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パフィンの生態

映画と美術好きなパフィンの感想を記録。香港映画が一番好き!

ブレイブ・ワン

2007年10月31日 18時22分58秒 | 映画全般
2007年 ニール・ジョーダン監督、アメリカ、オーストラリア
ジョディ・フォスターが婚約者を殺されたショックから銃を入手し、
法が裁けない「犯罪者」を消していく!サスペンスとしてより
人間ドラマとして優れているという印象。

法の一線を越えたエリカ(J.フォスター)と正義感は強いが法順守の
立場の警官(テレンス・ハワード)が出会った時、エリカの復讐の
炎を消せるのか?


被害者となったエリカが外出できなくなる心理を台詞なしで表現
するフォスターの演技力には脱帽。

幸せな思い出をフラッシュバックさせ恐怖と怒りを際立たせる演出は
ベテラン監督らしく、上質なコーヒーの香りのように鎮静効果のある
画面だった。CGなしの映画は久しぶりのような気がした。


ニューヨークを愛し、町の騒音を録音して、エッセイをラジオ番組で
流す仕事をしていたエリカ、その番組を好きだった警官との出逢い。
孤独な二人は心を開いていく。二人の会話や行動の描写は大人の人間
ドラマとして評価できる。秋に鑑賞するのにお奨め☆

ただラストは納得できなかった。丁寧につくった料理なのに
「仕上げにかけたソース」に違和感を感じて後味が悪い。

復讐は魂の救済にはならず、犯罪は誰にも知られなかったとしても
犯罪なのでは?ジョディ・フォスターが制作にも参加した映画だと
いうが、「銃の保持」について考えさせる目的もあるのだろうか


ヘアスプレー

2007年10月23日 21時52分51秒 | 映画全般
共感できる物語、多彩な音楽とダンスそして絶妙な配役☆
素直に楽しんで感動するコメディ・ミュージカル♪上映中。

ダンス番組に出演するコトを夢みる高校生トレーシーは
夢だけじゃなくサイズもビッグ!そんな彼女の家族を軸にして
女友達や番組にレギュラー出演しているハンサムなリンク、
娘をひいきする意地悪な番組制作者、人種差別が残る時代に
自分たちを肯定し明日を信じるブラックたちの逸話を絡めて
テンポよく物語りは展開する。
予想外のラストが心地よい!


単なるシンデレラではなく「人種差別に抗議する主人公」を
思わず応援してしまうのはR&Bの歌やダンスが本当に魅力的
だからだろう。生命力とリズム感に溢れたダンスに体が反応して
楽しく観られた

もう一つの成功の決め手はジョン・トラボルタが演じる母親☆
大きな体で恥じらう表情、トレーシーに促され変身していく姿が
とってもキュートかつ笑わせてくれる

父役のクリストファーウォーケンは再び面白い物を売っているが、
「クリック もしも明日が選べたら」と違い寛大で大きな愛の持ち主。
トラボルタとウォーケンが自宅の庭で踊るシーンが印象的!
トラボルタの衣装と赤いバラ!!

意地悪な番組制作者役のミシェル・ファイファーも思い切りの良い演技
笑いを添える。キャットウーマンの体のしなやかさは健在。

ジャクリーヌ・ケネディの髪型に代表される’60年代のファッション、
ボルチモアの町がトレーシーたちによって良い方向に変っていく様子を
楽しめるので、ミュージカル苦手な方にもお奨め

幸せのレシピ

2007年10月02日 23時43分57秒 | 映画全般
ニューヨークが舞台。秋の鑑賞にふさわしい丁寧な映画。
頑固な女性シェフが想定外の経験をして変っていく過程を描く
人間ドラマで、ラブコメではない。地味だが微笑ましいラストが
好き☆☆☆2007年アメリカ、”NO RESERVATION"

『マーサの幸せレシピ』のリメイク。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズが競争社会でのし上がった
”仕事が全てのシェフ”を演じている。

シェフは過酷な仕事だと想像できるので、突然姉の子供を育てなく
てはならなくなったヒロインの混乱ぶり、店が臨時に雇った男性への
競争心など理解できるが、”自分にも他人にも厳しすぎる存在”
って怖いわ~。そうならないように気をつけよっ!

