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国際市民セミナー 国際的な水銀規制をどう進めて行くのか ~日本とアジアの取り組み~

2009年09月26日 20時46分12秒 |  PCB/DXN類など

※グラフは「日本における水銀の排出インベントリーについて」(独)国立環境研究所 貴田晶子 セミナー資料より作成


水銀の大気排出量 3分の1は廃棄物の焼却による排出である!

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有害化学物質削減ネットワーク国際市民セミナー
国際的な水銀規制をどう進めて行くのか
~日本とアジアの取り組み~

日時:2009年9月26日(土)10時~16時30分
会場:国際協力事業団(JICA)総合研修センター国際会議場

プログラム 同時通訳あり
1.講演
(1)「水銀国際条約の動向と日本政府の取組み」
  関谷毅史さん(環境省環境安全課課長補佐)
(2)「日本における水銀の排出インベントリーについて」
  貴田晶子さん(国立環境研究所特別客員研究員)
(昼食休憩)
(3)「国際的な水銀禁止の市民活動」
  リチャード・グティエレスさん(Ban Toxics)
(4)「日本のNGO として水銀問題にどう取り組むのか」
  安間武さん(化学物質問題市民研究会)
(5)「水銀の環境汚染の現状、世界と日本」
  中地重晴さん(環境監視研究所/有害化学物質削減ネットワーク)
2.総合討論「国際的な水銀規制をどう進めていくのか」
終了後、懇親会
主催:有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ)
協力:化学物質問題市民研究会、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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●「日本では、中古電子機器の輸出と同様に、水銀廃棄物からの回収水銀を輸出することで厄介払いしている」と聞いて、実態が知りたくて午前の部のお2人の話を聞いてきた。(午後は都合で退席。)

●以下、「国際的な水銀規制をどう進めて行くのか ~日本とアジアの取り組み~」当日資料より主に一般廃棄物等に関する部分を抜粋

「水銀国際条約の動向と日本政府の取組み」
  関谷毅史さん(環境省環境安全課課長補佐)
■我が国の水銀の鉱出、輸出入
-1974年に最後の国内鉱山が閉山し鉱出なし
-電池・照明器具等から約15t/年、精錬副産物等から約75t/年の金属水銀を回収
-金属水銀の輸出:約6~249t(2002~2006、平均約108t)
-金属水銀の輸入:約3~7t
※回収した水銀はそっくり輸出をしていることになる。日本の場合は輸出規制はないので、事業者が、廃棄物の処理として維持していくためには市場メカニズムで回っているとのこと。

■日本における蛍光灯の生産量の推移
蛍光ランプの水銀単位使用量削減(1974年50mg→2005年7.5mg)
但し、生産量は1994年は400百万個を切っていたのが、2006年には1,000百万個
※これは、テレビやパソコン液晶画面に使用するバックライトの急増で生産量が倍増している。一方、EUでは、バックライトに使う水銀使用も禁止になるという。

■一般廃棄物における使用済乾電池・蛍光管の回収処理
【乾電池】
1986年に厚生省(当時)が使用済乾電池の分別収集及び水銀回収に関する指針を市町村あてに発出、(社)全国都市清掃会議が広域回収処理事業を開始
乾電池回収量:1992年 7,600t、1998年 12,000t、2008年 13,200t
乾電池水銀回収量:1992年 1,100Kg、1998年 300Kg、2008年 127Kg
【蛍光管】
1999年に(社)全国都市清掃会議が広域回収処理事業を開始
蛍光灯回収量:1999年 2,800t、2001年 4,300t、2003年 4,800t、2006年 5,400t
蛍光灯水銀回収量:1999年 90Kg、2001年 172Kg、2003年 192Kg、2006年 216Kg
※上記の回収量は(社)全国都市清掃会議の事業を通じて回収した量。民間企業による収集・回収も実施されていることから、実際の回収量はこれより相当多いとされる。(社)日本電球工業界は2006年の総回収量を15,000tと推計

■日本の水銀に関する物質フロー(2005年)(一部抜粋)
【国内需要 12.6t】
  電池:1.8t、電球:4.6t、歯科用アマルガム:0.2t
  体温計:0.69t、血圧計:3.1t、無機薬品:2.2t
【大気への排出量 22~31t】
【公共用水域への排出量 0.33t以上、土壌に0t】


