ジョニー・ウィアーの「アヴェ・マリア」－ピュアな美しさを表現出来るのも彼の魅力－

　昨日の記事で、サラ・ブライトマンが歌う「アヴェ・マリア」（シューベルト）を紹介したが、どうしてもジョニー・ウィアーの「アヴェ・マリア」を見たくて、久しぶりに動画をチェックした。

　いくつか見つけたが、2008年のスケート・アメリカでの演技が、ジャンプもきれいにきまりミスがなく、流れるような美しい演技を見せており、こちらの動画をお借りすることにしたい。

　ジョニーと言えば、「ジョニ子」の愛称でもファンの間ではお馴染みではあるけれど、

　●　中世的な演技であること
　●　アメリカ人なのに、ロシア好きであること

　これらの理由もあり、ジャッジやスケート連盟の重鎮達には、異端児扱いされてきたジョニー。おそらく得点の部分でも、時には涙をのまなければいけないような、理不尽な思いもしてきたのでは？と察する。

　そんなジョニーが、
　せっかく未来永劫の素敵な伴侶を見つけたかと思っていたのだが、「男と女」の世界のこと、何があるか分からないものだ。甘い結婚生活も長くは続かなったということか…。幸せになってもらいたいが。

　アヴェ・マリア…昨日の記事では、「２つある」としたが、調べるとたくさんの方が作曲もしくは編曲をされていたのだなと、自分の認識不足を痛感したのだが、シューベルトに代表されるメロディと、カッチーニに代表されるメロディの２種類が有名なのは間違いない。

　カッチーニのアヴェ・マリアは、「アーヴェーマーリーア～」とアヴェ・マリアの言葉が繰り返される、もの悲しい旋律。
　一方、シューベルトのアヴェ・マリアは、昨日の記事に貼り付けた動画にあるように、聖母マリアへの祈りの言葉が続く。

　どちらも心洗われる美しいメロディであることに異論はなく、甲乙つけられるものではないと私は思う。
　好みと言えば好みだと思うが、私がカッチーニ版に抱く印象というのは、「涙が込み上げてくる」ような、懺悔にも似た気持ちになってしまう部分があり、今でいうデトックス　心のデトックス　にも繋がってくる。

　シューベルト版は、天空高くそびえ立つ神へ祈りを捧げつつ、幸せを願うような、ピュアな中にも厳かな装いのある「神聖な」心持ちになれる。

　私にとってそんな印象のある「アヴェ・マリア」を、ジョニーは、男性でありながら（外見は男性と表現すべきか…）、ピュアに美しく厳かに舞うことの出来る、本当に　稀有なスケーターである。競技生活からは退いてしまったが、彼の才能はもっともっと花開いて欲しいと同時に、もっと世間から認められてしかるべき…と、個人的に思う。

　そんな私の思いも、おそらくこの人が、そう　我らが日本の　羽生結弦　が、ジョニーの魅力を伝播してくれるのではないかと期待しているし、実際のところ、その役割も果たしてくれているように感じている。

　ジョニーの舞を見ていると、「羽生結弦がどんなに、彼をリスペクトしているのか」が、よく分かる。羽生が敬愛しているのは、ロシアのエフゲニー・プルシェンコだけではない。

　プルシェンコの技術力とジョニーの表現力をあわせもったようなスケーター、それが羽生ではないかと思う。そこに、これから加味されてくるであろう羽生結弦独自の色が、どんな色なのか、楽しみな期待の星である。

　そんな若き獅子が敬愛してやまないスケーターの一人が、ジョニー・ウィアーであり、私が、アヴェ・マリアを好きになったきっかけは、ジョニー・ウィアーの演技。男性とか女性とか、どうでもいいんじゃない　と思わせたのも、ジョニーが最初。

　たくさんの人を魅了してきたことは間違いないでしょう。また、羽生もたくさんの人を魅了し始めている。同じ時代を共有出来たこの二人。いや、三人か、プルシェンコを加えれば。何という偶然であり、奇跡的なことか…。

　奇抜な、刺激的なものだけが、ジョニー・ウィアーの魅力ではない。本来は、とてもピュアな人でしょう。だから、羽生も尊敬するのだろうと思う。話が羽生に逸れてしまったが、いつか、生でジョニーの演技を見てみたいものだ…。

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2008 Johnny Weir Ave Maria Skate America