引越しました。

　南区から金沢区へ引っ越しました。



　住むのは、横浜市内で５区目。

　二十代の初め、港北区の日吉に２年くらいいました。
　そこから中区根岸の丘に。
　目の前の根岸競馬場跡はまだ森林公園ではなく
広大で起伏の多い原っぱでした。
　三年くらい暮らしたでしょうか。

　それから、さまざまな事情で東京や
横浜ではない神奈川県の某所をさまよい、
次に住んだ横浜は緑区の中山。
　３０年近い年月をそこで過ごしました。
　次が南区の高根町。横浜橋商店街の近くです。
　１４年間そこで暮らし、昨日、金沢区へ。

　横浜で唯一、自然海岸のある区です。
　浜を歩き、手で海水に触れることができます。
　生まれ育ったところが海のそばなので
私としては「ようやく海に還る」という気分だったのですが
８割方の知人友人から「なんで？　どうして？」
という反応が返ってきたのは、まったく想定外でした。

「歳をとったら便利の良いところへ移るものでしょ？
どうして都心部からわざわざ郊外に！」

　そうか……。
　わたし、またリスクの多い選択をしちゃったのか。

　失敗の多い人生を送ってきた私は、正直、落ち込みました。
幾つになっても、自分のすることに自信が持てないのです。
　だけどもう引き返せません。
　しかも引越しの二日間は両日とも冷たい雨。

　情けないことに、心身共に弱っていたのですが
友達が三人、手伝いに来てくれました。
　彼らは朝早くから夜遅くまで、自分の引越しのように
きびきびと働き、よれよれでボウッとしているわたしに、
前の住まいとはすべて異なる機能を叩き込むように教え、
励まし、希望を呼び戻してくれました。

　だから３人が帰ったあとの淋しかったことといったら……。

　たしかに南区の住まいはとても便利でした。
　下町の良さ＋横浜ど真ん中という刺激に満ちていました。
　そこへ越したときは、私もいまよりずっと若く、
一緒になって、ど真ん中で動きたかったのでしょう。

　でも古希を過ぎたいまは、気力体力ともに、
その環境が少々辛くなりました。
　海の近くに戻り（故郷は日本海ですけどね）、
これまであまり触れる機会のなかった
開港前の横浜史などを、少しずつ学んでいけたらと
思っています。

　何歳になっても、知らないことを学ぶのは楽しいこと。
　ドクターＹにいつも言われている「歩け、とにかく歩け！」
も、実践できそうです。
　落ち着いたら、まずは海までのルートを覚えないと！

　少しずつ、わたしなりの発見を綴っていけたら幸せです。