La Terrasse

カフェ文化、パブリックライフ研究家 飯田美樹のブログ。著書に『カフェから時代は創られる』

コロナ禍だから考えたい カフェや喫茶店の可能性

2021-03-11 18:12:31 | サードプレイスとしてのカフェ
クラブハウスでのカフェ・トーク、
『コロナ禍だからこそ考えたい 
カフェの可能性とは?』では
千葉県千葉市で自家焙煎コーヒーの
喫茶店を経営している
「じゃくう鳥」のオーナー
中田直樹さんと
お話させていただきました。
 
 
中田さんは5年前にお店をオープン。
コーヒーの名店として著名な
カフェ・バッハの田口さんから
焙煎の技術を学び、コーヒー豆を
売るお店としてスタートしました。
 
 
じゃくう鳥というのは、コーヒー
チェリーが大好きな鳥のこと。
コーヒー好きが集まる木のような
場所を作りたいという想いで
名付けたそうです。
 
 
開店時には、駅前や人通りが
多いところにした方がいいと
言われることも多かったそうですが
田口さんの「場所にこだわるな、
そこを一等地に仕立て上げれば
人はやって来る」という教えのもと
駅から離れた淑徳大学の近くに開店。
立地が悪いと人がやって来ないため
様々な努力をする必然性が生まれます。
 
 
その甲斐あって、じゃくう鳥では
お客さん同士の会話も生まれ、
あそこにいけば面白い人に出会えると
いわれる場所になりました。
もともと5種類から始めたコーヒーも、
今では19種類あり、好みに合わせて
選べるようになっています。
 
 
カウンターがあったおかげで
会話が生まれやすかったじゃくう鳥。
コーヒー好きが集まる店を目指して
いたとはいえ、病気から恋愛まで
様々な話題が話せる場になっていました。
 
 
コロナの緊急事態で現在店内は休業中。
それでも豆を買いに来るお客さんたちが
とても会話をしたそうだといいます。
これまでは人に会いたい、話したいと
自覚していなかった人も、コロナに
よってその重要性を痛感するように
なったのかもしれません。
 
 
カフェは「日常にある異空間」だと
中田さん。仕事をなんとか終えて
お店に行くこと、頑張ったらその店で
ケーキを食べること。それを励みにし
カフェを目指す人もいるでしょう。
 
 
在宅勤務が可能とはいえ、家庭という
ファーストプレイスとセカンドプレイスが
ごっちゃになった場所は、どんなに装飾を
こらし、庭でお茶をしてみたところで
サードプレイスの代替にはなりません。
そこには人との出会いもなければ
驚きや予期せぬ出会いもなく、あるのは
いつもと変わらぬ風景です。
 
 
コロナで人に会いたいという気持ちを
自覚した人が多いからこそ、
サードプレイスとして機能する
あたたかいカフェは、実は
待望されているのではないでしょうか。
 
 
そんな中、現在流行りのビジネスとして
オンライン・サロンが注目され、喫茶店の
多くは経営が困難になっています。
人が人と出会いたい、つながりたい、
話を聞いて欲しいと思っているのに、
そんな需要がオンラインに吸い取られて
しまうのはもったいないように感じます。
 
 
じゃくう鳥のようにあたたかく
人を受け入れてくれるカフェが増えたら、
そんな場所に行きたい人は
今こそ多いのではないでしょうか。
 
こうした需要があるにも関わらず、
多くの店が困難を抱えている理由は
もしかするとコロナだけでは
ないのかもしれません。
その一因として考えられるのは
店側の自己主張が強すぎることです。
 
 
2000年には東京でカフェブームが起こり、
その後ほとんどのカフェが閉店しました。
カフェは総合芸術だから、店主のセンスの
良さをそこで味わえばよい?
でもそうした店は店主の我が強く、
来た人はあまり自由に振る舞えません。
 
 
とはいえ今でも自己実現の場所として
カフェを捉えている人は多いようです。
 
 
インスタ映えするじゃくう鳥にも、
カフェを開きたいという夢をもって、
やたらと店内の写真を撮り、
その小物はどこで買ったのかなどと
聞いてくる方もいるそうです。
「ハコをつくりたがっている人は
多いけれども、ソフトが伴っていない
人が多いのでは」と中田さん。
 
