気楽に山歩き

山歩きもHPも気楽に楽しむ日々を綴ります。話題は主に山歩き関連です。

『いまだ下山せず!』(泉康子、宝島社文庫)を読んで

1999年10月30日 | 
 1987年に遭難した3人パーティの捜索のドキュメント。
 遭難を知らされた肉親や仲間が、その重い現実に直面したら、こんなにも必死になるものなのだ。
  誰だって、死にたいなんて思っていないし、こんな思いをさせたいなんて思わない。危険と隣り合わせなのも知っている。それでも行きたくなる魅力がそこにはあり、胸にそれぞれの思いを持って、出かけているのだと思う。
 でも元気だった人が遭難によって突然帰らぬ人となる、これは周辺の人にとってとても残酷なことだ。何故?どうして?と疑問を投げかけても、物言わぬ遭難者に届くわけがない。まずは遭難者の発見に力を注ぐのは当然の事ながら、このケースの場合、それがいかに大変なことだったかよく分かった。
 初めて知ったこと(知識)も数多くあった。今となっては3人に確かめようもないが、雪山で選んではならない一ノ沢下山を選択した訳を考えることも、彼等の死を無駄にしない事と思う。
 雪崩は自然の理で、無くなりはしない。山を目指す人も無くならないだろう。人間の知恵と体力でどこまで自然界の厳しさと共存できるか?そして一人のものだけでないたった一つの命の尊さ、この本はそれを考えさせてくれたように思う。山は優しさと厳しさを合わせ持っていることを、改めて痛感させられた。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
   | トップ | 日本百名山 »

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事