早稲田大学山岳部 活動記録(2014年度~)

早稲田大学山岳部です。2014年度より活動報告をこちらで行います。

立山、雑穀谷でのクライミング

2015-08-28 19:43:55 | 2015年度 個人山行
立山、雑穀谷でのクライミング

メンバー 鈴木雄大 福田倫史


劔岳での8日間の定着合宿を終えた私達は、上市で入院中の稲葉さんと面会をし、元気そうな姿を確認し終え、一旦富山へもどり、変わり果てた姿の新ぼてやんに入店した。着席してから60分後に出てくるお好み焼きは相変わらずの美味さだった。
そして私と福田はこの翌日、立山の雑穀谷でのクライミングに臨む予定だったが、富山では厳しい試練が待っていた。駅周辺は騒がしいので、帰京組と別れた後、観光マップを頼りに小さな公園でワンビバークをする事に決め、屋根付きアスレチックのビバーク適地を見つける。ここまでオンサイト。
しかし、ライトアンドファストスタイルを実践していた私達の防寒対策は夏の富山を完全に甘くみていた。福田は自分が履いている膝上30センチの陸上用パンツを、私は、いつもリラックスできるユニクロ製のペラペラなステテコをこの日ばかりは恨んだ。寝袋さえあれば快適な睡眠が可能なのは間違いない最高のビバーク地だったが、寒さに何度も起こされる最悪のビバークとなってしまった。

だが次の日、前日の不幸を全て払拭するかのような幸運が訪れた。
私達は立山駅から雑穀まで、徒歩75分の道のりを歩かなければならなかったのだが、親指を立てながら右手を挙げること、わずか15秒、1台の車が急ブレーキで止まった。作業服を着た運転手は「どこ行くんちゃ~?」と富山弁で言っていた。そして行き先を告げると、わざわざ遠回りをして岩場の目の前まで運んでくれた。厄介なアプローチが最高の体験に変わり、私達は歓喜した。

5.9の「おまけ」というルートでアップを済ませ、雑穀の看板4つ星ルートである「ジョーズ」5.10+にトライする。劔岳定着後で体が思うように動かないのに加え、滝のように吹き出る汗でヌメりがひどい。結局、終了点まで3テンもしてしまった。下部の綺麗なクラック、少しハングしたガバを辿って最後にワイドクラックをこなす、最高に面白いルートだ。見た目も素晴らしい。





次にもう一つの看板ルート、「スーパークラック」5.10aに取り付いた。核心部はかなりハングしており、捨てビナが掛かっていたことからも難しさが予想できた。下部もバランシーで難しい。


ワイドクラックに殆ど取り付いた事のない私達にとっては5.10aでは辛すぎる課題であった。最終的には、レイバック気味に核心を乗り越すムーブが起こせず敗退した。久しぶりにフリークライミングに取り組んだ私の腕はすでにパンプ気味だった。



その後は飛び交うスズメ蜂に怯えながらチャック、不二越、5.10b程度の無名ルート、5.9のルート数本などを登り、4時頃、ジョーズ再トライ中に雨が降って来たので、帰る事にした。


帰りも少し時間はかかったものの、ヒッチハイクに成功し、立山駅までの退屈な歩きをせずに済んだ。
思わぬ所で富山県民の温かさに触れる、良いクライミングとなった。次に訪れるときには2つの四つ星ルートを片付けたい。
雑穀へ行くときはスズメバチに気を付けて。また、唯一の水源のおたまじゃくし入りの川にも要注意。これが原因だったかは分からないが、帰路で腹痛と闘う羽目になってしまった。しかし、さすがにLIVE SIMPLYを実践している福田は健康そのもの。人によるのかも。

その後、お世話になっているモントケンにご挨拶をし、解散。福田は明日からそのまま夏山研修だ。ハードだなぁ。