 
カフェは単なるお洒落なハコで、
インスタ映えすればいいのでしょうか。
カフェの本質は一体どこにあるのでしょう。
それを考えさせられる機会になりました。
 
 
人をあたたかく受け入れ、
もてなしてくれる場所が自分の身近に
あるということ。日常の中の非日常で
元気をもらってまた頑張ろうと思い、
次の一歩を歩めること。そこに人を元気に
してくれる美味しいコーヒーがあれば
それほど素晴らしいことはありません。
 
そんなサードプレイスとしての
カフェであれば、お客さんとの関係も
相思相愛であたたかくなり、より一層
求められる存在になるのではないでしょうか。
コロナだからカフェはつぶれる?
いや、コロナ禍だからこそ、真のカフェは
もっと求められているのでは?と
可能性を感じられた時間でした。
 
 
※上記は3月10日にクラブハウスで開催した
第2回カフェトークでの中田さんや
参加者の方との会話をまとめたものです。
中田さん、みなさま、ご参加いただき
ありがとうございました。
次回は3月24日(水)20時から開催します。

お金をかけずに英語力を上達させる方法とは

2021-03-08 09:47:03 | 英文記事読解
頑張っているのに英語がなかなか上達しない・・・
私の何がいけないんだろう? 
勉強を頑張っている分だけ、
語学は辛くなりがちですよね。
そんな苦しみをお金をかけずに、
これ以上負担を増やさず解決する
とっておきの方法があります。
 
それが耳を使って語学力を上達させる方法です。
 
長年フランス語を教えていく中で驚いたのは、
多くの方がまじめに教科書に向き合う一方、
ほとんど耳を使っていないということでした。
 
耳を使えば語学力はスピーディに上達します。
実際、私は英語の語学学校に通ったことや
高額な教材を使ったこともありませんが、
今では英語を教えています。そんな私が
英語力を上げるためにやっていたことは、
BBCを数年間、通勤中に聞くことでした。
 
ひたすら聞いていると、
はじめは言葉に聞こえなかった
音のつらなりも、数ヶ月後には
言葉として聞こえるようになってきます。
 
忙しく時間がない人、
こまぎれの時間しかない人ほど
語学には向いています。
 
というのは語学は小さな時間の
積み重ねでしかないからです。
耳を使うのはほとんど無料で、
通勤中や片付けの最中などに
プラスするだけ。
 
最強の語学ツールである
スマートフォンを
ぜひ最大限に活かしてください。
 
1. 英語学習におすすめのアプリ ポッドキャスト
 
まずはポッドキャストについてご紹介します。
世界のニュースはライブ配信でも聞けますが、
ライブ配信は語学学習者に向いていません。
 
ラジオのライブ配信の問題点
 
① 自分が聞き始めた時に何の話題について
  話しているかわからず、ついていけない。
 
② ネット環境が悪いとすぐに途切れる。
 
③ ネイティブがスピーディに話すことを、
  学習者が一瞬で理解できるはずがない。
 
そのため、ライブ配信のラジオを聞いても
「やっぱりだめだ、できない」という
ネガテイブな気持ちになりがちです。
 
それに対して、ポッドキャストは
語学学習者にとって多くの利点があります。
 
ポッドキャストで語学学習をする利点
 
① 自分が聞こうと思った時に、
  番組の始まりから聞ける。
 
② ネット環境が悪くても大丈夫!
  トンネルの中でも、飛行機でも聞ける。
 
③ 一度聞いた番組を繰り返し聞けるため、
  理解力が上がる。
 
語学学習者にとっては、
「何を言っているのか意味不明なもの」を
ひたすら流して聞くのではなく、
少しでも理解できるものを
繰り返し聞く方が良いといわれています。
 
とはいえ、販売されている語学教材は
つまらないものが多く、「また聴きたい!」
という気持ちになかなかなれません。
 
ポッドキャストはニュースや自分の関心に
あったものが聴けるため、「知りたい、
そのためにはやっぱり英語が必要なんだ、
頑張ろう」という気になりますし、
わかったときは「やっぱり英語を
やっててよかった!」と嬉しくなります。
 
ポッドキャストの使い方
 
携帯からアップルストアなどで
Podcastのアプリをインストール(無料・紫色)
 ↓
アプリを開いて、検索窓から
「BBC」など、興味ある内容を検索
 ↓
出てきた番組一覧から、
良さそうなものを選択し、
携帯に取り込む(無料)
 
おすすめはBBC Global News Podcast
約20分で世界のニュースが流れます。
1日1回更新されます。
ここではWorld News Caféで勉強した単語に
山ほど出会うと思います。
そして、「あ・この単語聞いたことある・・・
何だっけ・・」と想像力を駆使した時、
その単語が頭の中にようやく定着するのです。
 
