※グラフは環境省 > 環境経済情報ポータルサイト 「各国の一般廃棄物処分状況 [Excel 89KB]」より作成
(注意書【1】別途記載)
廃棄物処理に関して、アメリカやドイツなどに比べて日本が焼却大国であるということは間違いない事実。そしてこの先も、ゼロ・ウェイストや脱焼却への道のりは遠いのが日本の現状。今後もますます埋立処分場の延命策として、いろんなものが燃やされていくことだろう~
福島原発事故以来、放射性物質を含む廃棄物の焼却の問題からか、やたら日本の焼却大国の実態がネット上でつぶやかれている。その中で、いまだに「世界のゴミ焼却炉の約70%以上が日本にある。約1700基が日本。アメリカでさえ約150基。ドイツなどは50基程度しかない」という数字が一人歩きしている。7~8年前くらいから同じ言い方が続いているので、(環境省発表の「ごみ焼却施設整備状況」の2000年度が1,715施設となっているので)きっと最初に引用した人はその数字の根拠や年度も入れていたのであろうが~と、ついついそんなつまらないことが気になってしまう。
今や、日本の一般廃棄物の焼却施設数は、市町村合併や国の広域処理推進策などで、2009年度は1,243施設となっている。(もっとも炉数(基数)にするとさらに増えるのではあるが)数字は大きく変わってはいるが、焼却施設の数は減れども総焼却量が減ったわけでもないし、いわんとしていることや、実態はまったくその通りと思うことが多いので、なんら問題はないのではあるが。おもしろいデータが環境省のサイトにあったのでグラフにしてみた。
追記(2016年9月14日) 「世界の一般廃棄物処分状況」は2003年~2006年と各国とも古いデータである。
OECD加盟34ヵ国の2013年の廃棄物の処理をグラフにしたものは ↓ ↓
■ OECD加盟34ヵ国、一般廃棄物(都市ごみ)の処理とリサイクル率(2013年)2016年09月13日
http://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/index.html
■環境省 廃棄物処理技術情報
http://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/index.html
(エクセルデータも多いのでグラフづくりに重宝)
各国の一般廃棄物処分状況
エクセルデータで、焼却のうち「エネルギー回収を行うもの」の数字もでている。
1990年代からの調査結果もあるので、各国それぞれの推移もみることができる。
ドイツの焼却量は
1993年:6,429千トン、
1998年:9,140千トン、
2001年:10,796千トン、
2004年:11,892千トンと年々増加傾向にある。
また、ドイツの一般廃棄物焼却施設数は2005年で68施設
《合計能力 2,445トン/h》《平均能力(863トン/日・施設)》となっている。
ちなみに日本の焼却量は
日本の一般廃棄物焼却施設数は2005年で1,374施設
《合計能力 195,952トン/日》《平均能力(143トン/日・施設)》
日本の一般廃棄物焼却施設数は2009年で1,243施設
《合計能力 186,205トン/日》《平均能力(150トン/日・施設)》
日本は狭い国土に小さな焼却炉がひしめき合っている。
ドイツは、施設数は少ないが規模は大きい
※ドイツの施設数の出典:「平成21年度 廃棄物分野における温暖化対策に関する動向等調査報告書」平成22年3月社団法人 日本機械工業連合会 社団法人 産業と環境の会
このデータに中国は入っていないが、今や、中国も脅威のごみ排出国。そして、大型焼却炉の建設計画が軒並みである。(ジェトロ「中国各地域における主要汚染物質の排出・処理状況(2010年)(9)-都市生活ごみの処理状況-」によると2010年、中国における都市生活ごみの運送量(注1)は前年比0.5%増の1億5,805万トンとなっている。&「中国がごみ排出量(年間3億トン超)世界一、ごみ処理が都市計画の要に―中国メディア」2012年04月15日)
グラフをつくって比較をしても、世界各国、一般廃棄物の定義も違うだろう。
従って対象となる廃棄物の種類も、元になる数字の年度も違っているが、、、
おおまかなとらえ方はできるかな?
