帷坂

場所・人物・生き物への考察

323. 大阪見聞録 大阪異形の男(1)

2018年12月22日 | Weblog
東住吉区山坂のまこちゃんは、テレビ番組にも出演したことがあるほど、独特のオーラを身にまとう人物で、いろんな事を教えてくれた。西南学院中学・高校・大学を経て九州大学に学士入学し、ミシガン大学に留学する。当時はまだ人種差別もあり、日本人には厳しい時代であった、そこで彼をサポートしてくれたアメリカ人女性と結婚する。やがて、その女性を伴い日本で暮らしたが、異国の地での生活、習慣の違いから、奥様は帰国する(現在はアメリカの小学校で校長を務めている)。異形の男は商社に勤務して、現在は引退して、日本人の奥様と年金暮らしをしながら、ボランティアでホスピスでの牧師さんをされている。人としての様々な道を熱く話してくれる傍ら、不思議な、世間では語られない、まっこと不思議な異次元の話を、私と一対一になったときに話してくれるのだ。あるとき、ホスピスの施設で、たいへん格式の高い家のさるご婦人が亡くなるときの、絶叫のような叫びを聞いた、それが忘れられないという「私は、人生で一人の男しかしらんかった!」心の叫びだった。その絶叫は最後の言葉としては内密にされた。しかし、どこからか漏れたのだろうか、たまたまなのだろうか、ご葬儀参列者は予想より少なかったという。異形の男は「それが本当の、誰にでも考えられる女性の本音なのかもしれないよ。」と話してくれた。この話を聞いて思い出す、「葬られた秘密」(ラフカディオ・ハーン)とよく似ているではないか、「怪談」に収録された作品の一つで、怪談話だよ、とかたづけるのも簡単だが、伝承が話したいのは、怪談風にアレンジして脚色されているものの、その奥にある人間の情念なのだろう。アメリカでも90歳を超えたおばあさんが50代の男性に迫り拒絶されたがために拳銃で攻撃した話が出ていたが、女性の情念はおばあさんになろうと変わることがないのだと実感した。
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