東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

「災害廃棄物等の処理問題を考える院内集会&政府交渉」に参加しした~

2011年08月25日 23時19分55秒 | 放射性廃棄物など

■災害廃棄物等の処理問題を考える院内集会&政府交渉
日時:2011年8月25日(木)午後1時~5時
会場:衆議院第二議員会館 多目的会議室
主 催:8.25「災害廃棄物問題等」院内集会&政府交渉を実現する会(仮称)
<呼びかけ団体>
放射性廃棄物スソ切り問題連絡会/廃棄物処分場問題全国ネットワーク/原子力資料情報室
呼びかけ団体、賛同団体、個人多数

4.プログラム
12:30 受付開始、通行票の配布
13:00-13:15 会場準備
13:15-14:00 事前打ち合せ
14:00-16:30 政府交渉
14:00-14:45 原子力安全委員会、原子力安全・保安院
14:45-15:25 環境省
15:25-15:50 国土交通省、厚生労働省
15:50-16:15 農水省
16:15-16:45 総括集会~今後に向けて
16:45-17:00 会場片付け

多少の時間のズレや順序の入れ替わりがあったものの
出席された省庁担当部署(敬称略)
原子力安全委員会、原子力安全・保安院
規制調査課 規制調査官 岡本久人
規制調査課 規制調査官 丸山智

国土交通省
水管理国土保全局下水道部下水道企画課事業調整官 加藤
厚生労働省
健康局水道課 名倉補佐 梁瀬係長
農水省
消費・安全局 農産安全管理課 朝倉課長 田村補佐
環境省
大臣官房総務課 一井補佐 
廃棄物リサイクル対策部 適正処理。不法投棄対策室 野本係長
大臣官房政策評価広報課 下田係長

================================================================

政府交渉の前に、社民党の服部議員から
ヨルダンとの原子力協定の国会承認審議状況が報告された

いろんな議論の末、テロの脅威などで採決しない方向でまとまった。(しかし政府の原発輸出の方針は継続しているので、また審議することになるとのこと)
また、ベトナムへの原発輸出に関しては、日本が「使用済み核燃料を保障する」という条件付協定なのだという話し。福島原発事故のあと、それでも国策で海外にまで原発を推進させようとする日本。自国の放射性廃棄物の処分先のあてもないのに、その上で、あえてなぜ他国の使用済み核燃料まで引き受けてどうする。何かおかしな日本。モンゴルとの交渉も時たま話題には上っているが、とんでもないおかしなことである。

================================================================

事前に主催者側(呼びかけ団体)」が提出していた要請事項

災害廃棄物等の処理方針に関する政府交渉(要請事項)
1.原子力安全委員会への要請事項
原子力安全委員会は、6月3日に示した「当面の考え方」を撤回し、一般人の年間の被曝総量が法令の1ミリシーベルト以下になるような基本的考え方を示すこと
2.原子力安全・保安院への要請事項
原子力災害対策本部は、6月16日に示した「当面の取扱いに関する考え方」について、以下の点から見直しを行うこと。
① 処理施設等の周辺住民が受ける放射線量の被曝総量が1mSv/年以下になるような基本的考え方を示すこと
② 処理等を行う作業者が受ける線量について、「可能な限り1mSv/年を超えないこと」との方針を厳格に堅持するとともに、「比較的高い放射能濃度の物を取り扱う工程」に従事する場合においては、被曝管理を徹底すること。
③ 処分施設の管理期間終了以後の周辺住民の受ける線量に関する基本シナリオ及び変動シナリオに基づく評価の「めやす」についてその根拠を示すこと
④ 脱水汚泥等の焼却、埋立処分及び副次産物の利用等に関する方針を撤回し、その安全性の評価について見直しを行うこと
3.環境省への要請事項
①7月14日に開催された「災害廃棄物安全評価検討会」での検討を経て現在方針化が検討されている災害廃棄物の処理に関する考え方については、いったん白紙に戻したうえで、広く公開のもとで議論を行うこと
②環境中に放出された放射性物質及び放射性物質を含有する廃棄物等に関する法制度化かに関する検討状況について明らかにすること
4.国土交通省、厚生労働省への要請事項
① 6月16日付で関係都県知事と関係都県内の政令指定都市市長宛てに発出した原子力災害対策本部名の通知文の内容には不適切な個所があるので、通知文を回収するとともに、その執行は当分の間、中止するように通知すること
② 全国の都道府県及び市町村における上下水道汚泥等の放射能による汚染状況について詳細な実態把握調査を行うこととその結果を速やかに公表すること
5.農水省への要請事項
1キロあたり400ベクレル以下であれば肥料として使用できるとした通知を撤回すること

