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【天長節】平成三十年十二月二十三日(日)政治以前に大事な問題――安倍首相ではなく安倍晋三氏に就いての大事

2018-12-23 07:07:07 | この世を概觀する
 政治以前に大事な問題――安倍首相ではなく安倍晋三氏に就いての大事

 私は最早、ニューズと云へば、海外の英語のものしか讀まなくなつて了つたが、それでも日本で生活してゐれば、日本のテレヴィを視るばあひもある。そして、日本のマスコミは、頻繁に輿論調査なるものを實施して、倦る事がないが、殊にNHKに關しては、安倍首相に就いての輿論調査は酷いもので、之は安倍晋三氏に對する人格攻撃、人格否定の領域に達して久しい。成程、政治家や政黨の政策に就いて論ふのは良い。が、NHKが輿論調査の際、毎囘、發表してゐる安倍首相を支持しない理由としての「人柄が信頼出來ない」とは、一體どう云ふ事か。よく就職、轉職の面接の際にも、年齡、學歴、經歴、資格抔よりも「人柄を重視します」と云ふ事が云はれるが、長くても所詮三十分程度の面接で、應募者の人柄が分る筈がない。人柄と云ふのは、或程度の短くはない期間、或程度の近しい距離を持つての關係を有さない限り、分らないものだ。安倍首相の、と云ふよりも、安倍晋三氏一個人の人柄に就いても、或程度の短くはない期間、或程度の個人的な近距離を有してこそ、初めて分るもので、輿論調査の對象となる誰かさんに分る筈がない。毎囘、「人柄が信頼出來ない」と云ふ理由が何%か上がると云ふ事は、NHKが長年、意圖してこの項目を輿論調査の項目のうちに設けてゐると云ふ事で、NHKは、政治とは全く關係ない點から、政治家安倍首相を批判するのではなく、一個人としての安倍晋三氏の人格を攻撃し、否定し續けてゐるのだ。「私は最早、ニューズと云へば、海外の英語のものしか讀まなくなつて了つた」と書いたが、所謂政治的に保守的と云はれる新聞、雜誌さへも、最近は讀まない(ミニコミ紙の「時事評論石川」は除く)ので、最近の知識人がどのやうに政治(家)を論つてゐるのか知らないが、恐らく、政治的保守派と自稱してゐる手合も、NHKの安倍首相に對する人格攻撃、否定に就いては論じてゐないのではないか。目先の政策に就いて云々する許りで、道義的な個人の大事に就いては、之を誰も問題にしてゐないのではないか。之こそが、私が日本語のニューズを殆ど讀まなくなつた理由の一つで、左記した問題に就いては「時事評論石川」でさへ論じてゐない。「私が考へたいのは法律以前の社會風土である」(※一)と云ふ書き手も、この事に言及してゐない。安倍首相の政治に關する評價以前に、「政治に先行する領域」として、個人の道徳的な問題が論じられるべきである。それが漱石が云つたやうな、眞の個人主義と云ふものであり、近代と云ふ事である。

 (※一)前田嘉則著「『Ghosn has gone』?やつちまつた日産」『時事評論石川 平成30年12月20日號』所收
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