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爆売れ「ポケトーク」生んだ英語オタク社長の夢 シリコンバレーに移住し、世界企業を目指す

2019-02-20 11:42:50 | 国内

東洋経済 ONLINE 印南 志帆  平成31年02月18日 20:00

 

 74カ国語に対応した翻訳端末、ポケトークが売れている。家電量販店などでの個人向け販売に加え、交通機関や旅行会社でのレンタル用など、法人向け需要も拡大している。2017年末に発売された初代の翻訳性能や操作性などを改善し、2018年9月には2代目が登場。初代と合わせた累計出荷台数は20万台を突破している(2018年12月時点)。

このポケトークを展開するのが、ソースネクストだ。同社の売上高は168億円(2019年3月期、会社予想)。正社員数約100名で、家電量販店への直販ルートを武器に、PC・スマートフォン向けソフトウェアを開発・販売してきた。タイピングの学習ソフト「特打」や年賀状ソフト「筆まめ」、英語学習ソフトの「ロゼッタストーン」などが看板商品だ。そんな同社が手がけた初めてのハード製品がポケトークである。2代目からは中国・深センの製造会社を買収し、生産にも乗り出した。

なぜ、翻訳機というニッチな分野に目をつけたのか。そして、ヒットした理由はどこにあるのか。ソースネクストの松田憲幸社長に聞いた。

ここまでの法人ニーズは想定外だった


 ――翻訳機ポケトークが好調ですいったい、どんな人が購入しているのでしょう

 個人、法人それぞれに、想定よりもはるかに強い手ごたえを感じている。全体の4割といちばん多いのは個人の海外旅行用だ。加えて、もともと個人消費者向けに発売した製品にもかかわらず、法人からここまで高いニーズがあるとは想定外だった。

 年間約3000万人の外国人観光客が日本にやってくる今、それをビジネスチャンスと捉える企業は増えている。彼らが外国人客と意思疎通をはかる手段には、「通訳を雇う」「従業員に語学研修を受けさせる」などがあるが、どちらも莫大なコストがかかる。第3の選択肢として翻訳機がある。1台約3万円の端末を買って、そのコスト以上に利益が出るかどうかを見極めて導入してもらえているのだと思う。


 ――海外旅行で使うとなると使用頻度はそれほど高くなさそうです

 実は、ポケトークを語学の勉強用に使ってくれている人が2割弱もいる。学習用になると、たまに使うものから、毎日使うものに変化する。

 「翻訳機は語学を勉強するうえで一番いいツールになるんじゃないか?」というアイデアは、自分が英語の勉強をしていた20代のころからずっとあったもの。だから、ある見本市に出品されたオランダのベンチャー・トラビス社の翻訳機について社員から報告を受けたとき、「これはいける」と思い、翌日には現地に飛んで社長に会ったほどだ


 ――どのように使えばよいのでしょうか

 言語を学ぶとき、日本では、1つ1つ構文と単語を覚えて、言いたいことに応じてそれぞれのパーツを組み替える学習方法を取ることが多い。しかし、これでは話せるようになるのは結構大変だ。英語がある程度できる人でも、「いま100億円払ってくれれば20%割引します」と言いたいときに、100億円をパッと“ten billion yen”と言い換えるのはなかなか難しいでしょう?それよりは、まるごと1文暗記してしまうのが手っ取り早い。

 一番いいのは、バイリンガルの人に「これを伝えたいんだけど、何ていうの?」と聞き、その答えを何度も口に出して覚えること。語学教室に通っていたとしても、そんな贅沢な環境はなかなかないだろう。しかし、ポケトークならそれができる。さらに、2代目からは、端末の画面上に日本語とその翻訳文が両方表示できるようになり、端末上にも最大1万回の会話を履歴として残せる。これを見返すだけでも、すごく勉強になる。