国際的な水銀管理強化の動き
■UNEP(国連環境計画)における水銀規制に関する検討

・2007年10月、第1回アドホック公開作業部会(OEWG)開催
・2008年10月、第2回OEWG開催
-法的拘束力のある文書の制定及び自主的取組の強化のいずれを選択するかについては合意に至らず。
-将来の管理方策における「共通の要素」を列挙。
 ・水銀供給の削減、製品や製造プロセスにおける水銀需要の削減、水銀の国際的な貿易の削減、水銀の大気への排出の低減、水銀含有廃棄物の環境上適正な管理の達成、水銀の環境上適正な保管法の開発、既存の汚染サイトの修復の実施、知識の増強及び分野横断的取組事項(情報交換、モニタリング、途上国支援等)
・2009年2月、第25回管理理事会において、水銀規制に関する条約の制定に向け、政府間交渉委員会の開催に合意。
-それまで自主的取組を支持してきた米国が条約制定支持に転換、中・印等も条約制定検討を容認。
-2010年に第1回政府間交渉委員会を開催し、2013年までに交渉を完了させ、第27回管理理事会に報告する。
■EUの動き
・水銀の輸出禁止及び水銀の長期保管等を義務づける規則(Regulation)を採択(2008年9月)
-金属水銀、辰砂鉱石、塩化水銀(I)、酸化水銀(II)m金属水銀とその他の混合物のEU域外への輸出を2011年3月15日以降禁止。
-塩素アルカリ工業において使用されなくなった金属水銀、非鉄金属の採掘、溶練工程から副産物として得られる金属水銀等は、廃棄物とみなし人及び環境にとって安全な方法で処分。
-廃棄物とみなされた金属水銀は、廃棄物処理場となっている地下の岩塩鉱か、一時的保管のために専門に設けられた施設で保管できる。
・大気排出については、既に欧州長距離越境大気汚染条約(LATAP)重金属議定書等により規制。
■米国の動き
・2006年に環境保護庁(USEPA)が国内での水銀管理に関する[水銀ロードマップ]を策定。
・国際的規制に関しては、2009年2月のUSEPA管理理事かにおいて、それまでの自主的取組支持から、条約制定支持に転向。
・2008年10月、水銀の輸出禁止及び水銀の長期保管を義務づける法律(S906)が成立。
-有害物質規制法(TSCA)の改正法
-連邦政府関係機関による金属水銀の販売・配布・輸送の禁止
-米国からの金属水銀の輸出を2013年1月1日以降禁止(エッセンシャル・コースの例外規定あり)
-連邦エネルギー省による長期保管施設の指定(2010年1月1日までに)


「日本における水銀の排出インベントリーについて」
  貴田晶子さん(国立環境研究所特別客員研究員)
●部門別インベントリーの詳細は下記サイトで公開されている。
■我が国における2005 年水銀排出量の推定結果
ttp://www.env.go.jp/chemi/tmms/2001/mat04_1.pdf
●部門別に使用量(焼却量)と排出係数等から水銀排出量を計算した結果の上記円グラフなのか?

●しかし、ダイオキシン類の排出インベントリー等でも同様であるが、あくまでも総排出量の正確な計算などできっこない。総量規制もないしPRTRも排出量の全量を追えるけではない。あくまでも推計である。推計のための前提となるもとの数字、排出係数の捉え方でいろいろあるだろう。あくまでも大まかな推計値である。


●環境省循環科研費補助金による「循環型社会における回収水銀の長期安全管理に関する研究(代表 京都大学高岡昌輝准教授)」を進めています。

●水銀の使用を禁止、輸出を禁止すると、考えなくてはならないのは回収された水銀の保管管理の方法。ということで、高岡先生の研究取組の紹介もあった。

●そもそも、1月に京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻の高岡昌輝先生の「ごみに含まれる重金属類の制御と環境への影響について~水銀~」のミニ講座、ごみ焼却排ガス中の水銀除去、活性炭添加割合と水銀除去率とか、水銀のインベントリー等を聞いたので、今回のセミナーにも参加する気になった次第。

●環境省の関谷氏の話を聞いていて、骨抜きの規制にならないように願うのみ。それにしても、欧米に比べて、水俣病を経験した日本としての取組がなんとも悠長というより怠慢なのには今に始まったことではないが~ 米国の「条約制定支持に転換」は、オバマ政権になったことでの大転換ということのようだ!! さあ、民主党政権になった我が国は化学物質政策にどう取り組むか!!



●水銀に限らずダイオキシン類のインベントリーも廃棄物焼却による排出が6割以上!
関連(本ブログ2008年12月31日)
■平成19年度ダイオキシン類に係る環境調査結果について(その2)
http://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/85375d0dfbbcfa883dcbe350f6f1a564

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