================================================================

災害がれき、放射能のことなど~
多くの人が漠然と感じる不安、それは、原発事故以来、政府から次々だされる基準や方針にもある。飲食物から焼却灰に至るまでいわゆる「安全基準」の乱発である。主催者はその数字の問題点をいろいろ追求していたのだが、専門的なことも多く正確な再現ができないので、その部分は下記参照。

放射性廃棄物スソ切り問題連絡会の末田一秀さんHP
■放射能がれき問題での中央省庁交渉
http://homepage3.nifty.com/ksueda/gareki.html

================================================================

主催者の冒頭挨拶で、
要請事項は必ずしも呼びかけ団体内でも調整や合意がとれているわけでもないのでという話しがあった。これだけの交渉の場を設定するのも大変なことであっただろうと想像する。ということで、省庁交渉の前に、参加者での事前打ち合わせというか、趣旨説明のようなものがあった。呼びかけ団体のメンバーや、賛同者だけではなく、私のように原子力資料情報室のお知らせをみて参加した人もいるだろうし、いろんなおもいを持っておおぜいの人が集まっていた。災害廃棄物、特に放射性廃棄物に関して、さまざまな情報が飛び交っている中で、自分自身でも問題点やどうするのがよいかの整理ができていないので、いろんな話を聞きながら大変勉強になった。

以下、印象的な部分のみ感想

原子力安全・保安院とのやりとり
どうしても話しがかみ合わなかった。
一般人の年間の被曝総量は法令では1ミリシーベルト以下
今回の放射性廃棄物に関する処理の方針の大元になるのが、6月3日に示した原子力安全委員会の「当面の考え方」。それを元に、廃棄物の処理方針の目安や基準は決められている。
・処理施設等の周辺住民が受ける放射線量の被曝総量が1mSv/年以下
・処理等を行う作業者が受ける線量について、「可能な限り1mSv/年を超えないこと」
それぞれの部分で1mSv/年以下では、極端に言えば、作業者や周辺住民はそれだけで1mSv/年の限度になる可能性もある。日常生活をする上で、食品からも、大気からも、いろんなところで放射能は浴びる。各作業基準などの中で、1mSv/年以下ということではなく、どうして安全率を考えた設定にしなかったのか。安全率を考える議論はあったのかなかったのか、という問いに返事がなかった。出席された担当者は話しが飲み込めていないのか、とぼけているのか、参加者のそういう質問や要請の意味すら伝わっていなかったように思えた。(環境アセスなどでもそうであるが、各項目ごとの評価で、バックグラウンドを無視した考え方)結局、最初から最後まで話しはまったくかみ合わなかった。

個別の議論は省略するが、
それに比べて、他の国土交通省、厚生労働省、農水省、環境省の対応は、それぞれ一生懸命取り組んでいるのだということは伝わってきた。なにしろ現実問題、上下水道の汚泥処理問題、汚泥肥料の問題、堆肥の問題、廃棄物の処理の問題、と、対応しなければならないことが目の前にあるのだから。そういった意味で、原子力安全・保安院などとまったく違ってみえた。主催者側が要請したものをそのまま聞き入れてくれるというものではまったくないが、少なくとも参加者の思いは伝わったとは思う。

特に印象的であったのは
国土交通省、厚生労働省は、上下水道の汚泥焼却等での放射能の問題も、それでも処理の停滞は許されない、上下水道を止めることはできない。農水省の担当者、最後に、日本の農地を守るのが自分たちの仕事なので。環境省、質疑応答の中で、一部報道で10万ベクレルまで埋立可能に基準緩和とあるが、8000以上~10万ベクレルがそのまま埋立OKということになるのではない。いつまでも一時保管ということを続けることはできないので、対策をとった上での埋立という方向になるような話し。広域処理のガイドラインも法的な強制力があるものではない。災害廃棄物を受け入れる自治体が、(山形県のように)ガイドラインより厳しい独自の基準を決めてやられても、それは差し支えない。「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」制定後、法律は枠組みなので今後、環境省令で基準などを作っていくことになる。主催者から、この特別措置法に、衆議院、参議院からいろんな付帯決議がつけられているという話し。