臨時シェフとして雇われた陽気な男をアーロン・エッカートが
好演。気弱だけど優しい男性役がお似合い♪
『ブラック・ダリア』では刑事が似合っていたので演技派だと納得。
子役のアビゲイルちゃんも上手い!
演技派三人の演技を楽しめる。

手堅く作ったしっとりした作品。せっかくシェフが二人も登場
するのだから、料理をゆっくり見たかったけど鑑賞後には
トマトのパスタとパンケーキが食べたくなる

原題、”NO RESERVATIONS”の意味がわかるラストが微笑ましい。
予約なし=想定外、遠慮や躊躇なし=自然体の生き方
厨房シーンとエンドロールで流れるイタリア語の’S WONDERFULが
効果的だった

レストレス~中天(韓国映画)

2007年09月12日 00時38分35秒 | 映画全般
韓国映画、シネマート六本木にて鑑賞。「デイジー」(香港のアン
ドリュー・ラウ監督)で切ない殺し屋を演じたチョン・ウソン主演の
ファンタジー・アクション作品。ワダエミさんによる衣装とウソンの
長髪剣士姿に満足。「どろろ」の韓国版


幽霊を見る力をもっていたため愛する人を失い、退魔師になった男
(チョン・ウソン)が現世と彼岸の中間世界(中天)で彼女そっくりの
天人ソフィ(キム・テヒ)の危機を救い、人間世界を滅ぼそうと画策する
かつての仲間と対決するという物語

魔物と闘うのは「孔雀王」「どろろ」と似ており、”呪文が刻まれた
白樺剣が武器”っていうのも好み、衣装も美術も丁寧な仕事です。

ただ、ウソンがテヒを守るため飛んでくる矢を剣でかわすシーンは
「LOVERS」の金城武、悪の親玉を倒すシーンは「英雄」の
ジェット・リーのアクションに酷似しているのが気になった。

中国で撮影しているがアクションの切れ味は中国映画に及ばないため
誰が闘っているか見分けがつかないほど、アクションシーンは
カメラぶれまくり~~「楽園の瑕」(ウォン・カーウァイ監督)の
場合、詩的な映像の中に動を挿入した武侠ものだったが迫力があった。

韓国映画はそのような映画の伝統がないため(たぶん)漫画を
映画化したようなファンタジーになっていると感じた。

不思議な中天の美術は「無極 PROMISE」に似ており、魔物の造形は
「ロード/オブザリング」に似ており…たくさん作品を見られるコトは
有り難いが、ここ5年ほどワイヤーVFXアクション映画が続いたせいか、
新鮮味はなかった。

とはいえ、長髪でワダエミさんの衣装を身にまとったチョン・ウソンが
白い衣装も初々しいキム・テヒを守る姿はかっこいい!
ワダエミさんの色彩や衣装の形へのコダワリは健在。
衣装を観るだけでも1800円の価値があった。

「ワダエミ衣装世界展」で買った端切れでコサージュを作ったが
その紫にあづき色を混ぜた布らしい着物をチョン・ウソンが着ていたのが
嬉しかった

瞳が澄んでおり、優しい雰囲気を漂わしながら、愛する人を守るためなら
命をかける純粋さを無理なく表現できるチョン・ウソンは
韓国俳優の中で一番好き
第一印象で惹かれた人は瞳に魅力があるのね~~

シッコ(Sicko)

2007年09月01日 00時11分35秒 | 映画全般
マイケル・ムーア監督最新作は個人が民間保険に加入しなければな
らないアメリカの弱点を浮彫りにする映画。将来に不安を感じる方
観てください!

大国アメリカに国民健康保険に該当する制度がないことは不思議だ
ったが、ここまで悲惨な状態になっているとすれば驚きだ。

保険未加入者が治療を受けられない例だけではなく、真面目に保険
料を払っていた加入者であっても「支払い拒否する仕組み」がある
ことを被害者と関係者の証言によって暴いていく。

隣国カナダ、UK、フランスでの突撃取材を通じて「医療費負担ゼ
ロ」を可能にした歴史や国民性を示唆すると同時に、なぜアメリカ
政府は「民間企業が儲かる仕組み」を継続させてきたか、政治にメ
スを入れる。過去のニュース映像や皮肉なシーンが挿入されていて
飽きずに観られた。音楽の選曲も国別になっていて楽しい♪

保険制度に絞って描いているため鵜呑みにはできないが、
政府が民間企業に医療や福祉を委託する行為が国民にもたらすリスクは
理解できた。対岸の火事と思えない映画だった。


ラッシュアワー3

2007年08月29日 00時22分15秒 | 映画全般
ブラッド・ラトナー監督、2007年、アメリカ、ジャッキー・チ
ェンとクリス・タッカーの凸凹刑事コンビ3作め。舞台はパリ、
敵は真田広之と工藤夕貴と思いきり日本人狙い??
長髪の真田さんが日本刀でジャッキーと闘うシーンが見所☆☆☆
                              
前回の「ラッシュアワー2」でチャン・ツイイーとジャッキーが頑張っていた
アクション部分を今回は真田さんと工藤さんとジャッキー三人が担当している
点に少し無理が(年齢的に・・)

昔はアクション俳優だった真田さんもジャッキーも今回は走ったり、
剣を交えたりする程度ですし、工藤さんはマギーQほど強くない。
アクション&コメディと呼ぶにはアクションが少ないという印象。

笑いの担当クリス・タッカーの早口は健在だが、
あまり笑えなかったのは人種ネタが多かったせい?

