亀田兄弟の契約問題

　亀田兄弟が所属ジムとの契約打ち切りというニュースが流れている。
　彼らにとって、父親に続いて、所属ジムという後ろ盾を失うことは、大きな痛手である。

　これで思い出すのは、2006年オフのプロ野球で中村紀洋選手が交渉のもつれからオリックスを退団し、一時は野球浪人になりかけたことである。
　あのとき、中村は、他球団との契約を希望するも、どこの球団も手を挙げず、本人も、もう日本で野球をできなくなるのでは、というところまで追いつめられた。
　そこで、打撃の師匠である中日の落合博満監督が「才能ある選手から野球を奪ってはいけない」と、育成選手として中村を入団させることを決めたのである。

　亀田兄弟は、このままではボクシング浪人となる。海外で次元の低い試合しかできなくなる危険に直面しているのである。
　亀田兄弟は、メディアがあおり立てた結果、多くの悪いイメージをつけられてしまった。メディアは、今回の件に対しても、好意的に兄弟を支援する立場をとることは考えにくい。
　亀田兄弟は、ボクシング人気を回復させた功労者だけに、このままその才能を埋もれされるのはボクシング界の損失である。
　はたして、ボクシング界に落合監督のような人物が現れるのだろうか。ボクシング界の真価は、そこで問われるにちがいない。