毛利甚八 写真日記 旅する天体

作家・毛利甚八が、ニコンD600とオリンパスペンを手に、あの町この村、あの川この海をパチリと撮って、ぽつりとつぶやく。

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第50回 5.19 暴風3センチのライブ

2013年05月31日 17時45分54秒 | 音楽


どうです。

かっこいいでしょう? 豊後高田市の水野理容館に組みあがったギター・ドラムス・キーボードのセッティング。

日曜日のこの日、前日に大分でのライブを終えたセンチメンタル・シティ・ロマンスの5分の3のみなさんが昼過ぎに到着。

午後3時ころからセッティングをしながら、リハーサルが始まる。

ギターが好きな人のために、下は中野督夫さんのエレキギター(ストラトのラージヘッド)用エフェクター群。



中央の名機ケンタウルスの存在感がすごい。

ケンタウルスが作動すると、渋い、ぶっとい音になるんですよね。



中野さんは相変わらず元気いっぱいである。



細井豊さんは、ノリノリで、この人が立ち上がって楽しそうに鍵盤を弾いている姿は、見ているほうが幸せになる。

今回は、片手でクロマチック・ハープを吹きながら、片手で鍵盤の伴奏をするという凄い業をたっぷり見せてもらった。



野口明彦さんはクール。

歌を真剣に聞きながら、きっちりとドラムをコントロールする姿は感動的で、

小さな、ログハウス仕立ての床屋さんの空間に合わせた、

ぴったりのバンドサウンドが、その瞬間のためだけに生まれ、

響いて、消えていった。

PAをしていて、とても幸せだった。


毛利甚八 写真日記 D600+D7000と旅する 第49回 西都原古墳

2013年05月21日 02時54分40秒 | 旅行


これは最近の五月中旬の話。

鹿児島の志布志に出かける用があった。

十年前に起こった志布志事件と呼ばれる選挙違反にまつわる冤罪事件があって、数年前、私は「季刊刑事弁護」という雑誌に、この事件のレポ

ート(写真と文)を二年越しで連載したことがあった。

志布志の四浦の懐集落を中心とした人たちに、荒唐無稽な金額の買収事件がでっちあげられ、結局、無罪判決が出たのだが、

「やってない」と言ったおばぁちゃんが170数日も留置場(警察)と拘置所(法務省)で身体拘束を受けたり、

主犯とされた元県議は一年を超える勾留(夫婦で合計約二年)を受けるというトンデモナイ事件であった。

現在は国家賠償を求める裁判が進行中で、事件から丸十年が経った記念集会が行われるというので顔を出したのだ。

懐かしい顔のみなさんは元気だった。

志布志で二泊し、せっかく鹿児島まで来たからと、

帰りは、九州島の東海岸を北上し、西都原古墳を見て行こうと考えた。

上の写真は西都原古墳のひとつ「鬼の窟古墳(おにのいわやこふん)」の入り口。

中に入ると‥‥‥。



ここまでの写真はD600に24mmである。

カメラバッグから、このところお試し中のD7000にDX40mmマクロのセットを取り出す。

古墳の稜線にワラビがいっぱい生えている。

古墳の山頂で、ワラビのアップを撮ってみたのが下の写真。



DX40mmは実に自由なレンズだ。でも手ブレをゼロに近づけるため、一脚を使っています。

風が吹いていたけれど、なんとかセーフ。

別の場所で、マーガレットみたいな野草を撮った。


毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第48回 長崎・思案橋 

2013年05月17日 01時18分40秒 | 旅行


長崎の思案橋に行ったのは2012年の夏だった。

「どこかにいい居酒屋はないかなぁ」と電車に乗った。

思案橋はとても賑やかだった。



若い女の子のいっぱいいる大通りを避けて、舟大工町の狭い路地をぐるぐる歩いた。