 ――英語の勉強法に随分こだわりを持っているのですね

 英語の勉強はかなりやってきたほうだ。20歳までまったく英語が話せなかったが、21歳で一念発起し、英会話学校に通いはじめた。そこから猛烈に勉強して、TOEIC900点を取り、IBMに就職した。TOEICはこれまで11~12回は受けたんじゃないかな。今でも、英語で「あ、こういう言い回しがあるんだ」と思ったら、毎回覚えるようにしている。それでも、英語は絶対完璧にならない。
英語が苦手な日本人は損をしている
日本人は英語ができないことですごく損をしている。平成の間、日本はグローバル化で確実に遅れを取ったが、その理由の1つは言葉の壁があったことだ。その問題を少しでも解消するために、当社は創業当時から英語学習ソフトを大量に出してきた。最近でも、映画の字幕で日本語と英語を両方見られる「超字幕」を発売したり、語学学習ソフトの「ロゼッタストーン」の発売元を買収した。ポケトークも多少なりとも役に立つなら、社会的意義がすごくあることだと思う。


 ――ただこれまでのソフトと違いポケトークはハードウエアです販売する上でずいぶんと勝手が違ったのでは

 もちろん高いハードルだった。とくに大変だったのは納期の調整。製品の売れ行きに在庫の補充が追いつかず、店頭在庫がなくなってしまったこともあった。それも、1年続けてきたことで生産のリードタイムの読み方などは学習できてきた。

 もっとも、ポケトークのキモは、ものすごく複雑なプログラムで書かれたソフトの性能なわけで、ソフト屋さんがハードに参入したというよりは、ソフトから「ソフト+ハード」に広がった、というのが正しい。


 ――米グーグルアマゾンなどもソフトハード」、つまりIoT製品を積極的に出していますIT企業が敢えてハードを手がける意味は何でしょうスマートフォンのアプリではいけないのですか

 スマホはあまりにも汎用機化しすぎた。何でもスマホでできるというのは、汎用機としてはすばらしいことだが、一方で特定の機能に用途を絞ったときに、ちゃんとフルに性能を発揮できるかというと疑問がある。

 たとえば、翻訳したいならばスマホ上でグーグル翻訳を使えばいいという考え方もあるだろう。ただ、汎用機ゆえに、まずパスワードを解除して、アプリを見つけて、翻訳したい言語を設定して、といくつかの過程を踏む必要がある。ポケトークのようにボタンを押したらワンステップで翻訳とまではいかない。さらに、雑踏などうるさい場所で使われることも多いため、スマホのマイクやスピーカーの性能では不十分だ。

 これは、いまだに電卓を使う人がいたり、アマゾンが読書専用端末として「キンドルペーパーホワイト」を発売しているのも同じ。今後は、スマホにいったん集約された機能の中から、専用デバイスとして出ていくものが増えていくと思う。

2代目はアメリカでも販売を開始


 ――2018年9月に発売された2代目のポケトークは初代より翻訳精度が改善されましたが専門用語や慣用的な言い回しが苦手だったり性能には課題が残ります

 ソフトウェアのアップデートで、今後も翻訳精度が上がり続けることは間違いない。当社のアプローチ方法は、各言語で一番精度の高い翻訳エンジンを選び、組み合わせていくこと。たとえば、日本語からタイ語への翻訳がグーグル翻訳でうまくいかないとしたら、ほかのエンジンと置き換える、といった具合だ。

 すべて最適なエンジンを選べば、論理的には一番精度の高い翻訳機ができる。2代目では、タイやベトナムなど、とくに日本人からの要望が多かったアジア圏の翻訳精度向上に注力した。これらは、総務省傘下のNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)が手がける翻訳エンジンの一部を採用している。