■各国の一般廃棄物処分状況(処理量)
上記グラフの拡大図(縦軸を100,000千トンに)
【アメリカ合衆国の総排出量は222,863千トン(2005年)、国民1人当たりの排出量は760Kg/年(2000年)(日本の1.85倍)】
■各国の一般廃棄物処分状況(割合)
※グラフは環境省 > 環境経済情報ポータルサイト「各国の一般廃棄物処分状況」より作成
国によって「一般廃棄物」の定義も異なるだろうから要注意
■各国の一般廃棄物処分状況(割合)
注意書【1】(上記グラフ同様)
注a) 処分量合計は、特に注釈が記された場合を除き、廃棄物発生量によるいくつかの処理(焼却、堆肥化)の残留物が埋め立てられるため、この数値は全ての処分の合計より小さい可能性がある。
【カナダ】処分量合計:家庭ごみのみ;処理サービスを受けられる人口割合:1996年のデータ;コンポスト:家庭及び家庭以外から発生したもの;2004年の家庭ごみのうち9,800万トンが埋め立てまたは焼却されている。
【メキシコ】埋立:うち違法な解放式埋立:1,152万8千トン。
【アメリカ】焼却:回収後;埋立:回収・焼却後。
【日本】処分量合計:自治体により処理された廃棄物、および民間部門によるリサイクル目的での分別収集;リサイクル:直接リサイクルされた処理量(民間による回収量を含む)および中間処理からの回収量;エネルギー回収を伴う焼却処分量:推計値;埋立:直接処分量(他の処理方法からの残留物660万トンを除く);その他:中間処理;中間処理による資源回収量はより少ない。
【韓国】処理サービスを受けられる人口割合及びエネルギー回収を伴う焼却処分量:2002年のデータ。
【オーストラリア】データは2002~2003会計年度による。
【ニュージーランド】リサイクル:包装廃棄物のみ;埋立:家庭ごみ。建設および解体廃棄物は除く。
【オーストリア】コンポスト:物理・生物的処理施設(mechanico-biologicalfacilities)による処分量を含む;埋立:前処理なし直接搬送。
【ベルギー】NSI推計値;リサイクル、埋立:焼却処分からの残滓を含む。
【チェコ】処分量合計:処理または廃棄処分前に行われる選別量を含む。
【フィンランド】処分量合計:管理されている量;リサイクル:堆肥化を含む。
【ドイツ】エネルギー回収を伴う焼却処分:焼却炉自体のエネルギー消費量を含む;その他:その他の物質リサイクル及び廃棄の際の化学処理。
【ギリシャ】1995年埋立:1992年のデータによる。
【ハンガリー】処分量合計:収集量合計:埋立:他の処理方法からの残存物(2003年54,000トン)を除く。
【アイルランド】処分量合計:廃棄物埋立と回収(路上からの廃棄物を含む);リサイクル:堆肥化を含む:処分を受けられる人口の割合:家庭ごみの割合。
【イタリア】堆肥化:物理・生物的処理を含む;焼却:廃棄物由来燃料を含む。
【ルクセンブルグ】処分量合計:国内で処分されたもの(輸出されたものは除外)。
【オランダ】処分量合計と収集量の差は、処理または廃棄処分の前に行われる選別量による。
【ノルウェー】家庭ごみのみ;リサイクル:分別収集廃棄物(堆肥化量に含まれる、食品、公園および庭からの廃棄物を除く)焼却:埋立られる残存物は除く。
【ポルトガル】埋立:管理されない投棄場所を含む。
【スロバキア】欧州廃棄物リストのグループ20。
【スペイン】家庭ごみおよび類似の廃棄物;リサイクル:分別収集。
【スウェーデン】その他:有害廃棄物。
【スイス】リサイクル:バッテリー(2,400トン)及び電子・電気機器(82,500トン)を除く。
【トルコ】処分量合計:収集量のみ。その他:湖、海、川への投棄及びオープンエリアでのごみ焼却。
【英国】その他:一般廃棄物をRDFペレットに加工するプロセスを含む(後に発電所で燃料として使用されるもの)。
出典:OECD Environmental Data Compendium 2006
日本のごみ総発生量は先進国の中ではアメリカに継いで2番目ではあるが、人口1人当たりの発生量は先進国の中ではかなり低い水準である。本ブログ、最下段にも参考グラフあり。
参考(総務省 統計局統計データ > 世界の統計 >第2章 人口)
■主要国の人口の推移(2000~2010年)〔統計表〕
(2010年のみ抜粋)
[参 考]
主要先進国(8) 886.0百万人 EU加盟国(27)c 501.1百万人
a 国(地域)欄の( )内の数字は該当する国(地域)の数。 b 総務省統計局「国勢調査」及び「人口推計」による10月1日現在の人口。 c EUROSTATによる1月1日現在の人口。
追記 日本はOECD加盟国の中でも、ダントツの焼却率、リサイクル率は最下位
関連(本ブログ) 詳しくは↓↓参照
■OECD加盟34ヵ国、一般廃棄物の処理とリサイクル率(2013年)2016年09月13日
グラフは「Environment at a Glance 2015 OECD INDICATORS」から作成
EU諸国、廃棄物の埋立回避から、焼却処理が増える傾向に、、
関連(本ブログ) 詳しくは↓↓参照
■EU加盟各国の一般廃棄物の処理状況 (2014年) 埋立・焼却・リサイクルの割合 2017年10月21日
日本の「一般廃棄物の排出及び処理状況等について」は、
環境省から毎年度末の3月頃にその前年度分のまとめが報告される。
追記(最新データに) 詳しくは↓↓参照