2. 英語学習におすすめのアプリ オーディブル
 
次にオススメなのが、アメリカのオーディブル。
 
オーディブルはアマゾンが運営している、
オーディオブックが聴けるアプリです。
 
こちらは月に1700円かかり、1ヶ月につき
1冊のオーディオブックが買えるという仕組み。
 
たった1冊?と思うかもしれませんが、
本は朗読されるとひとつ13時間程の長さ。
それを聴き終えるのは至難の技です。
 
オーディブルは中級者〜上級者、
本気度の高い人向きですが
ポッドキャストでニュースを聴き続けると
気分が暗くなっていくため
いつもポジティブな気持ちでいたい人、
好きな本を原文で読みたい人におすすめです。
 
英語学習にオーディブルがおすすめな理由
 
① 原書を自力で読み切るのは時間がかかるが、
  オーディブルは聞き流すうちに進んでくれる。
 
② 原書を読むのに並行してオーディブルを
  聞くと理解度がぐんとアップする。
 
③ 朝起きた直後や、通勤中など、
  ぼんやりして無駄に感じていた時間が
  驚くほど有効に使える。
 
④ 名著の場合、あまりに内容が素晴らしく
  つい聴きほれてしまう。
 
もともと「英語のリスニング」だったものが
「内容が面白い!もっと知りたい!」に変わり、
英語が情報獲得の手段になった時、
語学力が向上します。
 
名著は原文で読むと翻訳本に比べて
エネルギーが断然違います!
ベストセラーはたった一冊で
人生を変えるほどの力を持っています。
巷のセミナーに数十万円払う前にまず
名著を原書で読んでみてください。
求めていた答えが山ほど書かれています。
 
とはいえ一人で原著の読解が難しいという人に、
オーディブルとの併用はとてもおすすめ。
 
(本がない状態で、耳だけで理解しようとするのは
学習者にはおすすめしません。それができるには
かなりのリスニング力が必要だからです)
 
とはいえオーディブルは毎月課金システム。
もとをとるには積極的に聞く姿勢が必要です。
でもこれのクオリティで1700円は安いです。
語学学校に行くことを考えたらとてもおすすめ。
 
ちなみに私は電車の中やウォーキングをしながら
カーネギーを聞いては素晴らしさに聞き惚れ、
トニー・ロビンスの経済的自立への道を聞いては
反省をして人生を変えようと痛感しています。
 
ポッドキャストのニュースとの一番の違いは、
ポジティブで頑張ろうという気持ちになれること
頑張らなくても名著の内容が頭に
多少は入ってくることではないかと思います。
 
通勤しないから聞く時間がないという人は
ウォーキングの時間を作るなど、あえて聴くための
時間を日常に設定してください。リスニングの
時間をとらないのは語学学習をする上で損です。
読解とリスニングの掛け算が重要なのです。
 
オーディブルの利用方法
 
オーディブルを利用するには、アップルストア等で
アメリカのAudibleのアプリをダウンロード。
日本語版ではないので注意してください。
月額を支払ったあと、1つのコインがもらえ、
そのコインを使って1冊買う仕組みです。
買ったオーディオブックは携帯の中にストックされ
ネット環境がないトンネルの中などでも聞けます。
 
3. 英語のリスニングができない本当の理由
 
多くの方が「ニュースについていけないのは
ネイティブが早口で喋るからだ」と思っています。
 
実際には、どんなに早くても脳は聞き取る力を
持っています。語学力があるレベルに達すると、
実は脳は全ての言葉をスローモーションで単語に
分解して理解しているのだと気付きます。
 
問題はネイティブが早口なことではありません。
自分の脳が単語を単語として認識できず、
不明な音として聞き流していることなのです。
 
そのためにも、まずはその単語やフレーズの
まとまりを認識することが重要です。
World News Caféに参加し、重要ですと
言われた単語の復習をすれば
こうしたニュースに登場するため
「あ・わかった!これだ!」と
思う瞬間が来るでしょう。
そのつみかさねで理解が理解を増すのです。
 
「わからないニュースをひたすら聞き流す」のではなく
英文記事の文脈からボキャブラリーを習得し、
それをリスニングによって「これは習った単語だ
確かに使われているんだ」と認識することで
ボキャブラリーが脳に定着していきます。
 
