業績不振に陥っていた英自動車メーカー、MGローバーは7日、破産管財人の管理下に入ることを決め、事実上、経営破綻(は・たん)した。経営支援を中国の上海汽車に要請していたが、交渉が行き詰まった。英メディアが伝えた。英国は総選挙を約1カ月後に控えており、同社救済が選挙の争点になる可能性も出てきた。
MGローバーは業績低迷が長く続き、現経営陣が00年に独BMWからわずか10ポンド(約2000円)で買収。しかし、その後も業績は上向かず、昨年11月には、中国の大手自動車メーカー、上海汽車に支援を要請していた。しかし、出資金額などで折り合わず、交渉が難航していた。
さらに、英政府に求めていた1億ポンド(約200億円)のつなぎ融資に対し、ヒューイット英貿易産業相が実行できないと表明。資金繰りに行き詰まった。
部品メーカーが供給を止めたため、主力の英南部バーミンガムのロングブリッジ工場(従業員約6000人)の操業を停止している。
ヒューイット同相は7日、「政府は従業員と従業員の家族への全力の支援をするとともに、管財人らと協力して自動車生産継続に努力する」として、再建を模索する考えを示した。
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日本でMGローバー車を輸入するオートトレーディングルフトジャパン(本社・名古屋市)系列の「MGローバー日本」(東京都)は8日、「今のところ英国から連絡は来ていないが、販売・サービスは通常通り続けていく」としている。MGローバーの販売拠点は全国に約40カ所あり、セダン「75」「ZT」、オープン「TF」の3車種を展開している。
旧ローバーグループのブランドだったランドローバーは、現在米フォード傘下で「レンジローバー」など4車種を展開しており、MGローバーとは関係ない。同様にローバーのブランドだった「ミニ」も、現在は独BMWに引き継がれている。