前回のチャン・ツイイーと香港の工事現場(竹の足場)で闘う
シーンのような楽しいアクションが欲しかったかな

クライマックス「”兄弟”ケンジ(真田さん)との日本刀対決
(なぜ日本刀)→エッフェル塔中層部での闘い→○○」と
お約束の展開とはいえ、かなり大変だっただろうな~。
皆、頑張りました

長髪の真田さんの殺陣は見応えあり
もっと出番が欲しかった。演技力ではすでに定評ある真田さん、
今回の見所(聞き所)は英語の上手さ。俳優の中で一番きれいな
英語を話していた。声がいいしネ、やっぱり素敵

一番可笑しかったのはラストの○○の後、
意外な人が活躍したコト
座布団、一枚!

呪怨 パンデミック

2007年08月24日 22時07分36秒 | 映画全般
2007年アメリカ、清水崇監督、「The Grudge 2」
日本に留学していた少女が”呪われた家”に友達と行ったために
不幸な少女のタタリがアメリカにも及ぶ!

製作者の一人(日本人)が「輪廻」「奇談」に係わった方だった。
どちらも落ち着いた画面と引き込まれる描き方が印象に残った。
日本版の「呪怨」「呪怨2」と似ているかは比較できません。
未見なので。

この映画は日本とアメリカのアパートの両方で惨劇が起きる。
幽霊屋敷を歩くような感覚で登場人物の視線を追うと
「出た~~」。静かにゾンビや怪現象を目撃する映画。

怖くなるから映像を忘れるまで感想を書けなかった。血は出ないが
一人ずつ消えていく過程とその瞬間が怖い。ホラー好きな人には
物足りないかもしれないが・・・

呪いのビデオのような特定の原因がなく、”呪われた家”に入った人が呪われ、
何の関係もない隣人まで変になっていくのが可哀想だった。

エディソン・チャンがジャーナリストの役で登場していたのが楽しかった!
「インファナル・アフェア」でアンディ・ラウの若い時を演じた俳優。

カナダ国籍だが香港映画、日本映画に出演している。この映画をきっかけにハリウッド進出を狙うのだろうか?
「ジェネックス・コップ 2」でニコラス・ツェーの代わりに
新人類警官を演じたのが2000年。上手になったと思う

オーシャンズ13

2007年08月15日 00時50分15秒 | 映画全般
スティーヴン・ソダーバーグ監督、2007年、
シリーズ3作目だが初めて鑑賞。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、
マット・デイモン、アンディ・ガルシア、アル・パチーノ・・・
主役級の俳優が揃って登場する画面を観るだけでも楽しい☆☆☆

初めてなので、前半のテンポがゆっくりで俳優の得意技と敵味方を
区別する余裕があって助かった。
後半は予想外の出来事にメンバーが持ち味を発揮して
作戦を成功させる様子が素直に楽しめた♪


ソダーバーグ監督は社会派映画という印象があったため、
娯楽大作をどう作っているのか興味があったが、
メキシコの工場に行ったメンバーが賃金アップの運動を起したり、
資金を提供したカジノ王(アンディ)の獲得金を社会に還元させたり・・
オーシャンズのメンバーが単なる悪者ではないと思わせる構成が面白い。

カジノはセットだというから驚く!
セットだからメンバーが目配せしているシーンや
ブラット・ピットがスロット・マシーンを操作しているシーンを
丁寧に撮影できたのだろう。
砂漠の中にあるラスベガス。その歴史をジョージ・クルーニーと
ブラット・ピットが語るシーンやマット・デイモンが電話で話していた
父親の正体がわかる屋上シーンが好き

消えた天使

2007年08月08日 23時27分13秒 | 映画全般
アンドリュー・ラウ監督2006年アメリカ、The Flock
サイコ・スリラーに分類するほど怖くない。
犯罪の深淵を見つめた結果、常軌を逸脱した監視官と
後任女性が女子大生誘拐事件に迫る様子を監督らしい
緊張感で描いたドラマ。リチャード・ギアとクレア・デインズの
義務感が痛々しい。監督らしく映像が凝っている☆☆☆

「インファナル・アフェア」の後、「傷だらけの男たち」の前に
撮影された映画なので、金城武とリチャード・ギアの仕草が似ていた
り、女子大生の誘拐シーンがセピアで画面に被ったり・・狭い空間
での照明の使い方、フラッシュバックなど「傷だらけの男たち」で
使っている手法に気づくと面白い♪