ボキャブラリーを増やす秘訣はとにかく
良質な文章を数多く読むことだと言われています。
そしてそのスピードを上げる助けになるのが
定期的なリスニングではないかと思います。
 
いかがでしたか?
今回は耳を使ってスピーディに、お金をかけず
語学力を上げる方法についてご紹介しました。
英文読解とリスニングは、語学力をぐんと上げる
車の両輪ではないかと思います。
本当におすすめですので、
ぜひ参考にしてみてくださいね。
 
 
World News Caféは毎週末土日にオンラインで
英文記事の読解を開催しております。
全国、海外どこからでもご参加可能です。
初回参加は500円でオブザーバー参加も可能。
ぜひお気軽にご参加ください。
 

【英文記事要約】コロナ禍で供給が追いつかないアメリカの精子バンク

2021-02-26 15:22:15 | 英文記事読解
 
 コロナ禍で子供を持ちたいと望む人が増え、世界中で精子バンクの需要が高まり、供給が追いつかなくなっている。アメリカで最大手の精子バンクの「シアトル精子バンク」によれば、6月以来、アメリカ、イギリス、オーストラリアやカナダなどでの需要が過去最大に達しているという。昨年に比べて売れ行きは20%以上になっている。というのも在宅勤務が一般的になり、自分の時間を柔軟に使えるようになり、子供を持つなら今だと思った人が増えているからだ。
 
 もともと異性カップルの不妊治療としての需要があった精子バンクだが、同性婚の合法化やあえてシングルマザーを選ぶ人が増えたことにより、精子バンクの市場はこの10年近くで成長した。現在では異性間のカップルは約2割で、女性の同性愛者の人が6割、シングルマザーを選んだ人が2割となっている。
 
 こうした需要に追いつくために、精子バンクは努力してきたとはいえ、コロナによって様子が一変。男性ドナーは精子バンクに行くことを避け、新規ドナーを見つけることは困難に。冷凍保存されている在庫があるといっても、需要に追いつくわけではない。ドナー発掘が難しくなる一方で、子供を持ちたい人は急増している。
 
 多くの人は優秀な遺伝子を欲しているため、大手の精子バンクはスタンフォード大学やハーバード大学の近くに位置し、学生たちからの提供を受けていた。彼らは数ヶ月精子バンクに通うことで約45万円ほど手にしていた。こうした金額は精子自体の値段ではなく、彼らの交通費と時間提供に応じた金額ということになっている。とはいえ、現在では彼らと出会うことも難しい。
 
 アメリカではFDAによる規制が厳しい。精子は提供されてから6ヶ月間は冷凍隔離が義務づけられる。ドナーは何度もバンクに通い、血液検査等を受ける必要がある。遺伝的に問題が生じることを防ぐため、一人のドナーが提供できる家庭は25から30程度に限られる。ドナーは匿名であり、番号によって識別される。
 
 精子バンクの問題は値段が高額なことである。1パックにつき、著名なバンクでは11万程度することもある。とはいえ、すぐに結果がでるとも限らないため、子供一人につき4〜5パックは購入するのが賢明だ。二人子供が欲しければ100万近くかかることになってしまう。
 
 そんな精子バンクを通さない解決策として数年前からSNS上の精子ドナーグループが誕生している。こうした場では多くの場合無料で精子が提供される。男性は自分の写真だけでなく、自分の子供の写真まで見せることがある。そこには提供を希望する女性たちがコメントを山ほど書いている。しかしこうしたグループは規制外であるだけに、問題が起こる可能性も否めない。こうしたグループに参加する女性は伝統的な精子バンクが高すぎて使えないという理由で参加していることが多い。
 
 従来の精子バンクから、顔の見える形のグループを求める人の中には、金額の問題だけでなく、匿名性の味気なさに嫌気がさしている人もいる。精子バンクが病院的で冷たすぎると感じる男性や、どんな人が自分の子供を育てているのか、子供がきちんとした家庭でちゃんと育っていると知って安心したい男性もいる。だから誰でも彼でも提供すればいいというわけでもない。ドナーや母親になる人たちは、自分たちの孤独についても語る。ドナーの中には家庭をもたずが、自分の遺伝子が残って欲しいと思っている人も多い。多くの女性は自らシングルの道を選んだ者である。30歳の有名なドナーは夢を持っている。「私が50代から60代になったとき、大きな食卓を囲んで、子供達を皆そこに招いて夕飯を食べながら彼らの話をききたいんだ」と。それが彼のモチベーションになっている。こうした夢物語はすでに現実となっている。
 
毎週末土日に開催している、世界を知りたい大人の英文読会
World News Caféで読解した記事の要約です。
"Sperm supply. And demand." New York Times International Edition 
 
 

お金持ちになるための、たったひとつのルールとは?

