La Terrasse

カフェ文化、パブリックライフ研究家 飯田美樹のブログ。著書に『カフェから時代は創られる』

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手厚いコロナ支援の裏側で 倒産危機にあるフランスのカフェや飲食店

2021-02-08 19:58:54 | 英文記事読解
 パリのカフェ経営者、ロジエ氏の店がなんとか生き残っているのはひとえに政府の支援のおかげである。かつては賑わっていた彼の店の売り上げはマイナス80%になった。最近店に来るのはごくわずかなテイクアウトの客だけだ。「私たちは死の淵にある」と彼は言う。
 
 フランスやヨーロッパの国々は、戦後最大の経済危機に対して、ビジネスをなんとか生き残らせるため巨大な支援を行ってきた。そのため倒産件数はかつてないほどに減っている。2020年、実はフランスでは倒産件数は40%も減り、EU全体でも25%減っている。こうした支援がなければ倒産数は2倍になっていただろう。雇用を守るための対策もしっかりしてきたために失業者数は多くないが、手厚い支援は一方で「ゾンビ・カンパニー」を作り出すという懸念もある。フランスので生き残っている企業の10%は、ひとえに政府の支援のおかげであるという見積もりもある。政府の支援だけで生きながらえている企業は、今後の「失われた10年」のきっかけかもしれない。何を差し置いてでもビジネスと雇用を守ったというヨーロッパは、コロナが収束した後の回復を約束するのか、それとも経済の競争力を失わせ、より政府の援助に依存する経済になってしまうのだろうか。これだけ援助をしてみても、支援がストップした瞬間に倒産のドミノ倒しや失業が急上昇するという懸念もある。
 
 実際、倒産自体はそこまで悪いものではなく、それは創造的破壊であり、経済の活力を生み出すためには、見込みのないビジネスが倒産し、競争力あるセクターが生き残るというのも重要な視点である。ただ支援をし続けるのではなく、経済成長を促す支援になるようにしていくべきだとOECDは説く。というのも重要な資源を「ゾンビ・カンパニー」にばかり投入するわけにはいかないからだ。
 
 フランスは数々の支援をしているとはいえ、数多くのビジネスは借金の山や収益性の低下に直面している。パンデミックがが長引けば、投資をする余力も限られてくる。
 
 ロジエ氏の店はビジネス街で文化的な街区に位置しており、在宅勤務の導入によってオフィス通勤の客が大幅に減った。政府はスタッフの給与の支払いを援助し、約400万円の貸付を行い、その支払い期限も延長した。10月のロックダウン以降は月額130万円ほどの援助を受けている。
 
 とはいえ、すでにこうした資金も彼の売り上げの損失を補填できない。彼は2店舗のうち1店を昨年夏に売却した。月額50万近い家賃の支払いはすでに3ヶ月遅れている。それに加えて社会保障費や電気代等を払うのにも苦戦している。フランス政府はカフェやレストランにテイクアウトしか許可していない。ロジエ氏はそんな中、なんとかして店内で飲食ができるようにと訴える代弁者として知られるようになった。「あと数ヶ月のうちに店を閉めることになるだろう」と彼は語る。「倒産するより店を売った方がましだ。」彼の友人のレストランオーナー二人はすでに倒産申告をした。「もっと多くの人たちが彼らに続くのは確実だ。」
 
2月6日、World News Caféで読解したNew York Timesの記事の要約です。
 
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