大王製紙「いわき大王製紙株式会社 自家発電設備 爆発事故調査報告書」から抜粋
昨年9月6日発生の「いわき大王製紙」ボイラー爆発事故、「配管破損で水蒸気爆発」との調査報告書を公表(参考「製紙工場で爆発1人けが「配管破損で水蒸気爆発」会社が公表|」)
大王製紙の「当社子会社いわき大王製紙におけるボイラ損壊事故後の対策について(第三報) 」によると、「2022 年 11 月1日に外部の有識者を含めた「事故調査委員会」を設置。これまで6回の委員会を開催し、本事故の発生原因の究明および再発防止策を事故調査報告書としてまとめた。」となっている、、(添付資料)いわき大王製紙株式会社 自家発電設備 爆発事故調査報告書は18頁にわたり図入り詳しく説明がある
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■いわき大王製紙、9 月6日発生のボイラー爆発事故は4号ボイラが全損、爆発 原因は判明せず、事故原因調査の進め方を協議中 2022年09月24日
当社子会社いわき大王製紙におけるボイラ損壊事故後の対策について(第三報)
いわき大王製紙株式会社 自家発電設備 爆発事故調査報告書
(抜粋)
3.事故原因の推定
3-1 結論
・ボイラの爆発原因として、未燃ガス爆発、粉塵爆発、水蒸気爆発の可能性が考えられるが、
運転データ及び現地目視調査結果から、当該事故は大量の水が大きな熱容量を持つ流動砂と
瞬時に接触することに起因する水蒸気爆発によるものと推定。
・設計・施工・運用・保全点検の各視点から水蒸気爆発発生の原因を調査した結果、
複数の推定原因を導き出した。
なお、破口部に減肉は見られず、少なくとも前例の爆発事故とは異なる漏洩と判断できた。
・第一破口部は当局に押収されており、寸法検査・組織観察・硬さ試験等、様々な視点の調査を
当局に要請中である。現状においては、第一破口部の詳細状況が明確になっていないため、
複数の推定原因からの絞り込みには至っていない。
・本件の再発防止策については、事故調査委員会において検討を行い、管の破口原因以外に
管が破口してもボイラが爆発しないような再発防止策についても議論を進め、事故防止が
できると評価された。
・今後、当局での第一破口部の調査結果が入手できた際には、必要に応じ、改めて
事故調査委員会を開催し、原因の特定及び必要な追加対策について協議することとした。
・なお、次期案件(いわき大王4号の復旧)に向けては、複数の推定原因に対する再発防止策を
適用することとしたい。
※本資料上は「水蒸気爆発:高温の砂に触れた水が爆発の様に急激に気化(体積膨張)したもの」と定義
※今後の調査結果によっては内容が変更となる可能性があります
5.事故原因の推定及び再発防止対策のまとめ
・ボイラの爆発原因として、未燃ガス爆発、粉塵爆発、水蒸気爆発の可能性が考えられるが、
運転データ及び現地目視調査結果から、当該事故は大量の水が大きな熱容量を持つ流動砂と
瞬時に接触することに起因する水蒸気爆発によるものと推定した。
・第一破口部の詳細状況が明確になっておらず、要因の絞り込みには至って無いものの、
各種調査で導き出した複数の推定原因に対して、以下を適用することとしたい。
1)水管の漏洩対策
◎三角スペース用シールフィンを無くす (結果的に三角スペースも無くなる。)
◎内面スケール付着抑制 (クリープ損傷リスク回避)
◎pH低下防止 (水素侵食リスク回避)
◎耐火材除去による水管への熱負荷上昇リスクを発生させない
(水素侵食、クリープ損傷、き裂リスク回避)
2)万が一、漏洩したとしても水蒸気爆発発生リスクを低減するための対策
◎大量の水が保有熱量の多い流動材と一気に接触することを防止するために
三角スペースを廃止
3)更なる損壊範囲の拡大防止の対策
◎外部熱交室周壁の水管構造(水管+耐火材構造)を、
非耐圧構造(ケーシング/鉄板+耐火材構造)とする
◎外部熱交室内の蒸発器の非設置
※2)、3)はボイラの再建に向けていわき大王がメーカーに要請した対策。
※他案件への水平展開については、別途メーカーから説明。
※今後の調査結果によっては内容が変更となる可能性があります