家庭ごみの有料化制度に対する不服申し立て、
中日新聞「受給者3人 不服申し立て ごみ有料化 生活保護変更却下で」によると、金沢市で2月から始まった家庭ごみ有料化に伴う負担増による生活保護費の見直しがないのは不当だとして、市内の受給者三人が二十六日、行政不服審査法に基づき、県に保護費変更申請却下の取り消しを求める審査請求をしたということ。家庭ごみの有料化制度に対する裁判なども、藤沢市民の例があったが、最高裁で上告を棄却となっている。
中日新聞 2018年6月27日
金沢市で二月から始まった家庭ごみ有料化に伴う負担増による生活保護費の見直しがないのは不当だとして、市内の受給者三人が二十六日、行政不服審査法に基づき、県に保護費変更申請却下の取り消しを求める審査請求をした。
市内に住む五十代から七十代の男性三人。男性らは市が始めた家庭ごみ有料化制度では、生活困難者に無料でごみ袋を配布するなどの配慮がないことなどから、新たな負担となったごみ袋の費用を保護費に含め見直すよう今年四月に申請。市社会福祉事務所長はこれを五月八日付で却下していた。 ...
家庭ごみ有料化の実施市町村、多くの市町村で生活困難者などへの減免措置があるが、東洋大学経済学部教授山谷修作氏の手数料減免措置実施状況(2017年10月調査)では減免制度のない市もあったので驚いたものだが、、金沢市の場合もそうなんだ、、、
関連(本ブログ)
■家庭ごみの有料化、指定ごみ袋の価格と減量効果の関係性は? 2018年01月30日
山谷氏の全国市区町村の家庭ごみ有料化実施状況調査では、
全国の有料化実施率は、2017年10月現在で、有料化は1105市区町村(63.5%)、ごみ袋の価格では、大袋一枚あたりの価格が40円台が一番多く、次に30円台、20円台・50円台となっていた。また、家庭ごみを有料化している466市のうち、資源物の有料化をしている市は148市(31.8%)、うち、プラスチック有料化の市は98市(21.0%)となっている。手数料減免措置実施状況は減免制度のない市が24市ももあるのに驚いた。詳しくは、「全国市区町村の有料化実施状況(2017年10月現在)」を参照のこと。
自治体におけるごみ処理の有料化に関して以下の資料の収集、内容の整理を行った。
ごみ処理有料化に関する裁判例
ごみ処理有料化に関する有識者の見解
ごみ処理有料化に関する国の動向を自治体が整理した資料
4.3.1ごみ処理有料化に関する裁判例
ごみ処理の有料化に関する裁判例としては、金沢地裁判決(昭和41年4月11日)及び横浜地裁判決(平成21年10月14日)がある。
(1) 金沢地裁判決(昭和41年4月11日)
●市民が金沢市に対して、清掃条例に基づいた清掃手数料の賦課取り消しを求めたもの。
●判決は、清掃法および条例に基づく手数料徴収は憲法違反ではないため、原告の請求は棄却するというもの。
●しかし、その後、市長の交代により、手数料は廃止され、その後、この訴状も取り下げられたため、現在、判例としての効力はないとのこと。
(2) 横浜地裁判決(平成21年10月14日)
●藤沢市のごみ有料化条例の無効を訴えたもの。具体的には、指定袋を利用しないごみの収集義務が市側にあるとするもの(争点1)と、条例の規定が地方自治法227条の手数料は特定の者から徴収できる範囲を逸脱しているとするもの(争点2)。
●判決は、争点1については、市側の義務を求めるのではなく、指定袋を利用しなくても可燃ごみや不燃ごみの収集を受ける地位があるという確認訴状によるべきとの判断、争点2は、ごみの排出行為と収集運搬行為を一対一対応させることが可能であり、受益者に対してのみ負担を課すことが可能であることから、ごみ有料化が、地方自治法227条に反するとは言えないとして、請求は棄却するというもの。
●その後、本件は、最高裁で上告を棄却されている。