こんな客来ました!! ～その5～

『俺の事、知ってたりする?』



風俗と言う場は、実に様々な業界人が足を踏み入れるもんなんですねぇ。
それこそ、明日は猟奇殺人犯のお相手をするかも。だし。

まぁ余程の事が無い限り、こっちは気付きませんが、
本日は、『あっ!この人は●●や!!』となる、お話。



この場合、
お客様は芸能人、特にお笑い業界の男性が多いんですね。
いえ、私の場合は、です。



で、私。
お笑いが好きなんですよ。やっぱり関西人だけあって。
だから、比較的マニアックな部類まで見知ってはいるんですよ、はい。

故に、来店される芸人さんは、大概分かります。

加えて、
ウチは一般的なソープランドより少々値が張っちゃう方なので、
少々懐が暖かい男性しか現れないのです。少々懐が暖かい男性と言う事は、
少々有名である、と言う事です。

これで『あっ!この人は●●や!!』率は、大幅up!、ってな訳です。



で、年始辺りに。
いらっしゃったんですよ。
仮に、"山田さん"としましょうか。






テレビでレギュラーも何本か持っている方でしてね。
発作的に認知したのですが、そこは無論黙殺。通常のご挨拶をしたんです。



『愛と申します♪宜しくお願い致します!』

『あ、愛ちゃんは、アレなんかな?』

『はい?』

『俺の事、知ってたりする?』

あらら。
ご自分で仰るなんて、珍しい。しかも序盤も序盤で。

『はい。間違っていましたら、申し訳ありませんが、
　●●●の山田様、ですよね?』

『あぁ、うん。そうそう。あ、タメ口でいいよ』

許可が下りたので、敬語を封じます。
此処で切り替えておかないと、後にムード崩壊を招くので。

『いやぁ、でも。よく分かったね、俺が山田だって』

知ってると知って、機嫌良さそう♪
結構、一か八かの回答だったんですけどね。人によっちゃ気を悪くしちゃうからね。

『そりゃあ、だって有名人やもんね!』

『あれ?愛ちゃん、関西出身なの?』

『あ、ごめんなさい。つい、和んじゃって』

いえ、演出です。

『いや、全然!ってか、こっちも関西弁の方が何か、逆に慣れてるし』

『あ、良かったぁ…。流石は、お笑い芸人さんやね!』



…と、まぁ。
なかなか、好印象の山田さん。

卑下目線かなぁ、と勝手に推測していたのですが、
杞憂に終わって、まずは一安心。



でもね、山田さん。
プレイは凄かったの。






ご要望でバックに移った時に、



『あぁ!メグミっ!!』


『あぁ!ユカっ!!』


『あぁ!チサトっ!!』


『あぁ!アオイっ!!』



と、女性の名を連発。

何?新ネタ?
笑った方がイイの?

…いかん。この人は至って真剣よ。損ねちゃ、ダメ。



そして恐々と、喘いでみる私。



『あぁ!ユリっ!!』


『あっ…イイ!』


『あぁ!リョウコっ!!』


『あっ…ダメ!』


『あぁ!ユウナっ!!』


『あっ…もっと!』


『あぁ!フミエっ!!』


『あっ…壊れちゃう!』



夢中なのか、絶頂が近いのか、あるいは、私の合いの手が効いたのか、
次第に突き方が尋常で無くなってくる。声も荒げてくる。



『あぁ!ナナっ!!』


『あっ…やめて!』


『あぁ!サトエっ!!』


『あっ…熱い!』


『あぁ!ユウっ!!』


『あっ…感じちゃう!』


『あぁ!ナツミっ!!』


『あっ…あん!』



うぉーー痛いよぉーーーぅ!
商売道具がぁーーーーぅ!!



でも、5分以上経過し。
やっと射精感が込み上げてたようで、



『…んぁっ!で、で、出る!!』

『あっ…来て!ねぇ、来て!』


『…あぁっ!あ、愛っ!!!』



と、最後は私の名で果てて下さいました。






『あぁ…、良かったぁ。ごめんね、変なのに付き合ってもらって…』

『うんん!気にしないで。こんな言い方は何だけど、私は楽しかったよ?』

『そう?』

『愛は嘘が嫌いです!』

『はは!良かった。ってかね、逐一応えてくれたでしょ?
　それが気持ち良くてさぁ…。何か今日は早かったんだけど、
　いつもはもっと、大丈夫だからね?』

あ、なんだ。プライド、高かったのね。
だから最初に、『俺の事、知ってたりする?』なんて訊いたのかぁ。
その割には見下ろす態度じゃないのね。山田さん、…ええ男やん?



ところで、多々叫んでいた名。
あちら全て、山田さんが今狙っている女優だったらしいのです。

う～む…。
明らかに日頃から自慰ネタにしてる感が…。
芸能界も、オカズにしたり、されたり、大変なのね。


時間が迫り、満面の笑みでお帰りになった山田さん。

素敵な女優さんと、フライデーされちゃう事を、心底お祈りしています。