リチャード・ギア扮する監視官は、長年の経験から「一度性犯罪に
手をそめた人は手口を変えて同じ犯罪を犯す可能性がある」と思い
込んでいる。社会に復帰した元性犯罪者を執拗に監視し続ける。

ゆき過ぎた正義感は彼自身の精神を蝕み、暴力的にさせていた。
後任の女性クレア・デインズさえ呆れるような問題行動が原因で
警察は彼の提供する情報を捜査に活かそうとしない。

そんな中起きた女子大生誘拐事件を調べるうちに、
元性犯罪者たちが「群れ」をなしている事に気づき・・
*****************

猟奇的な殺人事件の共犯者や司法取引によって釈放された性犯罪者が
何人か登場し、二人に挑戦するかのように獲物に襲いかかる。
その手口はかなり残酷!
アヴリル・ラヴィーンの最期は悲惨だが、血が飛び散るシーンが
ないので怖がりの私が観ても大丈夫だった(ほっ)

早く見つけないと大変!と思いながら、二人の無茶な行動を見守る
無茶という理由は「違法行為」をしながら事件を追うからだ。
監視官は銃の所持や家宅捜査が許可される職業ではないのに、
「危ない仕事」を命がけでやるという設定に無理がある。
アメリカ本国で上映するとき、受刑者団体からクレームがつくのでは?

そんな無謀な二人が犯人を追い、少女を救い出そうとするまでの
心境、苦悩は丁寧に描けている。特にクレア・デインズの生い立ちを
想うと、彼女が犯罪の現場を知って、監視官の仕事を続けようと
決意するシーンは印象的

スバル座は八割埋まっていたが、リチャード・ギアを見にきたのだ
ろうか?彼がウイスキーを飲むシーンで金城武を思い出した

アンドリュー・ラウ監督は画面に凝るあまり、肝心の筋書きについて
いけないコトが多い。今回も犯罪者の役割が難しいがなんとか理解できた。

誰かに誉められなくても、何かを自分がしなくてはと責任を感じたなら
地道に仕事する事が大事だと訴える映画だと感じた
暗いけれど嫌いではない

リトル・チルドレン

2007年08月04日 18時21分53秒 | 映画全般
トッド・フィールド監督、2006年アメリカ、トム・ペロッタのベストセラー小説を本人の脚色により映画化。

大人になりきれない男女の群像劇。全ての登場人物に弱さがあり、不倫や受刑者イジメを扱っていながら笑いを散りばめている。
ラスト意外な脇役に焦点があてられ胸を打たれた☆☆☆☆


郊外に住むサラ(ケイト・ウィンスレット)は幼い娘を公園に連れていき
母親たちを観察している醒めた主婦。
夫がエロサイトにハマっている事を知り、公園で知り合った子連れのブラッドと
市民プールで子供と共に午後を共有するようになる。

そんな中、街では小児犯罪受刑者ロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)が釈放され話題になっていた。ロニーを糾弾するビラを町中に貼る元警官ラリー。

ブラッドの妻(ジョニファー・コネリー)は夫に司法試験受験を勧め、
家計を支える才色兼備の女性。
ラリーに誘われたブラッドがアメフトの楽しさを思い出し、
サラとの「お遊び」に熱中する一方で・・・。
****************

自分の欲求を最優先するサラ、ブラッドへの客観的な視線。
母親が強大すぎて「ナイス・ボーイ」以上になれないロニーと、
過失のトラウマから立ち直れないラリーへの温かい視線。
映画は子供と大人の境界が曖昧になっている現代社会を描き、
「誰かといる幸せ」に気づかせる展開になっている。

冒険した後で、娘と向き合う気持ちになれたサラが主役になっているが、
実際の主役は、過去に囚われて自分らしく生きられないでいる二人だと感じた。
「母親を失って初めて自立を迫られるロニーと彼を不満のはけ口にしたラリー」
二人が奇妙な因縁で交わるラストの映像と「失敗しても、やり直せる」という
ナレーションが印象に残る

誰もが何か欠落しているように見える登場人物たちだが、
監督は即座に否定してはいない。冒険してもよい。
失敗は時には出発点となる。

娯楽映画ではないが、笑えるシーンを多くして、不安定な人物の
心の動きを体感させようという試みが面白かった☆

冒頭に整然とならんだ人形に不気味さを感じたが、その人形(幼児性)を
壊し、自分を罰するロニーと彼に謝罪し、命を救おうとするラリーの姿が
最も心に残る
脇役が光るように演出したとしたら凄い