そのうちみつけたのが、「暮六つ(くれむつ)」という店。



長崎・佐賀を中心に日本酒をいろいろ飲ませてくれる。

BGMは落語。変わった店だ。



上はご主人の田添功一さん。

漫画「のぞみ」にも出演してもらい、時々、「読んでますよ」と手紙もいただく。

さて、暮六つで飲んだ後、すぐそばの路地を歩いていると、おでん屋さんがあった。

店の名は「菜づ菜」。

中に入ると、明るい常連さんと女将の横田久子さんがいて、



このオバイケやイカ煮つけなんか食べながら、図々しく写真を撮っていると、

どんどんお客さんが入ってくる。



とうとう満員になって、ガヤガヤと温かい。

私はこの店が気に入って、

「のぞみ」のストーリーのなかで、酒屋の跡継ぎに探していた酒「美田」を発見させることにした。

その掲載号が発売される時期に合わせて「美田」を二本送った。

漫画を読んだお客さんがやってきて、美田を飲んでもらえたかな。

毛利甚八 写真日記 D7000と旅する 第47回 センチメンタル・シティ・ロマンス特別ユニット

2013年05月05日 23時33分50秒 | 音楽


豊後高田市の桂川の左岸に、宮町という古い飲み屋街がある。

その一角にログハウス風の建物があり、インディアンの装飾品が飾られた

とても豊後高田市とは思えない清潔な床屋さんがある。

水野理容館という。

二代目の水野善之さんは、私より幾つか下だが、

彼の中学生時代に、デビューまもなくのセンチメンタル・シティ・ロマンスが、

なぜか宇佐神宮境内の相撲場特設ステージで演奏するのを目撃した。

以来、水野さんはセンチの熱烈なファンである。

ここ数年、センチのメンバーである中野督夫さんや、告井延隆さんのソロライブを、

水野理容館で行ってきたが、

水野さんの意中の人であるドラマーの野口明彦さんも、

「水野のとこへ遊びに行ってやるか」と、いうことで、

ライブの運びとなった。

ギター、ドラムス、キーボードの三人のステージを組むと、

客は四十人入るかどうか?

たぶん、床屋さんの店内はぎっしりになるだろう。

楽しみだ。

たぶんアンコールにはセンチのあの名曲の、

「雨はいつか上がるもの、雲はいつか切れるもの」の大合唱になる。

同曲の中に、寂しさを「沈む夕陽の真ん中で燃やしてしまえ」という歌詞がある。

あの言葉は素晴らしいですね。

そこで、本日五月五日の夕陽をプレゼントします。


毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第46回 高知市・亀次

2013年05月03日 23時37分12秒 | 旅行


高知市の帯屋町にある亀次に行ったのは去年の夏、招かれた講演が終わって一人、「今夜は居酒屋を探してみよう」と。

ホテルのアドバイスを頼りに、亀次の前に行くと、盛大にワラを燃してカツオが炙られていた。

高知の淡麗辛口の酒を飲もうと、酔鯨を、そして司牡丹を飲んだ。

その時、肴として初めて食べたのがコレ(下の写真)。



沖うるめという魚だそうで、ニギスとか沖キスなどともいうらしい。

高知名物の干物の材料だそうだが、亀次では生々しいのを炭焼きにしてあった。

さらりとした甘い脂がのっていて、実においしかった。おかわりして、四尾も食べた。

さて、魚もあれこれ食べ、酒も飲んで、すっかりイイ気分になったところで、

「これ、漫画のために写真撮っておこうかな」という気になった。

ミニの浴衣を着た女性に事情を説明して、取材許可をもらい、

ほろ酔いでホテルに戻り、一脚とカメラをかついで戻り、パシャリ。



この店は、サンデー毎日3月10日号の「のぞみ」19話に出てくる。

対応してくれた中川さんは、

「漫画家さん、私のことどんなふうに描いてくれるかな?」とおっしゃっていましたが、

気に入ってもらえましたか?

お世話になりました。

もうすぐ単行本になりますよ。