 ――2018年10月からはアメリカでもポケトークの販売を始めました英語圏でも翻訳機のニーズはあるのですか

 今、アメリカ人が中国に出張する機会が増えているが、現地に行くとあまりの英語の通じなさにがく然とするようだ。アメリカに加えて、地域の中に複数の言語があるアジアやヨーロッパでも順次発売をしていきたい。今年中にはかなりの国で売られるようになると思う。初代は国内での販売権しか持っていなかったが、2代目のIP(知的財産権)はすべて当社が持っているので、世界中で自由に展開することが可能だ。当社の売上高は今ほとんど国内だが、ポケトークをもってグローバルでも成功したい。

 ――グローバルな展開を目指すのは松田社長が2012年からシリコンバレーに住んでいる影響もあるのでしょうか

 その影響は大きいだろう。移住をした理由はいたって自然で、ご存じのように、成功しているIT企業はほとんど、シリコンバレーの車で走って1時間圏内のエリアに密集している。その集積度を見たときに、行かない理由はないと思った。石油産業をやる人が中東に行くようなものだ。

 結果、あらゆる面で得るものがあった。1つは、よいコンテンツをどんどん日本に持ち帰れるようになったこと。それまでも、たびたびシリコンバレーへ出張していたが、2週間、1カ月と、長く滞在すればするほどディールが決まることがわかり、家族で移住することを決断した。

 アメリカではファミリーパーティーが多く、1人だとむしろ怪しまれる。こうした家族ぐるみでの付き合いを通じて、さまざまな創業者と親交を持った。たとえば、当社でソフトの国内ライセンスを持っている「ドロップボックス」や「エバーノート」も、ホームパーティーでCEOと親しくなり、ビジネスにつながった製品だ。移住してからの会社の業績は、右肩上がりで伸びている。

ストックオプションは全社員に配布


 ――そこまで目に見えて成果が上がるものなのですね経営者としての意識にも変化はありましたか

 シリコンバレーで生活していると、身近な人がどんどん成功していくのを見ることができる。創業から数年でユニコーン企業になることも珍しくない。自分が成功しなくても、成功する人たちの姿をどんどん見ることで、それが普通だと思えてくる。これが重要。現在、従業員約3000人を抱えるドロップボックスも、僕が移住した当時はまだ社員20数名の小さな会社だった。

 彼らから学んで自社に取り入れたこともある。たとえば、ストックオプションを全社員に配ることに決めたのもその1つ。ストックオプションを配っている企業は増えているが、全員に配っている上場企業は、今のところはないんじゃないかな。

 そして最後が、自らグローバルな製品を作ること。今回のポケトークはまさにそれに当たる。


 ――ポケトークのは何でしょう

 ソフトからIoTに広げて、これからは翻訳機以外に、IoT機器をもっと出せると思う。今年のなるべく早いうちに、第2、第3、第4の製品を出していきたい。


サムスン新端末、Galaxy S10に「極めて残念な問題」がある事が判明

2019-02-20 11:32:57 | 海外ニュース

Forbes JAPAN 平成31年02月19日 11:15

 

  サムスンが2月20日に発表する、Galaxy S10に関しては既にその機能の大半が、関係筋からの情報で明らかになっている。しかし、サムスンが最後まで隠しておきたかった最大の欠点が、最新のリーク情報で明るみに出た。

携帯電話アクセサリーの通販サイトMobileFunが公開した動画で、サムスンがこのモデルに投入する「世界初のディスプレイ内蔵型の超音波式指紋センサー」が、一般的なスクリーンの保護膜を貼りつけた場合に動作不能になることが判明した。

また、その回避措置となりそうなオプションも、見栄えが悪く、高価であることが分かった。

MobileFunの動画は、サムスンの最新型の指紋センサーを稼働させるためには、スクリーン保護膜をセンサーの形にそって、丸く切り抜く必要があることを示している。ユーザーらは非常に見栄えが悪く、最大の売りである指紋センサーにダメージを与えかねないオプションの選択を迫られる可能性があるのだ。

ニュースサイト9to5Googleの記事によると、発売日時点でS10の超音波式指紋センサーに対応する、世界で唯一のスクリーン保護膜を製造したWhitestoneは、この保護膜を60ドルで発売するという。