■環境省 『日本の廃棄物処理 平成28年度版(平成30年3月)』 一般廃棄物の総排出量は4,317万トン、 ごみ直接焼却率は 80.3%、ごみ焼却施設数は1,120施設に 2018年04月12日
一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成28年度)について
環境省は平成30年3月27日に、平成28年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況等の調査結果を取りまとめました。なお、平成23年度から国庫補助による災害廃棄物の処理量、経費等を除いております。
(主な結果)
・ごみ総排出量は4,317万トン(東京ドーム約116杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は925グラム。
・ごみ総排出量、1人1日当たりのごみ排出量ともに減少。
・最終処分量は前年比4.6%減少。リサイクル率は横ばい。
・ごみ焼却施設数は減少(1,141施設 → 1,120施設)。
・発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の32.0%であり、昨年度の30.5%から増加。
・ごみ焼却施設における総発電電力量は増加(8,762 GWh、約295万世帯分の年間電力使用量に相当)。
・発電設備を有するごみ焼却施設数、ごみ焼却施設における総発電電力量ともに増加。
・最終処分場の残余容量は18年間続けて減少、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況。
・ごみ処理事業経費は増加。
詳しくは、
■環境省 『日本の廃棄物処理 平成28年度版(平成30年3月)』 一般廃棄物の総排出量は4,317万トン、 ごみ直接焼却率は 80.3%、ごみ焼却施設数は1,120施設に 2018年04月12日
参考(環境省の発表の元データがエクセルなどで公表されている)
■環境省 廃棄物処理技術情報
関連(本ブログ)
■【環境省】「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成21年度)について」公表(2011年03月04日)
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以下は本ブログより再掲
■23区 清掃工場の地球温暖化防止対策(3)熱利用効率向上の研究(2010年09月19日)
「水冷式復水器」がどんなものなのかをネットで検索していたら~
わかりやすい資料を見つけた。2005年とすこし古いのだが~
■ごみ焼却発電の拡大と発電効率の向上
SCE・Net エネルギー研究会・エネルギーレポート 松村 眞
http://www.sce-net.jp/pdf/R-01.pdf
よくいわれていることではあるが~
「主要国のごみ焼却発電施設数と出力規模」のグラフ、アメリカやドイツの発電効率のよさは衝撃的であった。
出典:財団法人エネルギー総合工学研究所作成データを元に、新エネルギー・産業技術総合開発機構が作成
※グラフは「ごみ焼却発電の拡大と発電効率の向上」より作成
アメリカとドイツは蒸気の発電タービン入口温度を 400℃から 500℃とし、圧力は 5MPa以上を採用しています。また復水器は多くが水冷式なので、発電効率は25%以上が珍しくありません。一方、日本では蒸気の発電タービン入口温度が300℃以下で、圧力は2MPa以下です。復水器は臨海立地でもほとんどが空冷式です。なお、日本も新設工場では発電タービン入口の蒸気温度に400℃を採用し始めており、既設の清掃工場もボイラーや復水器など発電関連設備を新/増設すれば、発電効率を改善し出力を増大できるでしょう。(「ごみ焼却発電の拡大と発電効率の向上」より)
やはり気になるので、各国のごみ量↓↓も「平成17年版循環白書」からグラフを引用
2. 世界各国のごみの排出・処分の現状
世界各国の2000年のごみ発生量についてみると、ごみの定義や調査年が国ごとに異なるために単純な比較はできませんが、日本のごみの発生量は約 5,200万t(出典作成時は1999年のデータを代用)で、ごみの総発生量は先進国の中ではアメリカに継いで2番目に多くなっています。ただし、人口1人当たりの発生量は約410kgで、先進国の中ではかなり低い水準となっています(序-3-1図)。
また、各国の人口とごみの焼却施設数、焼却量の関係についてみると、我が国と比較した場合、人口当たりの焼却施設数は少ないものの、1施設当たりの年間焼却量の多い国が多くみられます。特に、我が国、デンマーク、ベルギーなどは人口1人当たりの焼却量が多いものの、1施設当たりの焼却量は比較的少なくなっています。一方、オランダ、アメリカ、ドイツ等は、大規模な施設で相当量の焼却を行っている傾向がうかがえます(序-3-3図)。
なおさらわかりにくくなるかもしれないが、おもしろいグラフである~
環境省のまとめによると、日本の一般廃棄物の焼却施設は、平成25年度末で1,173施設ということですが、そのうち590施設は、焼却能力は日量100t以下の小規模施設です。(30t/日以下が243施設)
平成25年度で、発電設備を有する施設数は328施設で全体の28.0%、総発電能力は1,770 千kW 、発電効率約12%、総発電電力量7,966GWh/年のようです。
余熱利用を行う施設数は778 施設となっています。