参加者からは~
みなさんしっかりといろんな発言をされていた。見知った方も数人チラホラ、23区の議員さんも、関西や、関東、福島の人もおおぜい参加されていたようだ。きっと、自分自身もそうなのであるが、災害廃棄物の支援の必要性はわかるが、やはりいろんな不安があるのだと思う。東京や関東地方でいえば、そうでなくても、日常生活の中で、上下水道、廃棄物処理で既に放射能汚染の被害は明確。関西方面の人から見れば、今は目に見えた被害はないにして、あえて、放射性廃棄物を引き受けるリスク。地域による現状のベース放射能の差があるにしても、廃棄物処理の基準は一律1mSv/年以下等、8000ベクレル以下埋立などの不合理。そして会場発言などから感じたのは、焼却による放射能のさらなる拡散、排ガスからの拡散への不安視が多かった。いろんな情報が錯乱するなか、災害廃棄物安全評価検討会の公表資料、関東近県の自治体から公表される、下水汚泥焼却時の排ガスデータ、焼却施設の排ガスデータ、それらを見たうえでなのかどうかはわからないが、それでもいろいろ問題だという。(東京都、23区清掃一組、流山市などは排ガスデータの公表をしている)そして、検討委員会データのバグフィルターで99.9%とれたとしても残りの0.1%が排出されると総量では相当の拡散となるのという意見も。(リスク評価の議論になってしまう)何ごともそうであるが、行政のやること、排ガス測定の方法も、測定結果も、疑心暗鬼で信用できないといわれると、それ以上議論は進まない。最後に、多摩地域の議員さん発言で、現状の焼却処理にしても信頼関係が損なわれているのに、放射性廃棄物まで受け入れたくないとはっきり言われていた。信頼関係がなくなるということはすべての関係が破綻する。
これら放射性廃棄物は東京電力の所有物なので東京電力に返したい。また、福島原発の電気を主として使っていたのは東京なのだから東京に、と、何度か繰り返し発言をしている人もいた。今後は、放射能の最終処分先もあわせて考えるべきという話しもされていた。

主催者から、省庁交渉もこれで終わりではなく、今後も繰り返し行っていくという。

================================================================

災害廃棄物の処理や支援の必要性は十分に理解はできる。それでも漠然とした不安は消え去らない。それらをどう整理できるかと思い参加したのだが~ 今回は、特に放射能のみをとらえた議論であったが、PCBや水銀やアスベストなど、有害廃棄物の混入の不安もある。それでなくとも、福島近県は日常の上下水道、廃棄物処理でさえ日々放射性廃棄物と向き合っている。被災地の復興のみならず、日本国民が日常生活をなんとか進めていくためには、とりあえずどこまで許容できるのかと言うことに尽きるのだと思う。それを、いろんなところで、「安全」「安全」というから話しがおかしくなる。あれだけ放射能をばらまいて、もはや「安全」などないのに。どの省庁も、どの検討委員会も、かんたんに「安全」という言葉を使ってしまう。そして、市民サイドもその「安全」の線引きの数字論争に終始しているのでその先に進めない。それが大切なことも十分にわかるが、それでも、日々、上下水道や清掃工場での処理は行われて放射能は山積みになっている。放射性物質は半減期を繰り返し待つしか分解も無害化もできないのであれば、満遍なく生活空間に漂っているより、可能な限り集めて拡散しないように隔離してほしい。今のところ代替えでいい処理方法がみつからないのであれば、それら現状の処理施設で働く人たちがどのようにすれば少しでも被ばくをおさえることができるのか、せっかく凝縮できた放射能入り焼却灰等を、いかにして遮蔽して保管・管理できるか、そういうところも確実におさえていかなければ。8000Bq/Kg以下であれ、以上であれ、10万Bq/Kgであれ、きちんと遮蔽し日常生活空間から隔離してほしい。私の最大の関心はそこにある。なにしろ東京23区の最終処分場は江東地先にある。通常の処分場にではなく、きちんとした放射性廃棄物の保管場所を造るべきだと思う。そういった意味でも、各自治体が発表する測定値なども、たんに鵜呑みにすることなく、しっかりと監視していかなければとは思うのだが、集会ではそこまではいき着かなかった。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 焼却炉のバグフィルター破損... | トップ | 次の記事へ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

放射性廃棄物など」カテゴリの最新記事