2021-02-21 21:10:59 | 英文記事読解
 お金持ちになるための唯一のルールは、資産と負債の違いを認識し、資産を買うことである。あまりにシンプルなルールなために、この深さや重要性はあまり理解されていない。金持ち父さんは言う。「お金持ちは資産を買う。貧しい人と中流階級は資産だと思い込んでいる負債を買っている。」私が9歳の時に金持ち父さんはお金持ちになる秘訣をそう教えてくれた。そんなにシンプルでわかりやすいのに、なぜ多くの人はお金持ちにならないのだろう?それは大人が物事を複雑に考えようとする傾向があるからだ。「資産というのは誰がそう言うかで決まるものではない。数字を見ることが重要だ。数字が何を語っているかを見抜く必要がある。お金持ちになりたければ、数字を読みとき、理解する必要がある」と金持ち父さんは耳にタコができるほど語っていた。「お金持ちは資産を購入し、一般人は負債を購入する」のだと。
 
 損益計算書とバランスシートの関係を見てみよう。損益計算書は収入と所得のバランスを計り、バランスシートは資産と負債のバランスを見るものだ。多くの初心者はこの関係性がわかっていない。資産というのは、自分が働く働かないにかかわらず、自分のポケットにお金を入れてくれるものである。負債は自分のポケットからお金を出していくものだ。キャッシュフローは資産・負債、収入、支出のお金の流れを意味している。もしお金持ちになりたければ、単に資産を購入し、資産形成をしていくことだ。中流か貧しい状態でいたければ、負債を買うことに人生を費やせばよい。
 
 人がお金に苦しむ原因というのは言葉と数字のファイナンシャル・リテラシーが不足しているためである。お金持ちがお金持ちになれるのは、お金に苦しんでいる人たちよりも金融リテラシーが高いからである。これは非常に重要な点である。
 
 一般的な若いカップルのライフスタイルを見てみよう。彼らは収入が上がるにつれ、夢の一軒家の購入を決意する。そこには住宅ローンとともに固定資産税がかかる。彼らは新しい車を買い、新しい家具や家に合う設備を購入する。ある日突然、彼らは自分たちが負債でいっぱいだという事実に気づいて愕然とする。彼らは今やラット・レースのわなにかかってしまったのだ。まもなく子供が生まれ、彼らはもっと働くことになる。そしてこのサイクルは繰り返される。収入が高くなるにつれ、税金も上がっていく。クレジットカードは限度額ギリギリまで使用している。彼らは借金を住宅ローンに組み込み、30年ローンを組むことにして、月々の支払額を減らす。ほっと一息。もうお金は使わないと心に決めるが、知人がセールにさそってくる。念のためクレジットカードはもっておこう。そしてこのサイクルは繰り返される。
 
 私はこうしたカップルに山のように出会ってきた。彼らの顔こそ違えど抱えている問題はいつだって同じである。彼らはこう訪ねてくる。「どうしたらもっとお金を手に入れることができるだろう?」本当に問題なのは、お金の使い方が間違っているのだと気づいていないということである。お金をもっと稼げても問題はほとんど解決しない。すぐに支出が増えるからだ。墓穴を掘っていることに気づいたのであれば、その穴を掘ることをやめるべきだ。自分を省みて、その生き方で本当によいのか問い直すべきなのだ。彼らは他人がやっているからという理由で同調し、疑問を抱くかわりに順応する。「分散投資せよ」「家こそが最大の資産」「安定した職業を選べ」「失敗を犯すな」「リスクを犯すな」本当にそうだろうか?
 