価格がここまで高い理由は、このプロダクトの製造には特殊なメソッドが必要であるからだ。Whitestoneによると、S10のディスプレイに保護膜を貼る場合、ディスプレイとの間に少しでも空気が入り込むと指紋センサーが動作不能になるという。Whitestoneは独自の液体接着剤を開発し、専用の保護膜を開発した。

ただし、Whitestoneの保護膜は2枚入りで販売され、9to5Googleはこれが十分な耐久性を備えたプロダクトであると評価している。

現在のところWhitestoneのメソッドが、他メーカでも再現可能であるかは確認されていない。また、この保護膜の貼り付けを面倒に感じるユーザーも多いことが予想される。

サムスンのGalaxy S10は米国で5G通信に対応し、最新シリーズのなかで最も高額な端末になる見込みだ。購入者はなんとしてでも、この端末のディスプレイや新型の指紋センサーを保護したいはずだ。

そんな中、一般的な消費者がより高い関心を注ぐのは、光学式の指紋センサーを搭載する廉価版のS10eになるかもしれない。


北朝鮮が宮殿維持に四苦八苦か 遺体の永久保存、高額で

2019-02-18 23:17:56 | 海外ニュース

朝日デジタル 平成31年02月16日 20:45

 

 北朝鮮が、故金日成(キムイルソン)国家主席と故金正日(キムジョンイル)総書記の遺体が安置されている錦繡山(クムスサン)太陽宮殿の維持に苦しんでいる模様だ。

複数の北朝鮮関係筋によれば、建物の管理のほか、永久保存した遺体の維持に多額の費用がかかるが、国際社会の制裁による外貨不足が影響しているという。

同筋によれば、北朝鮮は2017年、「金日成金正日基金」を設置。朝鮮労働党幹部の金己男(キムギナム)氏が理事長を務める基金理事会が、日本や中国に住む同胞に「人類発展への貢献」などの名目で寄付を集めている。

100ドル、1千人民元、1万円以上の寄付をすると、理事会の名で「寄付証書」が贈られるという。同筋の1人は「実際は宮殿の維持が最大の目的」と語る。

1年から1年半ごとに金主席と金総書記の遺体を防腐剤入りの液体につけるなどの手入れが必要。大理石などを多用した建物の維持費も高額になるという。

 


言ってはいけない!「日本人の3分の1は日本語が読めない」 ”ホントかな?”

2019-02-18 23:12:46 | 国内

文春オンライン 橘 玲  平成31年02月16日 11:00

 

 OECDによる国際調査で「先進国の成人の半分が簡単な文章を読めない」という衝撃の結果が明らかになった。人間社会のタブーを暴いた 『もっと言ってはいけない』 の著者が知能格差が経済格差に直結する知識社会が、いま直面しつつある危機に警鐘を鳴らす。

国際成人力調査の結果概要


1日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない

2日本人の3分の1以上が小学校34年生以下の数的思考力しかない

3パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない

465歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない

 ほとんどのひとは、これをなにかの冗談だと思うだろう。だが、これは事実(ファクト)だ。

 先進国の学習到達度調査PISA(ピサ)はその順位が大きく報じられることもあってよく知られているが、PIAAC(ピアック)はその大人版で、16歳から65歳の成人を対象として、仕事に必要な「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力(ITスキル)」を測定する国際調査だ。OECD(経済協力開発機構)加盟の先進国を中心に24カ国・地域の約15万7000人を対象に実施され、日本では「国際成人力調査」として2013年にその結果の概要がまとめられた。

失業の背景を調査


 ヨーロッパでは若者を中心に高い失業率が問題になっているが、その一方で経営者からは、「どれだけ募集しても必要なスキルをもつ人材が見つからない」との声が寄せられていた。プログラマーを募集したのに、初歩的なプログラミングの知識すらない志望者しかいなかったら採用のしようがない。そこで、失業の背景には仕事とスキルのミスマッチがあるのではないかということになり、実際に調べてみたのだ。

