政府は2日、郵政民営化関連法案の骨格作成に向け、経営形態のあり方を3年ごとに点検する条項や、情報システムの進ちょくに応じて、2007年4月の民営化時期を半年間猶予できる「危機管理規定」を盛り込む方向で最終調整に入った。経営の一体化をめぐって焦点の郵便貯金、保険両会社の株式売却については3年ごとの点検を踏まえ段階的に行うが、10年以内の完全売却に関しては結論を持ち越した。政府は3日に最終調整を行った上で、細田博之官房長官が小泉純一郎首相に報告する。
政府が省庁間協議のために作成した原案では、郵貯、保険両会社の全株を07年の民営化後、10年以内に処分することを持ち株会社に義務付けた。しかし、「郵政3事業一体」にこだわる自民党に配慮、3年ごとの点検や、株式の段階的売却という事実上の見直し規定を設けることになった。
「完全売却」については結論を持ち越しているが、民営化後、持ち株会社を通じて新会社間で株式を持ち合うなどの可能性が残り、郵貯、保険両社の完全分離は微妙になった。
07年4月の民営化スタートをめぐっては、総務省、日本郵政公社に「新会社の対応するコンピューターシステムの準備に時間が足りない」との意見が強く、自民党の民営化反対派が政府方針を批判する根拠の一つになってきた。このため、政府は危機管理規定によって、先送りの可能性をにじませる。
このほか、(1)郵便網の維持を法律で義務付ける(2)郵貯、保険両社の株式売却益などで、過疎地の郵便局を支援する「地域・社会貢献基金」を創設する(3)民営化前に準備組織を設立し、新規業務の検討に着手する、なども盛り込む見通しだ。
ただ、自民党との対立項目が依然残っていることから、細田長官は2日、記者団に「首相の裁断を仰ぐこともありうる」と述べ、首相自ら裁定に乗り出すこともあり得るとの認識を示した。
毎日新聞 2005年4月3日 3時00分