La Terrasse

カフェ文化、パブリックライフ研究家 飯田美樹のブログ。著書に『カフェから時代は創られる』

ワクチンは実際どれほど有効なのか?世界のワクチン接種の最先端、イスラエル 【英文読解講座 記事要約】

2021-02-13 15:04:38 | 英文記事読解
 
世界におけるワクチン摂取を大幅にリードしている国、イスラエルは、ポジティブな結果を伝えてくれた。イスラエルの初期結果は、通常2回摂取が必要とされるワクチンを一度摂取しただけで、感染可能性が大幅に下がることを示している。それだけで入院率を数10%下げることになるという。
 
また、2回摂取した場合、臨床試験での結果以上に優れた結果となっている。イスラエルの健康維持組織のひとつ、マカビの研究部門によれば、はじめに摂取をした43万人のうち、1回目を摂取してから13日〜21日後、感染が60%も低下したという。マカビとイスラエルの厚生省によれば、2度目の摂取をした人たちは非常に高い有効性を示したそうだ。2回摂取した後、コロナウイルスに感染したのはいずれも約0.01%だった。ファイザー社は臨床試験において、95%の有効性を示していたため、これらの結果は予想されたものよりはるかに高い。とはいえ、臨床試験で必要とされる、ワクチン未摂取の人たちと比較した綿密なデータはまだ公表されていない。現在のデータは準備段階のものであり、今後はより深く統計的で、研究者のレビューを受けたデータが公表されるだろう。
 
イスラエルではすでに人口の30%以上が初回のワクチンを摂取しており、世界におけるワクチン有効性のテスト・ケースのとなっている。人口が900万近くで高度に電子化された国民皆保険システムがあり、軍の協力のもと、迅速なワクチン摂取を行っているイスラエル。その現実世界でのデータは世界の研究者や薬品業界、政治家たちにとって、臨床試験の結果を有効に補完するものとなるだろう。
 
イスラエルがこれだけのことを成し遂げたのは、ファイザーに対して初期に着実なを要求するかわりにデータの提供を約束したからでもある。また、ネタニヤフ首相は自らファイザーに交渉したという。
 
現実世界のデータは有効とはいえ、様々な変数に影響されやすい。例えば初期にワクチン摂取をした人はそもそもコロナ対策に熱心で、ソーシャル・ディスタンシングやマスク着用を普段からする傾向がある。住む場所や社会経済的地位も影響するだろう。また、病気自身も時間とともに変化する。変化が早いため、2週間前のデータはひと昔まえのデータにすぎなくなってしまう。
 
また、新鮮な状態のデータを公開することは、誤読されるという危険も伴っている。クラリトが初期データを数週間前に公表した後、多くの人は33%しか効果がないと読み違え、予測していた95%に到達しないので、ファイザーのワクチンは有効ではないと解釈してしまった。専門家と一般人が同じデータを読んでも、解釈に違いが生じるのだ。
 
イスラエルは12月20日にワクチンを開始し、すでに1回目は260万人に、両方摂取済みの人は100万人以上になる。60才以上の人やヘルス・ケアワーカー、リスクの高い人から開始され、今では40歳以上の人や高校生が摂取している。
 
こうしたワクチンへの努力にもかかわらず、イスラエルはコロナの第三波に苦しんでおり、再びロックダウンに踏み切った。変異種は感染力が高く、ワクチンの有効性も既存のものより減りそうである。まだコロナ病棟は満杯であり、余裕がでるにはまだ数週間かかるだろう。イスラエルではこれまで4000人が亡くなり、1月だけで1000人が亡くなった。それはイギリスからの変異種のせいだろうといわれている。
 
 
世界に視野を広げるオンライン英文読解 World News Caféでの読解記事
"Israel's early vaccine data offers hope" New York Times 

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