
燃えるごみの焼却残さである溶融スラグを高付加価値材料に変換
産総研「燃えるごみの焼却残さから機能性材料を製造」から抜粋
ニュースイッチの「燃えるゴミの焼却灰から生まれた素材、用途がどんどん広がる!」は日刊工業新聞の記事のようだが、、
この新素材というのは、「溶融スラグを高比表面積シリカに変換」のことかな、、
それにしても、「用途がどんどん広がる」などの希望的観測というか、、
あまりにも溶融スラグを美化しすぎとも思うが、
技術で未来拓く・産総研の挑戦
ニュースイッチ Newswitch-2017年12月28日
... 回収する処理が広く行われている。 現在、全国で年間約80万トンもの溶融スラグが、自治体などのゴミ清掃工場から発生しており、その一部は道路用のアスファルト骨材やコンクリート用骨材などの土木資材としての利用が図られているものの、さらなる有効活用の手段が求められている。 ... これに対して、我々の技術による高比表面積シリカは、燃えるゴミの処理残さである溶融スラグを原料としているため、製造プロセスの省エネルギー化や二酸化炭素排出削減への貢献が期待できる。今後は、三井造船と共同で反応 ...
ごみ焼却灰は重金属まみれ~
溶融処理でスラグ化して、重金属類は封じ込められていることにはなっているが、、、
溶融スラグのJIS化で重金属類の含有量や溶出量に基準はできてはいても、
長い年月酸性雨に曝された場合はどうなるのかなど、、気になること多し、、
会計検査院は、2014年に交付金を受けた溶融固化施設で、発生した溶融スラグが利用されずにそのまま埋立処理されたと指摘はしたが、重金属含む溶融スラグなど、道路の埋め戻しや建設資材として社会にばらまくよりも、ましてや農業用肥料として使われるよりも、埋立処分場でしっかり管理した方がいいようにおもう、、
全国各地の灰溶融炉は、諸々の理由で中止や廃止が相次いでいる。そして、交付金と抱き合わせで灰溶融施設の建設を進めた環境省は、「灰溶融固化設備の財産処分について」の中で、「温室効果ガスの削減は、我が国の環境政策の最重点課題の一つであり、灰溶融固化設備の廃止による燃料等の削減により温室効果ガスの削減へ寄与することなど~」として通知を出す始末、、、
灰溶融炉は新たな設置はほとんど無いが、ガス化溶融炉の建設は増え続けている。廃棄物処理施設の新規建設など、DBO方式やPFI方式が増えてきて、建設事業者のプラントメーカやゼネコンは、発生する溶融スラグのその後の利用まで確約でもしているのだろうか? 発生する溶融スラグは有効利用で埋立ゼロと、あまりにも安易に評価していているので疑問に思う、、、
大阪市では、「下水汚泥溶融スラグ」を下水道工事への活用を義務付けていたが、複数の業者が、契約に違反して、下水汚泥溶融スラグを使わずに不正を繰り返していたというニュースが流れていたが、、先日の毎日新聞「大阪市下水工事 抽出調査、全件で不正 全19社関与」の中で、「最初から破綻」市の管理問う声などでは「下水汚泥を工事資材に変え、公共工事に活用する夢のリサイクル計画の現場で不正が横行していた」と厳しい指摘も。大阪市は公共工事でのスラグ販売を来年3月でやめるとなっていた。ほんとうに「夢のリサイクル計画」を描くのではなく、しっかりと現実を見なければ、、、
関連(本ブログ)
■溶融スラグの水稲育成への適用 ~ 日本初の一般廃棄物溶融スラグの肥料化 ~2017年12月06日
■契約条件の「下水汚泥溶融スラグ」使わず不正か 数億円の被害の可能性 2017年11月22日
■ 焼却残さから機能性材料を製造 -都市ごみ清掃工場から排出される溶融スラグを高比表面積シリカに変換-2017年07月25日
■全国初 一般廃棄物の溶融スラグが農業用肥料に仮登録(西ケ谷清掃工場のガス化溶融炉の溶融スラグ)/静岡2017年06月01日
■DOWAエコシステム、福島にメルテックいわき(株)を設立、灰溶融による再資源化事業の拡大2016年02月09日
■会計検査院、灰溶融施設、ガス化溶融施設について意見表示(交付金を受けた102溶融固化施設の検査結果)2014年09月30日
参考
●23区清掃工場「平成28年度 環境調査結果」から、焼却灰等に含まれる重金属類の測定結果は~2017年06月19日