねえ、よるべない身にぐさりと突き刺さった。
 詩も曲も歌声(たぶん作曲者)も雨だれのように、
ぽつりぽつりと心の芯を穿つ。
 気が付けば滂沱の涙。
 「暗い日曜日」になっちゃったらどうしよう、
と一瞬思った(意味不明の方はネットで検索を)。
 
 で、なんの罪もないどころかこれほど素敵な
歌を知らせてくださった高橋さんに、「どうしてくれるのですか、
この私に、こんなに沁みる歌を聴かせるなんて!」という
理不尽な恨み言混じりなお礼を送ってしまった。

 でも、それほどの力を持った歌でした。
 ユーチューブにもあがっていたので、
ぜひお聴きください。

ぽつりぽつり 作曲・AMBE 作詞・高橋克彦
https://www.youtube.com/watch?v=9YNUH0Ef3aw
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