
建物の至る所にこの張り紙。
そして強いシンナーの臭い。
急いで廊下を駆け抜け、
室内に避難。
職人さんたち、この臭いの中で
大丈夫なのだろうか。
それにしても思い出すのは、
私が二十歳前後だった頃の新宿駅周辺。
ビニール袋に顔突っ込んで、
芝生に寝転んでる若者がいたねえ、何人も。
シンナー遊びとかシンナー中毒とか
呼ばれて問題になっていた。
クスリが流行りだったんだわね、当時は。
ヒッピー、サイケ、学生運動。
集団意識もあっただろうが、
一応、反体制を標榜しているのだから、
なにか法に触れるようなことをしないと
かっこ悪いとか収まりがつかない、というような
気分があったのかもしれない。
芸能界でもクスリは大流行りだったらしく
人気グループサウンズから有名作詞家まで
次々と捕まっていた。
いまだとけっこう大事になるが、当時は
「またか」という感じで、たいしたパッシングも
受けていなかったような。
私はお金も時間もなかったから、
流行とは無縁だったけど、懐かしいねえ、
この臭いは……って、ビニール袋で
吸ったことは、もちろんないんだけど。