 読解力と数的思考力はレベル1からレベル5で評価され、ホワイトカラーの仕事(専門職)にはレベル4以上が必要とされている。

 実際の問題は公開されていないが、問題例が紹介されているので、どのようなものか具体的に見てみよう。

誤答率27.7% レベル3の読解力の問題


 レベル3の読解力の問題では、図書館のホームページにある本のリストから『エコ神話』の著者を答える。「子どもだましでバカバカしい」と思うだろうが、驚くべきことに、このレベルの問題に正答できない成人が27.7%いる。

 それぞれの本には150字程度の概要が書かれている。レベル4では、「遺伝子組み換え食品に賛成の主張と反対の主張のいずれも信頼できないと主張しているのはどの本ですか」と質問される。短文を読むだけの問題だが、8割ちかい(76.3%)成人がこのレベルの読解力を持っていない。

簡単な問題文が読めない子供たち


 AI(人工知能)に東大の入学試験を受けさせる「東ロボくん」で知られる新井紀子氏は、全国2万5000人の中高生の基礎的読解力を調査し、3人に1人がかんたんな問題文が読めないことを示して日本社会に衝撃を与えた(『AIvs.教科書が読めない子どもたち東洋経済新報社)。

 一般にはこの結果は「日本の教育が劣化した」と受け取られているが、PIAACのデータはそれが誤解であることをはっきり示している。

 日本の成人のおよそ3人に1人が、本のタイトルと著者名を一致させることができない。なぜこんなことになるかというと、なにを問われているかが理解できないからだろう。

 日本人の3割は、むかしから「教科書が読めない子どもたち」だった。そんな中高生が長じて「日本語が読めない大人」になるのは当然なのだ。

誤答率36.3% レベル3の数的思考力の問題


 レベル3の数的思考力の設問例は立体図形の展開だ。Aは明らかに形がちがうし、Bは面の数が足りない。残りはCとDで、回転させればどちらも同じだが、Dにだけ屋根に半円形の取っ手がついている(形はCの方が似ているように見える)。

小学校5年生程度の問題だが、これが解けない成人が36.3%いる。

誤答率80%超え レベル4の数的思考力の問題


 レベル4では、1960年から2005年までのメキシコの男女の教育水準を示したグラフが示され、「1970年には、6年を超える学校教育を受けたメキシコ人男性は約何パーセントでしたか」と問われる。

 男女2つのグラフから男性を選び、5つの調査年から1970年を探し、「学校教育を受けていない」「6年以下の学校教育」「6年を超える学校教育」から該当するものを見つけるだけだが、この単純なグラフの読み取りができる成人は18.8%しかいない。

誤答率90%超え レベル3のITスキルの問題


 「ITスキル」のレベル3では、会議室予約の申し込みメールを処理する。

 メールには予約に無関係なもの(たんなる感謝)もあれば、会議室の空き状況を確認するものもある。4件のメールのうち予約申込は3件で、午前、昼、昼から夕方にまたがるものだ。解答者は4つの会議室の空き状況を確認し、午前に1件、昼に1件入れて、残りの1件には利用可能な会議室がないことを返信する。

 これはパソコンを使う職場では最低限のスキルだと思うのだが、日本ではわずか8.3%しかクリアできていない。それに加えて、対象となった成人のうち「コンピュータ経験なし」「コンピュータ導入試験不合格」「コンピュータ調査拒否」が合わせて36.8%もいる。

 これが、OECDが主催する大規模調査での「日本人の実力」だ。それを受け入れがたいと感じるとしたら、あなたが知能が高いひとたちの集団のなかで生活し、現実を錯覚しているからにすぎない。

ほぼすべての分野で日本が24カ国中1位、他国の結果
 しかし、驚きはこれにとどまらない。こんな悲惨な成績なのに、日本はOECDに加盟する先進諸国のなかで、ほぼすべての分野で1位なのだ。だとすれば、他の国はいったいどうなっているのだろうか。