 このように家を投資だととらえ、収入の増加はより大きな家の購入や支出の増加を可能にするという考え方こそが、今日の借金まみれの社会の土台となっている。こうしたハイリスクな生活は金融教育の欠如からきている。投資信託が現在人気があるのは、それが安全だと思われているからである。彼らは分散投資が安全だと思っている。「安全に投資してリスクを避けよ。」しかし、金融の知識の欠如こそが、現在の中流階級の人が直面しているリスクをつくっているのである。彼らが安心、安全をもとめるのは彼らの金融状態がキツキツだからである。彼らの多くは収入源となる資産を持たず、唯一の収入源は給料である。彼らの生活は完全に雇用主に依存している。だから人生に一度のチャンスが巡ってきたときも、そのチャンスを手にすることができないでいる。
 
 資産と負債の違いを理解したのであれば、とにかく収入を生み出す資産を購入することに注力すべきである。そして負債と支出を減らし、もっと多くのお金を資産欄に投入できるようにすべきである。資産が増え、支出が減れば、今日仕事をやめてもそのお金で生きていくことができるようになる。豊かさとは今日働くことをやめて、何日生き残れるかという能力のことである。次の目標は余剰分を再投資し、より資産欄を育てていくことである。そして自分の支出を資産内にきちんとおさめつづけていれば、人はどんどん豊かになっていくのである。
 
※World News Caféで2月20日に読解した、Robert Kiyosaki "Rich Dad Poor Dad"のルール1を要約したものです。

ワクチンは実際どれほど有効なのか?世界のワクチン接種の最先端、イスラエル 【英文読解講座 記事要約】

2021-02-13 15:04:38 | 英文記事読解
 
世界におけるワクチン摂取を大幅にリードしている国、イスラエルは、ポジティブな結果を伝えてくれた。イスラエルの初期結果は、通常2回摂取が必要とされるワクチンを一度摂取しただけで、感染可能性が大幅に下がることを示している。それだけで入院率を数10%下げることになるという。
 
また、2回摂取した場合、臨床試験での結果以上に優れた結果となっている。イスラエルの健康維持組織のひとつ、マカビの研究部門によれば、はじめに摂取をした43万人のうち、1回目を摂取してから13日〜21日後、感染が60%も低下したという。マカビとイスラエルの厚生省によれば、2度目の摂取をした人たちは非常に高い有効性を示したそうだ。2回摂取した後、コロナウイルスに感染したのはいずれも約0.01%だった。ファイザー社は臨床試験において、95%の有効性を示していたため、これらの結果は予想されたものよりはるかに高い。とはいえ、臨床試験で必要とされる、ワクチン未摂取の人たちと比較した綿密なデータはまだ公表されていない。現在のデータは準備段階のものであり、今後はより深く統計的で、研究者のレビューを受けたデータが公表されるだろう。
 
イスラエルではすでに人口の30%以上が初回のワクチンを摂取しており、世界におけるワクチン有効性のテスト・ケースのとなっている。人口が900万近くで高度に電子化された国民皆保険システムがあり、軍の協力のもと、迅速なワクチン摂取を行っているイスラエル。その現実世界でのデータは世界の研究者や薬品業界、政治家たちにとって、臨床試験の結果を有効に補完するものとなるだろう。
 
イスラエルがこれだけのことを成し遂げたのは、ファイザーに対して初期に着実なを要求するかわりにデータの提供を約束したからでもある。また、ネタニヤフ首相は自らファイザーに交渉したという。
 
現実世界のデータは有効とはいえ、様々な変数に影響されやすい。例えば初期にワクチン摂取をした人はそもそもコロナ対策に熱心で、ソーシャル・ディスタンシングやマスク着用を普段からする傾向がある。住む場所や社会経済的地位も影響するだろう。また、病気自身も時間とともに変化する。変化が早いため、2週間前のデータはひと昔まえのデータにすぎなくなってしまう。
 
また、新鮮な状態のデータを公開することは、誤読されるという危険も伴っている。クラリトが初期データを数週間前に公表した後、多くの人は33%しか効果がないと読み違え、予測していた95%に到達しないので、ファイザーのワクチンは有効ではないと解釈してしまった。専門家と一般人が同じデータを読んでも、解釈に違いが生じるのだ。
 
イスラエルは12月20日にワクチンを開始し、すでに1回目は260万人に、両方摂取済みの人は100万人以上になる。60才以上の人やヘルス・ケアワーカー、リスクの高い人から開始され、今では40歳以上の人や高校生が摂取している。
 
こうしたワクチンへの努力にもかかわらず、イスラエルはコロナの第三波に苦しんでおり、再びロックダウンに踏み切った。変異種は感染力が高く、ワクチンの有効性も既存のものより減りそうである。まだコロナ病棟は満杯であり、余裕がでるにはまだ数週間かかるだろう。イスラエルではこれまで4000人が亡くなり、1月だけで1000人が亡くなった。それはイギリスからの変異種のせいだろうといわれている。
 
 
世界に視野を広げるオンライン英文読解 World News Caféでの読解記事
"Israel's early vaccine data offers hope" New York Times