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冬桃ブログ

今年最後の羽化……をしてくれますように!

 それは9月18日のことだった。
 山椒の鉢周りに、黒いつぶつぶが
散乱しているのに気づいた。
 このところ雨風がひどかったから、
プランターから土が飛んだのかと思ったが
鉢の中から小さな団子状になった土が
ぴょんぴょん飛び出す光景は、どうも想像しにくい。
 それにこの光景には見覚えがある。
 蝶の幼虫が落とす糞……。

 いや、それはありえない。
 この夏、うちのひょろりとした山椒の鉢植えは
20頭もの蝶を育てた。ようやくその役目を終え、
枯れ切っている。
 こんなところに蝶が卵を産むはずはない、
と思ったが念のため、枯れた葉をかきわけてよ~く捜した。
 なんと、いるではないか、青虫が!
 つまりこの子はここで生まれ、黒白幼虫の時期を経て
終齢幼虫である青虫になった。
 いままで気が付かなかったのは、糞の量が少なかったからだ。
 
 そしてこの子は、青虫になりたて。
 これから食欲が旺盛になる。
 しかし食草である山椒の葉は枯れて変色している。
 私は暑さのせいだと思っていたが、ここに至って
ネット検索してみた。
 結果、赤さび病という、山椒によくある病気だと判明した。
葉は錆びたような色になり、葉裏には黒い点々がつく。
 まさにそのようになった葉を、この子は食べて育ったのだ。


 とはいえ、これからだって餌はこれしかない。
 うちには四鉢の山椒があるが、気が付けばどれも
赤錆病に侵されている。
 
 このまま見なかったふりをしようか、とも考えた。
 これを食べて黒白幼虫の時期を生き抜いた子だ。
 このまま青虫時代も生き抜き、蝶になるのではないか。
 彼らにとって赤さび病なんて、どうということないのでは?

 ああでも、やっぱり見過ごしにはできない。
 終齢幼虫は食べる量が多いのだ。
 無事に育つかどうかはこれからにかかっている。

 もう今年は終わり、と思って片付けていたアクリルケースを出し、
紙皿に湿らせた紙ナプキンを敷き、なんとかマシに見える葉を摘んで、
そこへ青虫を隔離した。


 だけどどうしたって量が足りない。
 そこでプランターにあるレモンの木に移してみた。
 柑橘類もアゲハの食草だ。

 
 「おお、食べた!」と喜んだのはほんのいっとき。
 やっぱり気に入らなかったらしく、しばらくすると
木から降り、山椒を求めているのか、プランターから
出ようとしていた。

 アクリルボックスに戻し、またもや山椒の木から、
なんとか食べられそうな葉を必死で捜し、
お願いだからこれでしのいで、と祈りながら差し出すこと四日間。
 青虫が丸い糞を出すたびに私は小躍り。
 排泄ができているということは、食べたものが
消化されている証拠だ。
 自分の糞がそばにあることを青虫はいやがる。
 口でつまんでぽいと放る。
 そこで私は、糞を見るや否や割り箸の先でつまみ
せっせとお掃除。
 充分な食事を出せないのだから、せめてこれくらいは
御世話しなくちゃ!

 五日目の朝、重い気分でアクリルケースに近づいた。
 もうなんにもない。山椒の葉は気味の悪い斑点だらけ。
 柑橘の葉も食べないとなると、今日はもう食事が出せない…。

 しかし、それがわかっていたかのように、青虫は
姿を消していた。ケースの床には黒っぽい液体が
直径一センチほどの円をつくっている。
 いそいでケースにいれておいた木枠の後ろを見た。
 おお、前蛹になってる!


 前蛹はサナギになる前段階。ここと位置を定め、
背を丸めた状態でじっとしている。
 そして一日半。
 背景に合わせた色に変わり、見事、サナギに!


 本来、終齢幼虫はもっと食欲を示す。
 この子は、これ以上、餌がないことを悟ったかのように
早めの蛹化を果たした。
 まだ気候が暖かいから、越冬せずに小ぶりな秋の蝶に
なるのではないだろうか。

 ネットで調べ、山椒の鉢に水で薄めた重曹を撒いた。
 枯れた葉を全部取り、そこにも重曹水をスプレーした。
 来年はまたきれいな葉をつけてくれるだろうか。
 そうでありますように!





 
 

コメント一覧(10/1 コメント投稿終了予定)

yokohamaneko
ミドリムシさん
 キャベツの青虫だとモンシロチョウではないかと
思いますよ。
 私もキャベツを護るため、よく潰しました。
ミドリムシ
Yokohamaneko様。こんにちわ😃。幼少の頃、近くにあったキャベツ畑で、青虫(芋虫)見つけて遊びました。指でつつくとフニャフニャする感触が心地良かった。うす~く産毛も生えてる。ひつこく触ると躰をくねります。摘まんで掌に乗せると…クネクネクネクネ!…と激しく芋虫ダンスを始め…暫く経つと意を決したように掌から腕へと歩き始めます。この時のペタペタした感じがまた良い。小さな足がある。アゲハの芋虫さんだとよくわかりますが…短いあしが生えてます。これが、よく見ると可愛いんです。沢山生えてたら、キモくて逃げ出したくなりますが…何とも案配良さそな本数なのがキュートです(笑)。今年最後の旅立ち。neko先生…お見送りですね💕
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