カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

リボンの騎士

2021-10-03 14:00:00 | スポーツその他
カレーです。

今年も気づけばすでに秋。
未だに続く感染症禍の混乱の中で、
3/4があっという間に過ぎていきました。

そしてその感染症禍に生まれたプロレス団体「チョコレートプロレス(チョコプロ)」も、
旗揚げから1年半を経過し、この10/3にシーズン9を終了。
これまで概ね週2ペース、162大会を実施しています。

団体代表であるさくらえみ選手がこの8月、
自身の活動拠点を米国に移すことを決断して移住。
それに伴い、今夏復帰を果たしたDDTプロレス所属かつ、
プロレスリング我闘雲舞“現場監督”である高梨将弘選手による
プロデュース体制へと移行。

さくらさん体制での“拡張”路線から、
選手の経験や成長を促す“育成”路線へと
なんとなく変化の伺えたシーズン9を新鮮に思い、
その狙い通り…なのかは正確にはわからないのですが、
選手たちの様々な姿が見れたように思います。

さて、その中でシーズン最後。
特に印象に残ったのが…
目に涙を溜めながら、真っ直ぐに立って前を向く、
小石川チエ選手の姿でした。



…ネット・プロレス大賞2020の新人賞2位にすでに投票してしまい、
しかもその時、仕事を退職されたことに焦点の当たる書き方だったので、
別の角度から書こうと、唐突に思い至りました。



小石川チエ選手はプロレスリング我闘雲舞所属、静岡県出身の23歳。

2019年7月に団体の絶対的エースだった里歩選手の退団に、
「誰でもよかったんです」
と、さくらえみ選手が自身の設立運営していたプロレスサークル“誰でも女子プロレス”に
通っていたメンバーに片っ端から声をかけ、
結果、翌月2019年8月にデビューを果たした6人の新人たち、
現在の我闘雲舞4th Generationの一人。

デビューに伴い、顔立ちが「じゃりン子チエ」の主人公に似ていること、
そして我闘雲舞をもう一度後楽園に、という想いから、
後楽園ホール所在地からとって、“小石川チエ”という
リングネームとなったとのことです。

管理栄養士の資格を持ち、忙しい仕事の傍らで、
デビュー当初は中々市ヶ谷での試合の機会に恵まれていませんでした。
趙雲子龍選手から、仕事を続けながらプロレスとどう向き合うか、
という姿勢について助言が与えられていた様子を
印象深く覚えています。

2020年の1月には初めての他団体参戦を経験。
ダレジョのコーチでもある駿河メイ選手とのいわば師弟タッグ、
現在の“Warm Caterpillars”としての始動戦で、
紺乃美鶴&水森由菜両選手の“モン鶴”と対戦。
長い手足をダイナミックに振り回し、
先輩3人に囲まれても体力負けせずに戦いきったことが
とても印象深く、やらしい話、
“売れ(っ子になれ)る”という…
我ながら大変俗っぽい感想を持ちました。



2020年3月、世界が、日本が、
新型コロナウイルス感染拡大の混乱に覆われる中、
突如として立ち上がったチョコプロ。

自団体の新たな取り組みの中、
小石川チエ選手はしかし、おそらくは様々な葛藤の中、
コメント欄で、その様子を見守ってきました。

時折、紺乃美鶴選手主催の“Beer
Time”で
奇想天外な天才的動画を送りつけるなど
存在感を発揮しながらも
チョコプロへの登場は、2020年9月。
直近の試合から実に半年経過して、
同期である第4世代の中でも最後の登場となりました。

でも、その初登場は実に、鮮烈。


小石川チエ選手はその半年間溜めに溜めたであろう思いを、
リングで溢れんばかりに爆発させました。

もちろん相手は百戦錬磨、さくらえみ&駿河メイの“Apple Queens”。

…キャリア3年で“百戦錬磨”の形容に違和感のない気のする
駿河メイ選手は正直なんかちょっとアレですが…

とにかく、プロレスというフィールドの上で、
特に存在感の上でこの二人を上回るのは
それはそれは至難の業だと思います。

しかし。

ブランクにも、経験の差にも諦めることなく、
持てる力で懸命に食らいつく小石川チエ選手の姿は…
とても、見ている側に感情を伝える力に満ちていて、
訴えかけるものがありました。

そしてそれは、言葉を超えて、海の向こうにも伝わるほどに。



試合に敗れ、その悔しさも噛み締めながら、
リングに残った小石川チエ選手は…
両の足を揃え、背筋を伸ばして立つと、
力強く感謝を叫び、深々と頭を下げました。
謝罪ではなく、反省でもなく、全力の“礼”として。

このとき。

また、このリングに一人、主人公が生まれたように見えました。








…という感想を書かずに、
いきなり仕事辞めたことだけをキャッチーに書いたものだから、
それはそれは私の後悔は結構なものがありまして。

10/3、3WAYでのタイトルマッチに敗れ、
最後、対戦相手で、同居人で、コーチである駿河メイ選手に、
深々と頭を下げた場面に1年前の光景が重なり、
思い出して一気に書いてみました。
反省も含めて。



その後の小石川チエ選手はこれまでの勤めていた職場を離れ、
駿河メイ選手と寮に同居、このチョコプロのレギュラーとして試合を重ね、
タイトルマッチにも二度挑戦。

HEAT-UPから始まった他団体も、
みちのくプロレス、Color's、ガンバレ☆女子プロレスetcetc
11月には真琴選手のデビュー15周年興行への参戦も控えており、
活躍の場を様々なリングに広げ始めています。



本年8月末にデビュー2周年を迎えた我闘雲舞第4世代。

異例の6人同時デビューにも関わらず、
活躍の場を様々にしながらも、
6人ともがまずまだプロレスラーであり続けてることがまず凄い。

そして、それぞれがそれぞれにこの1年、
様々な形で成長を示し続けてるのもまた、凄い。

さて。

2周年を前に、駿河メイ選手からの、
“6選手をそれぞれ一言で表すなら”というお題に、
代表・さくらえみ選手は、小石川チエ選手について
海の向こうからこのように評しました。

「エースの器」

その大きな器は少しずつ、でも着実に…
…とりわけ、この1年、
満たされ続けている。

その器が充ち充ちる時が楽しみです。



緊急事態宣言が解除となった今日このごろですが、
世界は確実に前に進んでいる、という気持ちはありつつも、
この1年の有様をみれば明らかなように、
もうすぐに“元通り”が訪れる状況ではないように思います。

それでも、この世界の状況であっても持続可能な(ある意味SDGsの概念に則してる)チョコプロは、
まだまだ続く…

というか、
続いてくれないと心底困ります。

早くも10月13日から始まるシーズン10。

様々な主人公たちが様々に立ち上げる、
立ち上がる物語を、
今から心待ちにしています。




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