 OECDの平均をもとに、PIAACの結果を要約してみよう。

1先進国の成人の約半分48.8%はかんたんな文章が読めない

2先進国の成人の半分以上52%は小学校34年生以下の数的思考力しかない

3先進国の成人のうちパソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人5.8%しかいない

レベル2の読解力の問題の問題


 レベル2の読解力の問題は、「市民マラソン・ウォーキング大会」のホームページから開催者の電話番号を調べるためのリンクをクリックするだけだ。

 これができない成人が、OECD平均で15.5%、およそ6人に1人いる(日本は4.9%)。イタリアは27.7%、スペインは27.5%とほぼ3人に1人だ。

レベル2の数的思考力の問題


 レベル2の数的思考力は出張費の計算で、自動車の走行距離1キロあたりに35円を掛け、4000円の食費を加える。

 このレベルの計算ができない成人は、OECD平均で19%、およそ5人に1人だ(日本は8.2%)。イタリアの成人の31.7%、スペインでは30.6%が、掛け算と足し算を組み合わせた問題に対処できない。

 PIAACの説明では、レベル1の読解力は「基本的な語彙を含む短い文章が読める」、数的思考力は「基礎的な計算、50%のようなおおまかな割合、単純なグラフがわかる」とされている。レベル2の問題が解けないと、できる仕事はかなりかぎられるだろう。

大卒者の得点が日本の高卒に及ばないイタリアとスペイン


 PIAACの得点分布には明らかな傾向があり、ヨーロッパではスウェーデンなど北欧諸国が高く、南に行くほど低くなる。とりわけイタリアとスペインが深刻で、大卒者の得点が日本の高卒に及ばない。

 イタリアでは2018年6月、北部を基盤とする「同盟」と南部の「五つ星運動」の2つのポピュリズム政党が連立してコンテ政権が成立した。それ以外でも、トランプ政権が誕生したアメリカ、国民投票でEUからの離脱を選択したイギリス、ジレジョーヌ(黄色ベスト)デモで揺れるフランスなどがOECDの平均を下回っている。

 ここで誰もが思い浮かべるのは、職業に必要な知的スキルが低い国は失業率が高く、ポピュリズムが台頭するのではないかという疑問だろう。国際政治学者は欧米の「右傾化」についてさまざまな解説をしているが、PIAACのデータに基づいたこの単純な説明を無視できるだろうか。

楽観できない若者のデータの詳細


「日本人の3人に1人は日本語が読めない」が、それでも先進国のなかでもっとも優秀だ。しかし、データの詳細を見るとこれで喜んでいるわけにはいかない。

 読解力と数的思考力で日本はたしかに1位だが、年齢別の得点を見ると、16~24歳の数的思考力ではオランダとフィンランドに抜かれて3位に落ちる。より問題なのはITスキルで、パソコンを使えず紙で解答した者を加えた総合順位ではOECD平均をわずかに上回る10位、16~24歳では平均をはるかに下回る14位まで落ちてしまう。

 対照的なのが韓国で、全体の順位はOECD平均以下で低迷しているが、これは中高年の得点が低いからで、16~24歳では得点は大きく上がり、読解力で4位、数的思考力で5位、ITスキルでは1位と日本の若者をはるかに上回る。

 わずか1世代で知能が劇的に向上するはずはないから、これは明らかに教育の成果だ。なぜ隣国とこれほど大きな差がついたのか、日本の教育業界は国民(納税者)に対して重い説明責任を負っている。
だが、より深刻な問題はほかにある。

アメリカの7割程度しかない日本の労働生産性


 知識社会では知的な職業スキルが高いほど生産性が高くなるはずだが、日本の労働生産性は主要先進7カ国でずっと最低で、アメリカの7割程度しかないばかりか、イタリアやスペインより低い。OECDの報告書では、その理由を高い能力が仕事で活かされていないからだとしている。

