わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

高齢者の入居問題と空き家対策

2017-06-13 07:40:03 | 司法書士
昨日の読売新聞に「高齢者に空き家紹介、国が支援・・・情報や家賃補助」とありました。

高齢者が賃貸物件の入居を申し込んでも、孤独死や家賃滞納のリスクが高いなどの理由から入居を断られることが大きな問題となっています。
一方、空き家の数も年々増加し、平成25年の調査では約820万戸が空き家になっていると推計されています。

この高齢者の入居問題と空き家問題の両方に取り組んだのが今回の国の支援策になります。
入居者への家賃補助や万一の家賃滞納の際も債務保証の補助もあるそうです。
また、家屋の改修にも最大200万円の補助がされるとのこと。

どちらの解決策ともなり、スキームが有効に機能することが期待されます。
とはいえ、本支援策では20年度までに17.5万戸の登録目標とされています。
今般、空き家が820万戸、今後10年間に予想される単身高齢者世帯の増加は100万世帯です。
それを考えるとこれだけでは全く足りていないことがわかります。

平成26年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、国も空き家対策に取り組んでいます。

空き家は上記のとおり約820万戸とされていますが、その内訳は次のとおりです。
賃貸用429万戸・売却用31万戸・二次的住宅41万戸・その他318万戸。
二次的住宅とは別荘などです。
つまり、空き家820万戸のうち、いわゆる人が住んでいないという意味での「空き家」はその他の318万戸と言えます。

環境の悪化や治安問題などから早急に手を打たなければならないのは318万戸の空き家です。
特別措置法の空き家対策もその点を狙っているものと思われます。

その点、今回の支援策は、主に429万戸の賃貸用の支援策にはなりえても、318万戸の解決策にはなりにくいと考えられます。
なぜなら、そもそも賃貸用と考えられていない物件を今回の支援策に基づいて用途を変更するとは考えにくいためです。

また、空き家の増加を抑制するにも力不足だと考えれれます。
なぜなら、空き家の増加数は、賃貸用よりその他のほうが増加数は多いからです。
つまり、空き家の全体数を減らすのであれば、その他の増加数を抑制・抑止する方策を打ち立てていく必要があります。

高齢者の入居問題もとても大きな問題です。
その点、今回の支援策はとても意義のある取り組みであると思います。

とはいえ、本支援策では高齢者の増加数にも追いつかず、空き家対策の根本的な解決策になっているわけではありません。
我々も含めて、高齢者入居問題・空き家問題にはもっともっと積極的に取り組んでいく必要性を感じました。