 男女の社会的な性差を示すジェンダーギャップ指数で日本は世界最底辺の110位だが、PIAACの分析でも、女性のスキルを活用できていないことが男女の収入の大きな差につながっていると示唆されている。


知的には優秀でも能力を無駄にしているという残念な現実


 ここからわかるのは、日本人はたしかに知的には優秀かもしれないが、その能力を無駄にしているという残念な現実だ。それは日本人の働き方が間違っているからであり、さらにいえば、日本社会の仕組みに大きな欠陥があるからだろう。――私はこれを、日本が先進国のふりをした身分制社会だからだと考えている。

 知識社会というのは、定義上、言語運用能力や数学・論理的能力に秀でた者が大きなアドバンテージを持つ社会のことだ。

 高度な知的作業ができるスキルをレベル5とするならば、その割合は読解力でOECDの0.7%(日本は1.2%)、数的思考力で1.1%(同1.5%)しかいない。「ウォール街を占拠せよ」の運動では、1%の富裕層に富が独占されているとして「We are 99%」と叫んだが、PIAACによれば、これは経済格差ではなく職業スキル≒知能の格差のことだ。

 その一方で、レベル3以下だと、オフィスワークに必要なスキルに達しないとされる。その割合は読解力でOECDの87%(日本は76.3%)、数的思考力では86.4%(同80%)にも達する。

 AI(人工知能)が象徴するように、テクノロジーは驚くべきスピードで進歩しており、労働市場で要求される知能のハードルが上がっている。だが人間は、それに応じて賢くなるようにはつくられていない。知識社会が高度化するにつれて、そこから脱落する者が増えるのは必然だ。


先進国の5割の成人が問題文が読めないという現実
 PIAACでは移民出身者のスコアも計測しており、言語的背景が異なる移民のスキルは顕著に低く、とりわけ北欧で(もともと得点の高い)主流派白人との差が大きく開いている。この「スキル格差」が移民出身者の失業率を高くし、生活保護に依存せざるを得なくさせ、その結果、世界でもっともリベラルな国で排外主義的な政党が台頭することになったのだろう。

 人生100年時代を迎え、AIに負けないよう生涯学習すべきだという話になっている。だが日本人の3割、先進国の5割、そしておそらく世界全体ではそれよりずっと多い成人が、問題の解き方がわからないのではなく、問題文が読めない。この現実に対して教育はどこまで有効なのか。

 生得的な知能のちがいに触れることは、これまでずっとタブーとされてきた。だがもはや、知識社会の矛盾を知能の分布を無視して語ることは不可能になっている。

 ポピュリズムに翻弄される欧米を先導役として、私たち日本人も早晩、この「残酷な世界」の現実を突きつけられることになるだろう。

橘 玲週刊文春 平成31年2月14日号


NHK放送総局長「いだてん」視聴率1ケタ記録に「分かりにくいという声も、いろんなところから聞いている」

2019-02-18 22:46:06 | 国内

 スポーツ報知/報知新聞社  平成31年02月13日 15:58

 

 NHKの放送総局長の定例会見が13日、東京・渋谷の同局で行われた。

放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(日曜・後8時)が10日放送の第6話で平均視聴率9・9%を記録。大河史上最短での1ケタ視聴率となったことについて、木田幸紀放送総局長は「1回1回のリアルタイムの数字は気にはしていない」とした上で「とは言え、連休の中日でも1人でも多くの人に見ていただくことに越したことはない」と本音もポロリ。

 「(主人公の)金栗四三の走りが速すぎてついていけない。分かりにくいという声も、いろんなところから聞いている」と話し、「3月3日放送の第12回が五輪のマラソンのスタートになる。3月いっぱいが金栗四三さんの人生のハイライト。このへんで解説番組などで補強して前半の山場を楽しんでいただきたい」と続けた。(数字はビデオリサーチ調べ関東地区